ベザトールとは?
ベザトール(一般名:ベザフィブラート)は、フィブラート系脂質異常症治療薬の一種です。
肝臓におけるコレステロールおよびトリグリセリド(中性脂肪)の生合成を抑制し、リポ蛋白の代謝を促進することで、血液中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)とトリグリセリドを減らし、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)を増加させます。
なお、ベザトールという名称は、一般名であるベザフィブラートの「ベザ」と、脂質代謝の異常を抑制する意味での「コントロール」を組み合わせてつけられたとのことです。
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ベザトールの特徴
ベザトールは高脂血症の改善に効果的な薬剤ですが、特にトリグリセリド(中性脂肪)低下作用が強いのが特徴です。狭心症などの心疾患を合併している高トリグリセリド血症の方を対象とした臨床試験では、心筋梗塞や心臓死を減らす効果が示されています。また、インスリン抵抗性を改善する効果も期待できるため、糖尿病を合併している方の治療にも向いています。
効能効果・用法用量
ベザトールは、家族性を含む高脂血症に適応があります。
通常、成人には1日400mgを2回に分けて朝夕食後に投与します。ただし、腎機能障害がある場合や高齢の方については、投与量を適宜減量します。
臨床上の効果
ベザトールを高脂血症の方に投与した臨床試験では、77.5%の方に高脂血症改善効果が認められました。血清脂質の変化率は、総コレステロールの低下が11~19%、LDL-コレステロールの低下が12~21%、トリグリセリドの低下が30~57%、HDL-コレステロールの上昇が32~48%でした。
また、家族性高コレステロール血症の方を対象とした臨床試験では、総コレステロールの低下が13%、LDL-コレステロールの低下が18%、トリグリセリドの低下が 32%、HDL-コレステロールの上昇が31%でした。
さらに、高トリグリセリド血症で狭心症などの心疾患がある方を対象とした海外の臨床試験では、ベザトールの服用で心筋梗塞や心臓死が約4割減少したと報告されています。
ベザトールを服用する上での注意点
ベザトールを服用できない方
以下に該当する場合はベザトールを服用できません。
- 人工透析(腹膜透析を含む)をしている場合(急激な腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症があらわれるおそれがあります。)
- 腎不全などの重篤な腎疾患がある場合(急激な腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症があらわれるおそれがあります。)
- 血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上の場合(急激な腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症があらわれるおそれがあります。)
- ベザトールの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
- 妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合(妊娠中の投与に関する安全性が確立していません。)
服用に注意が必要な方
胆石がある方、またはその既往歴のある方がベザトールを服用すると、胆石の形成がみられることがあります。そのため、ベザトールの服用にともなう体調変化に注意が必要です。
その他、腎機能障害がある方・肝機能障害がある方・高齢の方なども、ベザトールの服用には注意が必要です。
(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。
ベザトールの副作用
おもな副作用として、発疹、かゆみ、腹痛、吐き気、食欲不振、筋肉痛などが報告されています。
また、重大な副作用として、横紋筋融解症やアナフィラキシー、肝機能障害などが報告されています。重大な副作用の発生頻度は不明ですが、下記のような症状があらわれた場合はすぐに受診して、適切な治療を受けてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、ベザトールとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。
- スタチン系薬剤(高脂血症の治療薬):急激な腎機能悪化をともなう横紋筋融解症があらわれるおそれがあります。
- フルバスタチンナトリウム(高脂血症の治療薬):フルバスタチンナトリウムの血中濃度が上昇することがあります。
- ワルファリンカリウム(抗凝血薬):抗凝血薬の作用が増強されるおそれがあります。
- SU剤、ナテグリニド、インスリン(いずれも糖尿病治療薬):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
- シクロスポリン(免疫抑制薬):腎障害があらわれることがあります。
- 陰イオン交換樹脂剤(高コレステロール血症などの治療薬):ベザトールの吸収が遅延または減少するおそれがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
腎機能障害がある方への使用
人工透析(腹膜透析を含む)や腎不全など重篤な腎疾患がある場合または血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上の場合は、急激な腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症があらわれやすいため、ベザトールの投与が禁忌とされています。
上記ほど重篤でない場合であっても、腎機能検査値異常がある場合にベザトールとスタチン系薬剤を併用すると腎機能悪化をともなう横紋筋融解症があらわれやすいため、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用を検討します。
スタチン系薬剤を併用しない場合でも、腎疾患がある場合はベザトールの服用で症状の増悪および横紋筋融解症があらわれるリスクが高いため、検査値の変化などに注意して慎重に治療を進めていきます。
肝機能障害がある方への使用
ベザトールを肝機能障害がある方へ投与すると、血中濃度が上昇するおそれがあります。
そのため、肝機能障害がある方については、症状や検査値の変化、副作用の発現などに注意しながら慎重に治療方針を決めていきます。
妊娠中の方への使用
ベザトールは、妊娠中の方に投与した場合の安全性が確立していません。
したがって、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある方については、投与が禁忌とされています。
授乳中の方への使用
ベザトールは、動物を対象とした試験で母乳中への移行が報告されています。
そのため、授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。
お子さまへの使用
ベザトールは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐために、ベザトールの保管場所などにご注意ください。
ご高齢の方への使用
高齢の方は腎機能・肝機能が低下している場合が多く、また、体重が少ない傾向があるため、副作用の発現リスクが高くなっています。
したがって、高齢の方にベザトールを投与する場合は、合併症の有無、既往歴、自・他覚症状などに留意し、少量から開始するなど投与量に十分注意して治療を進めます。
ベザトールの患者負担・薬価について
ベザトールには100mgと200mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがベザトールSR錠200mgを1日2回30日分処方された場合、ご負担金額は316.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- ベザトールを1日2回飲むのは面倒なので、1度に1日分をすべて飲んでもいいですか?
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ベザトールは、1日2回に分けて服用してください。
ベザトール400mg(200mg×2錠)を1日1回で服用した場合と、ベザトール200mgを1日2回(1日の服用量:400mg)で服用した場合を比較した臨床試験では、1日2回に分けて服用したほうがより良いコレステロール低下作用を得ることができたと報告されています。
- 錠剤が苦手なので、ベザトールをすり鉢などでつぶして飲んでもいいですか?
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ベザトール錠は、効果が長時間続くように設計されている「徐放剤」です。割ったり砕いたりすると効果のあらわれ方が変わってきてしまうため、錠剤のまま服用してください。
- ベザトールを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
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ベザトールを飲み忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は忘れた分を服用せず、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。