高血圧症治療薬「カルブロック(アゼルニジピン)」持続性Ca拮抗薬

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カルブロックとは?

カルブロックの写真

カルブロック(一般名:アゼルニジピン)は、カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)の一種です。
血管壁の細胞にカルシウムイオンが流入すると血管が収縮して血圧が上昇しますが、カルブロックは血管平滑筋の細胞膜に作用してカルシウムイオンの流入を抑え、血管を弛緩・拡張させて降圧作用を示します。
なお、「カルブロック(Calblock)」という名称は、「カルシウムチャネルをブロックする医薬品(Calcium channel blocker)」に由来します。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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カルブロックの特徴

カルブロックは、血管組織親和性が高く持続した降圧作用が得られる薬剤です。降圧作用は比較的おだやかで、血圧の日内変動にはほとんど影響を与えません。心臓への負担もおさえられるため、カルシウム拮抗薬特有の副作用とされる頭痛や顔面の紅潮、反射性頻脈の発生頻度は少なめです。腎臓を保護する作用もあるため、慢性腎臓病や糖尿病性腎症を合併した高血圧により良い効果が期待できます。さらに臨床試験では、ほかの降圧薬で十分な効果が得られない症例に対してカルブロックの追加投与の有用性が確認されています。

効能効果・用法用量

カルブロックは高血圧症に適応があります。
通常、成人には1日1回8~16mgを朝食後に投与します。
なお、1回8mgあるいはさらに低用量から投与を開始し、症状により適宜増減することは可能ですが、1日に投与できる最大量は16mgとされています。

効果持続時間および臨床上の効果

カルブロックは効果持続時間が長く、1日1回の投与で24 時間降圧作用が持続します。血圧の日内変動に影響を与えず、降圧作用が緩徐であることも特徴です。
国内の軽症・中等症本態性高血圧症の方を対象とした臨床試験では、カルブロックの降圧率は73.7%でした。一方、重症高血圧症の方を対象とした臨床試験では、判定不能を含む降圧率は86.7%、判定不能を除く降圧率は92.9%でした。
また、カルブロックを1日1回52週間投与した臨床試験では、投与期間を通して安定した降圧効果が得られたことが報告されています。

カルブロックを服用する上での注意点

カルブロックを服用できない方・カルブロックの服用に注意が必要な方

以下に該当する場合はカルブロックを服用できません。

  • カルブロックの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 妊娠中または妊娠している可能性がある場合(動物を対象とした試験で、着床前および着床後胚死亡率の増加、出生児の体重低下、妊娠期間および分娩時間の延長などが報告されています。)
  • アゾール系抗真菌薬(経口剤、注射剤)、HIVプロテアーゼ阻害薬、コビシスタット含有製剤(HIV感染症治療薬)(カルブロックの作用が増強されるおそれがあります。)

なお、服用に注意が必要とされているのは、重篤な腎機能障害・肝機能障害がある場合などです(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

カルブロックの副作用

おもな副作用として、かゆみ、便秘、ほてり、頭痛や頭重感などが報告されています。また、降圧作用によってめまいやふらつき、立ちくらみなどが生じる場合もあるため、車の運転など危険をともなう作業は十分に注意して行うようにしてください。
その他、重大な副作用として肝機能障害や黄疸、房室ブロックなどが報告されています。重大な副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、以下のような症状があらわれた場合はすぐに受診して適切な治療を受けてください。

