糖尿病治療薬「グルファスト(ミチグリニド)」速効型インスリン分泌促進剤

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グルファストとは?

グルファストの写真

グルファスト(一般名:ミチグリニド)は、膵臓β細胞のスルホニルウレア受容体への結合を介してインスリン分泌を促進する薬剤です。
作用としてはグリメピリドなどのSU剤によく似ていますが、作用発現までの時間が短いことからおもに食後の高血糖対策として用いられます。
なお、「グルファスト(Glufast)」という名称は、食後のグルコース(グル:Glu)の上昇を、速やかな(ファスト:fast)インスリン分泌促進作用により改善することから付けられたとのことです。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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グルファストの特徴

グルファストは、服用後すぐにインスリン分泌促進効果があらわれる薬剤です。食直前に服用することで食後の高血糖を改善します。作用時間が短いため、空腹時血糖があまり高くない軽度の糖尿病の治療に向いています。SU剤(アマリールなど)に比べて膵臓のβ細胞を疲弊させにくく、長期間使用しても効果が減弱しにくいという利点もあります。普通錠とOD錠(口腔内崩壊錠)があるため、嚥下機能が低下している方にも使うことができます。

効能効果・用法用量

グルファストは2型糖尿病に適応があります。
成人には、通常1回10mgを1日3回毎食直前に投与します。
なお、投与量は症状に応じて適宜増減します。

血糖改善効果

食事療法のみでは十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、グルファストの12週間の投与でHbA1cが0.44%減少してプラセボ群と有意な差が認められました。
また、52週間におよぶ長期投与試験では、HbA1cが0.48%減少しました。

グルファストの服用方法

グルファストは、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱します。効果的に食後の血糖上昇を抑制するためには、食事の直前(5分以内)に服用する必要があります。
なお、グルファストは投与後速やかに効果が発現するため、食事の30分前に投与すると食事の15分前には血中のインスリン値が上昇して食事開始時の血糖値が低下することが報告されています。
したがって、服用タイミングが早すぎると食事開始前に低血糖を誘発するおそれがあるため、自己判断で服用タイミングを変更するのは避けてください。

グルファストを服用する上での注意点

グルファストを服用できない方

以下に該当する場合は、グルファストの服用が禁忌とされています。

  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の場合(輸液およびインスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、グルファストの投与は適しません。)
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン注射による血糖管理が望まれるため、グルファストの投与は適しません。)
  • グルファストの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 妊娠中または妊娠している可能性がある場合(動物を対象とした試験で、低血糖によると推定される母動物死亡などが報告されています。)

服用に注意が必要な方

以下の場合は、グルファストの投与が禁忌とはされていませんが注意が必要です。

  • 虚血性心疾患がある場合(心筋梗塞を発症した症例が報告されています。)
  • 低血糖を起こすおそれがある以下のような場合(グルファストの服用で低血糖の発現リスクが高くなります。)
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
  • 下痢、嘔吐などの胃腸障害がある場合
  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
  • 激しい筋肉運動を行う場合
  • 過度のアルコール摂取がある場合

その他、腎機能障害または肝機能障害がある方・高齢の方なども、グルファストの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

グルファストの副作用

グルファストのおもな副作用として、口内炎、口渇、胃炎、腹部の張り、下痢や便秘、眠気、むくみなどが報告されています。
また、重大な副作用として、心筋梗塞、低血糖、肝機能障害が報告されています。グルファストの服用にともない下記のような症状があらわれた場合は、適切な処置をしたり受診して治療を受けたりしてください

心筋梗塞 前胸部の圧迫感や痛み、
息苦しさ、冷や汗
低血糖 めまい、ふらつき、
冷や汗、脱力感、動悸、
手足のふるえ、異常な空腹感、
意識障害
肝機能障害 全身のだるさ、疲れやすい、
食欲不振、吐き気

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、グルファストとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、グルファストの作用点はSU剤と同じであり、SU剤との相加・相乗の臨床効果および安全性が確立されていないため、SU剤とは併用しないこととされています。
なお、SU剤以外にも併用に注意が必要な薬剤は多数あります。他の医療機関で下記の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関を受診する際は、グルファストの服用を必ず伝えてください。

