蕁麻疹など治療薬「ゾレア(オマリズマブ)」生物学的製剤

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ゾレアとは?

ゾレア(一般名:オマリズマブ)は、「抗IgE抗体」と呼ばれる薬剤です。
「IgE」とは、免疫にかかわるたんぱく質の一種です。血液中のIgEなどが体内のマスト細胞(炎症や免疫反応などの生体防御機構に重要な役割を持つ細胞)を活性化すると、ヒスタミンなどの炎症を起こす物質が放出されてアレルギー症状が誘発されます。
ゾレアは、IgEがマスト細胞と結合するのを阻害してアレルギー症状を軽減します。

ゾレアの特徴

ゾレアは、既存の薬剤(抗ヒスタミン薬やステロイド薬など)とは異なる薬理作用でアレルギー症状を抑えます。ただし、一般的な抗アレルギー薬やステロイド薬とは異なり、既に起こっている症状をすみやかに軽減する薬剤ではありません。
なお、既存治療で十分な治療効果が得られない12歳以上の特発性の慢性蕁麻疹の方を対象とした臨床試験では、12週間におよぶ抗ヒスタミン薬とゾレアの併用治療でかゆみも膨疹も有意に改善されたという結果が得られています。

ゾレアの効能効果・用法用量

効能効果

ゾレアは、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の気管支喘息、既存治療で効果不十分な重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹に適応があります。
当院では、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹の方にゾレアを処方しています。なお、ゾレアを慢性蕁麻疹に使用する場合は、原則として抗ヒスタミン薬などを併用します。

用法用量

ゾレアを気管支喘息や季節性アレルギー性鼻炎に使用する場合は、体重などによって1回の使用量や投与間隔が変わってきます。
特発性の慢性蕁麻疹に使用する場合は、通常1回300mgを4週間ごとに皮下に注射します。
なお、治療対象となるのは以下の条件をすべて満たす方です。

  • 今までの治療で効果が不十分だった
  • 12歳以上である
  • 蕁麻疹の原因が不明だ
  • ゾレアに対する過敏症の既往がない

条件を満たす場合でも、妊娠中および授乳中の方はあらかじめご相談ください。

当院におけるゾレアの処方について

当院では蕁麻疹治療のためゾレアを導入しておりますので、詳しい検査を行ったうえで適応のある方に投与可能です。

導入前のご相談について

遠方にお住まいの方から「近隣に蕁麻疹治療でゾレアを扱う医療機関がない」「自分の症状にはゾレアが投与可能かどうか知りたい」というお問い合わせをいただくことがあります。ゾレアを投与可能であれば通院したいというお気持ちかと推測されます。
心情もよくわかりますので、まずは当院のオンライン診療をご利用いただくことをおすすめします。
当院では2020年4月より新型コロナウイルス感染対策として、初診からのオンライン診療に対応しております。ご来院いただかなくともオンラインでご相談いただくことが可能です。まずお話を伺い適応がありそうな場合にご来院いただくことで、少しでもご不安な患者さまのお役に立てればと考えています。

こちらは遠方在住の患者さまからのご提案により実現いたしました。初診をオンライン診療で実施し、詳細な状況を確認できたことでトラブルなく次回来院時にゾレアを導入することができました。その点をご評価いただきメッセージをいただきました。

»オンライン診療を経てゾレアを導入された患者さまからのクチコミ

ゾレア導入に際し、オンライン診療の初回相談をご希望の方はオンライン診療ページをご確認のうえお申し込みください。

» オンライン診療の詳細はこちら

当院の自己注射の指導方法について

患者さまが治療を選択するうえで心配事となる自己注射について、当院の取り組みをご紹介いたします。どのような考えで自己注射の指導にのぞんでいるかをご覧いただき、少しでも患者さまの不安の解消につながれば幸いです。

