ロトリガとは?
ロトリガ(一般名:オメガ-3脂肪酸エチル)は、EPA・DHA製剤と呼ばれる薬剤です。
ロトリガの有効成分は、魚の油成分を原料とする高濃度のオメガ-3脂肪酸エチルで、主成分はイコサペント酸エチル(EPA−E)とドコサへキサエン酸エチル(DHA−E)です。オメガ-3脂肪酸エチルには、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制し、血中からのトリグリセリド消失を促す働きが認められています。
「ロトリガ」という名称は、「low triglyceride(トリグリセリド低下)」に由来します。
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ロトリガの特徴
ロトリガは、おもにトリグリセリド(中性脂肪)を低下させる薬剤です。適応は高脂血症だけですが、抗血小板作用を有することから血液を固まりにくくする性質もあります。肝臓や腎臓に悪影響をおよぼさないことから、フィブラート系薬剤(トリグリセリドを下げる作用が強い薬剤)を使いにくい方にも処方できます。また、フィブラート系薬剤と併用しにくいスタチン系薬剤と一緒に使うこともできます。
適応疾患・用法用量
ロトリガは、高脂血症に適応があります。
通常、成人には1日1回・1回2gを食直後に投与します。ただし、トリグリセリド高値の程度により、1回2g、1日2回まで増量できます。
脂質低下作用と治療上のメリット
ロトリガをトリグリセリド高値の患者に投与した臨床試験では、トリグリセリドが約11~23%低下したという結果が報告されています。
また、別の臨床試験では、患者の背景要因(治療開始時のトリグリセリド値・性別・年齢・BMI・メタボリックシンドロームの有無・糖尿病の有無など)にかかわらず、ロトリガの投与でトリグリセリドが低下することが示されています。
その他、ロトリガは脂質の質を改善する効果も認められています。
ロトリガを服用する上での注意点
ロトリガを服用できない方
ロトリガの有効成分であるオメガ-3脂肪酸エチルには、血清脂質改善作用のほか、血小板凝集抑制作用も認められています。そのため、出血がある場合(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血など)には使用できません。これらの場合に使用すると、止血が困難となるおそれがあります。
また、ロトリガの成分(魚油由来成分・ゼラチンなど)に対して過敏症の既往歴がある場合も、ロトリガを使用できません。特に、青魚アレルギーの方はロトリガの服用で重篤なアレルギー症状をまねくおそれがあるため、事前にお知らせください。
服用に注意が必要な方
以下の場合は禁忌ではないものの、出血を助長するおそれがあるためロトリガの服用に注意が必要です。
など。
なお、添付文書には記載されていませんが、抜歯を予定している場合も服用を中止しなければならないことがあります。歯科治療を受けている場合は、歯科医師にロトリガの服用を伝えてください。
ロトリガの副作用
おもな副作用として、下痢や発疹、そう痒などが報告されています。また、重大な副作用として、肝機能障害や黄疸が報告されています。
重大な副作用の発生頻度は不明ですが、ロトリガの服用にともない、倦怠感・食欲不振・白目や皮膚が黄色くなる、など副作用が疑われる症状があらわれた場合は、すぐに受診して適切な治療を受けてください。
日常生活における注意点
ロトリガの服用方法・服用タイミングに関して
ロトリガは、油分を含有する軟カプセルです。噛むと油状の成分が出てきてしまうため、服用時に噛まないよう注意してください。
そして、ロトリガは食直後に服用するようにしてください。ロトリガに対する食事の影響を検討した成績はありませんが、類薬であるEPA製剤(イコサペント酸エチル)では、食前投与は食後投与と比較して血漿中のEPA濃度が低下することが示されています。十分な効果を得るためにも、食直後の服用を守るようにしてください。
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、ロトリガとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。
- 抗凝固薬(ワルファリンカリウムなど)、抗血小板薬(アスピリンなど):併用すると出血を助長するおそれがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
腎機能障害がある方への使用
ロトリガは、体内に吸収されたあと二酸化炭素と水に分解され、呼気から体外へ排泄されます。そのため、腎機能に影響を与えることはほとんどなく、用量調節も不要と考えられています。
妊娠中の方への使用
ロトリガを妊娠中の方に投与した場合の安全性は確立していません。
したがって、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ、投与を検討します。
授乳中の方への使用
ロトリガは、動物を対象とした試験で乳汁中への移行が報告されています。
そのため、授乳中の方には投与しないことが望ましいとされています。やむを得ず投与する場合であっても、授乳は避けなければなりません。
お子さまへの使用
ロトリガは、低出生体重児・新生児・乳児・幼児・小児に対する使用経験が乏しく、安全性も確立していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐために、ロトリガの保管場所などにご注意ください。
ロトリガの患者さま負担・薬価について
ロトリガの薬価は以下の通りです。ロトリガは開封して分包することを想定していないため、薬価は一包あたりで設定されています。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがロトリガ2g(一包)を1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は1974.6円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- ロトリガの成分であるEPAやDHAは健康食品にも含まれていると思うのですが、何が違うのですか。
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たしかに、EPAやDHAを含む健康食品は数多く販売されています。しかし、いずれも「食品」であって、医薬品ではありません。製品によってEPAやDHAの量もバラバラですし、EPAやDHA以外の成分が添加されている場合もあります。
一方、ロトリガは高濃度のオメガ-3脂肪酸を主成分とする医療用医薬品です。主成分であるEPA-E・DHA-Eの含有量も健康食品に比べて多く、医師の診断に基づいて高脂血症の治療に用いる場合は保険も適用されます。また、臨床試験においてトリグリセリド低下作用も証明されています。
高脂血症は継続的な治療が必要ですので、効果や副作用のリスク、経済的負担の観点からも、ロトリガのほうが有用であると考えられます。
- ロトリガと健康食品を併用してもいいですか?
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ロトリガに限らず、医薬品と健康食品を併用すると思わぬ健康被害が生じるおそれがあります。特にロトリガは血小板凝集抑制作用を有するため、「血液サラサラ」などを謳う健康食品と併用すると、出血傾向が高まるおそれがあります。
健康食品を使用したい場合は、あらかじめ診察時に相談するか、かかりつけの薬剤師にご相談ください。
- ロトリガを噛んだら魚の臭いがしました。薬の品質は大丈夫ですか?
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ロトリガは、魚油由来のオメガ-3脂肪酸を高濃度に精製した製剤です。そのため、カプセルを噛むと魚油特有の臭いがします。品質に問題はありませんが、噛むと油状の成分が出てくるうえに飲みづらくなるため、噛まずに服用するようにしてください。
- ロトリガとエパデールの違いは何ですか?
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エパデールの主成分はイコサペント酸エチルのみですが、ロトリガの主成分はイコサペント酸エチルとドコサへキサエン酸エチルです。また、エパデールとロトリガでは、適応疾患が一部異なります。
なお、ロトリガ粒状カプセルの治験時のデータでは、トリグリセリド低下作用については、ロトリガの効果がエパデールに劣ることはないという結果が示されています。
- ロトリガを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?ロトリガを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
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ロトリガを飲み忘れた場合は、忘れた分は飲まないで次の服用時間に1回分を服用してください。ただし、2回分を一度に飲んではいけません。
ロトリガは空腹時に服用すると吸収が悪くなるため、飲み忘れた場合でも食直後に服用することを意識してください。