肝機能障害・黄疸 全身のだるさ、
白目や皮膚が黄色くなる、
食欲不振
房室ブロック、
洞停止、徐脈
めまい、ふらつき

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

アゾール系抗真菌薬(経口剤・注射剤ともに)、HIVプロテアーゼ阻害薬、コビシスタット含有製剤(HIV感染症治療薬)を使用している場合は、カルブロックを服用できません。これらの薬剤とカルブロックを併用すると、カルブロックの作用が増強されるおそれがあるためです。
その他、併用に注意しなければならない薬剤は以下のとおりです。他の医療機関でこれらの薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • 降圧作用を有する薬剤:相互に作用を増強して血圧が過度に低下するおそれがあります。
  • ジゴキシン(心不全や頻脈などの治療薬):カルブロックとの併用でジゴキシンの血中濃度が上昇することが報告されています。
  • シメチジン(胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療薬)、イマチニブメシル酸塩(慢性骨髄性白血病などの治療薬)、マクロライド系抗生物質、タンドスピロンクエン酸塩(抗不安薬の一種):カルブロックの作用が増強されるおそれがあります。
  • シンバスタチン(高脂血症治療薬):シンバスタチンの作用が増強されるおそれがあります。
  • シクロスポリン(免疫抑制薬)、ベンゾジアゼピン系薬剤(一部の睡眠導入剤や抗不安薬など)、経口黄体・卵胞ホルモン(経口避妊薬など):併用薬またはカルブロックの作用が増強されるおそれがあります。
  • リファンピシン(結核などの治療薬)、フェニトイン(てんかん発作などの治療薬)、フェノバルビタール(てんかん発作などの治療薬):カルブロックの作用が減弱するおそれがあります。

グレープフルーツジュースとの飲み合わせについて

カルブロックなどのCa拮抗薬は、グレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪いことが知られています。これは、グレープフルーツジュースに含まれる成分がCa拮抗薬の代謝を阻害して、有効成分の血中濃度が上昇するおそれがあるためです。
カルブロックは、Ca拮抗薬のなかでも比較的グレープフルーツジュースの影響を受けやすい薬剤です。したがって、カルブロックを服用している間はグレープフルーツジュースを飲まないようにしてください。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方・肝機能障害がある方への使用

重篤な腎機能障害がある場合にカルブロックを服用すると、降圧にともない腎機能が低下するおそれがあります。また、カルブロックは重篤な肝機能障害がある方を対象とした臨床試験を実施していません。
このようなことから、腎機能障害・肝機能障害がある方にカルブロックを投与する場合は、降圧効果や副作用の発現状況などに注意しながら慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

カルブロックは、動物を対象とした試験で、妊娠前~初期の投与において着床前および着床後胚死亡率の増加、出生児の体重低下、妊娠期間および分娩時間の延長が認められています。また、妊娠末期の投与では妊娠期間および分娩時間の延長が認められています。
そのため、カルブロックは妊娠中の方や妊娠の可能性がある方への投与は禁忌となっています。

授乳中の方への使用

カルブロックは、動物を対象とした試験で母乳中への移行が報告されています。
したがって、授乳中の方へカルブロックを投与する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

カルブロックは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。そのため、カルブロックを使用できるのは成人のみです。
ご家庭ではお子さまの誤服用を避けるため、保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

一般的に、高齢の方の過度の降圧は、脳梗塞などをまねくおそれがあることから好ましくないとされています。高齢の方に使用する場合は、8mgあるいはさらに低用量から投与を開始し、慎重に治療方針を決めていきます。

カルブロックの患者負担・薬価について

カルブロックには8mgと16mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。

カルブロック錠8mg 18.8円/錠
カルブロック錠16mg 34.9円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがカルブロック錠16mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は314.1円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費を抑えられます。

よくあるご質問

カルブロックは、飲み始めてからどれくらいで効果があらわれますか?

国内で実施された臨床試験では、カルブロックの投与開始から2~4週目に有意な降圧が認められたという結果が示されています。
ただし、効果のあらわれ方には個人差があります。降圧作用の影響でめまいやふらつきなどが生じることもあるため、高所での作業や自動車の運転など危険をともなう操作をする場合は、十分に注意してください。

カルシウム拮抗薬を飲むと、歯ぐきが腫れることがあると聞きました。どれくらいの割合で腫れるのですか?予防方法はあるのですか?

カルシウム拮抗薬を服用すると、歯肉が過度に増殖する「歯肉肥厚」と呼ばれる副作用が生じることがあります。ただ、カルブロックを服用した場合の歯肉肥厚の発現頻度は明らかになっていません。
なお、歯肉肥厚は、歯肉をよくブラッシングしたり、定期的に歯石を除去したりするなどして口腔内を清潔に保つとある程度予防できるとされています。

カルブロックを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

カルブロックを飲み忘れた場合は、気が付いたときにできるだけ早く1回分を服用してください。ただし、次に飲む時間が近い場合は忘れた分は飲まず、次の服用タイミングで1回分を服用してください。なお、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。服用量が多すぎると副作用が発生しやすくなります。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。