» 自己注射の詳細はこちら

ゾレアの使用方法

自己注射に必要なもの

自己注射に必要なものは以下のとおりです。

  • 注射器(300mg投与する場合は、150mg×2本)
  • 準備マット
  • アルコール消毒綿(ゾレアの投与本数×2枚+マット消毒用1枚)
  • 使用済み注射器入れ(廃棄バッグ)
  • ゾレア自己注射管理手帳
準備
  • 注射する20分前にゾレアを冷蔵庫から取り出し、箱に入れたまま室温に戻します。
  • 準備マットを置く台や机などを用意します。
  • 石けんで手を丁寧に洗い、準備マットをアルコール消毒綿で消毒します。
  • 消毒した準備マット上に、注射に必要なものを並べます。
  • シリンジ(注射筒)と薬液を確認し、破損や薬液の変色、異物の混入などがないかをチェックします。
注射
  • 注射する部位(腹部あるいは太もも、ご家族が注射する場合は上腕部の外側でも可)を消毒します。
  • 注射カバーを外します。
  • シリンジを人差し指と中指で挟み、親指はフランジの下に軽く添えます。
  • 注射器を持っていないほうの手で、注射部位の皮膚をつまみます。
  • 皮膚に対して約45度の角度で針を当てます。
  • 人差し指と中指でシリンジを挟んだまま、フランジの下に添えていた親指をブランジャーヘッドに移動させ、ブランジャーヘッドをゆっくりと完全に押し切ります。
  • 5秒間、シリンジを動かさずに押し続けます。
  • ブランジャーヘッドを押し続けたまま、注射針をまっすぐ抜いてください。
  • ゆっくりとブランジャーヘッドから指を離すと、針ガードが自動的にスライドして注射針を覆います。
  • 新しいアルコール綿で注射部位を押さえます。出血がみられる場合は、注射部位をもまずに10秒間押さえてください。
片付け

使用済みのシリンジは、廃棄バッグに収納してください。廃棄バッグがない場合は、瓶や缶などの硬い容器を利用しても構いません。
2本目を注射する場合は、シリンジを廃棄してから「注射」の1~10の作業を繰り返してください。
なお、2回目は1回目の注射部位から3㎝以上離れたところに注射してください。

記録

注射が終わったら、「自己注射管理手帳」に注射した日付と部位、体温、体調を記録してください。
記録した自己注射管理手帳は、診察時にお持ちください。

ゾレアの使用上の注意点

ゾレアを打ってはいけない例

ゾレアの成分に対しアレルギー歴がある場合はゾレアを使用できません。使用すると重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあるため、必ず事前にお知らせください。
なお、ラテックス過敏症の既往歴または可能性のある場合も事前にご相談ください。ゾレアの注射針部分のカバーは乾燥天然ゴム(ラテックス由来)を含むため、アレルギー反応を起こす可能性があります。

ゾレアの副作用

ゾレアのおもな副作用として、注射部位の赤みや腫れなどが報告されています。
また、重大な副作用として、ショック・アナフィラキシーが報告されています。ショック・アナフィラキシーはゾレア投与後2時間以内に発現することが多いとされていますが、2時間以上経過してから発現することもあります。また、長期間の定期的投与後においても発現することがあります。
したがって、ゾレア投与後に皮膚のかゆみや蕁麻疹、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸、意識の混濁などの症状があらわれた場合は、すみやかに受診してください。

ゾレア保管時の注意

ゾレアは、使用する直前まで箱に入れたまま2~8度で保管する必要があります。適切な温度管理ができなかった場合、あるいは一度でも凍結してしまった場合は使用できなくなりますので、ご注意ください。
ご自宅までの持ち運びには、専用保冷バッグおよび十分に冷やした専用保冷剤をご利用ください。ただし、専用保冷バッグの保冷効果には限界があります。ゾレアを受け取ったらすみやかに持ち帰り、ご自宅の冷蔵庫で保管してください。
なお、薬液の凍結を避けるため、冷凍庫やチルド室、野菜室、冷気の吹き出し口付近では保管しないでください。また遮光のため、外箱に入れたまま保管してください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、ゾレアとの併用が禁忌とされている薬剤はありません。
ただし、ゾレアの投与によって合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があります。その他のアレルギー性疾患に対する適切な治療を怠ると、症状が急激に悪化し、喘息などでは死亡に至る可能性も否定できません。
そのため、他院で治療を受けている場合は、服用薬の有無にかかわらずお知らせください。また、自己判断で治療内容を変更するのも避けてください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中または授乳中の方への使用