  • 糖尿病用薬、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、クロフィブラートなど(高脂血症治療薬)、サルファ剤(抗菌剤)、β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、タンパク同化ホルモン剤(骨粗しょう症や再生不良性貧血などの治療薬)、テトラサイクリン系抗生物質:血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • アドレナリン、副腎皮質ホルモン、卵胞ホルモン、ニコチン酸、一部の抗結核薬(イソニアジド、ピラジナミド)、フェノチアジン系薬剤(統合失調症などの治療薬)、利尿薬、フェニトイン(てんかん発作の治療薬):血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがあります。
  • 甲状腺ホルモン:血糖値が変動するおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

グルファストを慢性腎不全の方に投与した臨床試験では、血漿中薬物未変化体濃度の消失半減期が延長されたことが報告されています。この臨床試験では、腎機能低下者に低血糖症状の発現は認められませんでしたが、薬物動態データの結果から判断すると、低血糖症状が発現する可能性は否定できません。
そのため、腎障害がある方にグルファストを使用する場合は、副作用の発現状況などに留意しながら慎重に投与量などを検討します。

肝機能障害がある方への使用

グルファストはおもに肝臓で代謝されるため、肝機能障害がある場合は代謝機能が低下して低血糖を起こすおそれがあります。
また、グルファストの単独療法を検討した臨床試験では、肝機能障害を合併した症例で肝機能検査値の悪化を認めた例がありました。
したがって、肝機能障害がある場合は低用量から投与を開始するなどして慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

グルファストは、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方には投与できません。
グルファストは、動物を対象とした試験で胎盤通過が認められており、また、周産期に低血糖によると推定される母動物の死亡が認められています。

授乳中の方への使用

グルファストは、動物を対象とした試験で母乳への移行が認められています。
したがって、授乳中の方へグルファストを投与する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

グルファストは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、グルファストの保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方では、腎機能や肝機能などが低下していることが多く、低血糖やその他の副作用の発現率も高い傾向があります。
したがって、高齢の方にグルファストを使用する場合は血糖値に留意し、定期的に検査を行うなど経過を十分に観察しながら慎重に治療を進めていきます。

低血糖に関する注意点

グルファストには血糖降下作用があるため、副作用として低血糖が生じるおそれがあります。万が一、グルファスト服用後に低血糖症状(脱力感、強い空腹感、冷や汗、動悸、ふるえ、頭痛、しびれ、集中力の低下、意識障害、痙攣など)があらわれた場合は、糖質を含む食品(飴やジュースなど)を摂取して糖分を補給してください。
ただし、α-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)と併用している場合は、砂糖などでは症状の回復が遅れるおそれがあります。そのため、必ずブドウ糖を摂取してください。
なお、糖分を摂取しても症状が回復しない場合は、すみやかに受診してください。症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。

グルファストの患者負担・薬価について

グルファストには5mg・10mgの2規格があり、それぞれ普通錠とOD錠(口腔内崩壊錠)があります。各規格・剤型の薬価は以下のとおりです。

グルファスト錠5mg
グルファストOD錠5mg
15.5円/錠
グルファスト錠10mg
グルファストOD錠10mg
27.4円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがグルファスト錠10mgを1日3回30日分処方された場合、ご負担金額は739.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

グルファストを食後に服用すると、どうなりますか?

グルファストを食後に服用すると、食直前の服用に比べて血糖降下作用が減弱するおそれがあります。
一方で、血液中の成分量がピークになる時間がずれるため、低血糖発現のリスクが高くなります。
効果の点でも副作用の点でも悪影響が生じるおそれがあるため、グルファストは必ず食事の直前(5分以内)に服用するようにしてください。

グルファスト錠10mgは楕円形ですが、グルファストOD錠10mgは円形ですよね。形が違うと別の薬のような気がして不安です。何か理由があるのですか?

グルファストのOD錠が円形なのは、口腔内での良好な崩壊性を保ちながら、破損や欠けを起こしにくくするためです。
形は違いますが、有効成分の量は同じですし、効果にも差はありませんので、ご安心ください。

グルファストを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

グルファストを飲み忘れた場合は、その回は服用せず次の食事直前(5分以内)に1回分を服用してください。その際、2回分を一度に服用してはいけません。服用量が多くなると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。