ゾレアは、動物を対象とした試験で胎盤を通過すること・乳汁中へ移行することが報告されています。そのため、妊娠している場合あるいは妊娠の可能性がある場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

ゾレアは、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、または12歳未満の小児を対象とした特発性の慢性蕁麻疹に対する臨床試験を実施していません。
ご家庭では、お子さまがゾレアを勝手に持ち出すことがないよう十分にご注意ください。

ご高齢の方への使用

ご高齢の方は、一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能など)が低下しています。
そのため、ゾレアの使用にあたっては状態を観察しながら慎重に投与を行います。

ゾレアの患者さま負担・薬価について

ゾレアの薬剤費は以下のとおりです。

ゾレア皮下注用150mg 29104.00円/瓶
ゾレア皮下注150mgシリンジ1mL 29104.00円/筒
ゾレア皮下注75mgシリンジ0.5mL 14812.00円/筒

ただし、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがゾレア皮下注150mgシリンジ1mLを2筒処方された場合、ご負担金額は17,462.4円です(薬剤費のみの計算です)。
なお、1ヵ月の医療費の支払い額(自己負担額)が高額になる場合は、高額療養費制度などの負担軽減措置が受けられることもありますので、詳しくは、ご加入の保険者(市町村や企業の健保組合)までご確認ください。

よくあるご質問

ゾレアは蕁麻疹にどれくらい効くのですか?

既存治療で十分な治療効果が得られない12歳以上の特発性の慢性蕁麻疹の方を対象とした臨床試験では、12週間におよぶ抗ヒスタミン薬とゾレアの併用治療でかゆみや膨疹がまったくみられなくなった方が35.6%であったと報告されています。
若干効果が弱いようにも感じられますが、プラセボ群における効果が4.1%であったこと・かゆみや膨疹がゼロにはならないものの有意に改善されている方が多いことを考慮すると、症状の改善効果は大いに期待できるといえます。

ゾレアで蕁麻疹は完治しますか?

ゾレアは、蕁麻疹を完治させる薬ではありません。既存の治療薬を使っても抑えきれない症状をコントロールして、ストレスなく日常生活を送れるようにサポートする薬です。
ゾレア投与中も、蕁麻疹が出やすい状況や悪化しやすい要因をできるだけ避け、症状が悪化しないように注意してください。

蕁麻疹に対してゾレアを使った場合、効果が出るまでにどれくらいかかりますか?

効果発現までの期間は個人差がありますが、おおむね投与後数日~2週間程度で効果があらわれ始めるとされています。
なお、効果持続期間は約1ヵ月です。

ゾレアで太ることはありますか?

たしかに、ゾレアの副作用として体重増加が報告されていますが、その頻度は明らかになっていません。
もっとも、一般的に「副作用が報告されていること」と「その副作用が発現すること」は分けて考える必要があります。たとえ体重増加の副作用が報告されていても、ゾレアを使用したすべての方の体重が増えるわけではありませんのでご安心ください。
なお、気管支喘息や季節性アレルギー性鼻炎のためにゾレアを使用する場合は、投与前に必ず体重を確認されますが、これは体重によって投与量が変わるためです。決して体重増加をチェックするためではありませんので、ご承知ください。

蕁麻疹治療でゾレアを打っていれば、花粉症も楽になりますか?

ゾレアは、既存治療では症状が抑えきれない重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎にも適応があります。そのため、ゾレアを打っていれば花粉症の症状が楽になる可能性はあります。
しかし、季節性アレルギー性鼻炎にゾレアを使用する場合、投与量は投与前血清中総IgE濃度および体重によって変わってきます。また、投与間隔が2週間とされる場合もあります。
そのため、ゾレアを使用していても十分な効果が期待できない場合もあると考えられます。

ゾレアはアトピー性皮膚炎に効きますか?

ゾレアをアトピー性皮膚炎に使用した場合の効果については十分な検討がされておらず、「効く」という科学的根拠も現時点では得られていません。
そもそも、ゾレアはアトピー性皮膚炎に適応がありません。そのため、ご希望があっても処方できませんので、ご承知ください。

 

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