高血圧症治療「ミネブロ錠(エサキセレノン)」選択的アルドステロン拮抗薬

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ミネブロとは?

ミネブロの写真

ミネブロ(一般名:エサキセレノン)は、ミネラルコルチコイド受容体に選択的に結合し、血圧上昇に関与する「アルドステロン」というホルモンの働きをおさえる薬剤です。

アルドステロンの作用が阻害されると、体内の余分な水分や塩分の排泄が促進されるため、むくみや血圧の上昇がおさえられ、心臓の負担軽減につながります。

なお、「ミネブロ」という名称は、「ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー」に由来します。

オンライン診療対応可能

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ミネブロの特徴

ミネブロは利尿作用のある薬剤で、カリウムを保持しながらナトリウムを排泄させる作用があります。
適応は高血圧症のみですが臓器保護作用があるため、心肥大や腎障害などの悪化を防ぐ効果も期待できます。

ミネラルコルチコイド受容体に対する選択性が高いため、同系統の薬剤(アルダクトンA)で見られる性ホルモン関連副作用(女性化乳房、乳房痛、不正性器出血など)が起きにくいという利点もあります。

ミネブロの効能効果・用法用量

ミネブロは高血圧症に適応があります。

通常、成人には2.5mgを1日1回投与します。
なお、効果が不十分な場合は5mgまで増量できます。

ただし、ミネブロの投与中に血清カリウム値が高くなった場合には、投与量の減量または中止を検討します。

また、中等度の腎機能障害がある場合・アルブミン尿あるいは蛋白尿をともなう糖尿病の場合は、1.25mgを1日1回投与から開始し、状態に応じて投与開始から4週間以降を目安に2.5mgまで増量します。

この場合も、効果が不十分であれば5mgまで増量できます。

ミネブロの治療上のメリット

ミネブロと同系統の薬剤としては、ステロイド骨格を持つスピロノラクトン(商品名:アルダクトンAなど)やエプレレノン(商品名:セララなど)がありますが、ミネブロはステロイド骨格を持たないためステロイドホルモン様作用がありません。

また、消失半減期が長いため、作用が長時間続くのも特徴です。

さらに、エプレレノンで禁忌とされている中等度以上の腎機能障害や、微量アルブミン尿あるいは蛋白尿をともなう糖尿病に対しても投与できます。

ミネブロを服用する上での注意点

ミネブロを服用できない方

以下の場合はミネブロを服用できません。

  • ミネブロの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 高カリウム血症の場合、もしくは投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている場合(高カリウム血症を増悪させるおそれがあります。)
  • 重度の腎機能障害がある場合(高カリウム血症を誘発するおそれがあります。)
  • カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン、トリアムテレン、カンレノ酸カリウム)、アルドステロン拮抗薬(エプレレノン)またはカリウム製剤(塩化カリウム、グルコン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム)を投与中の場合(血清カリウム値が上昇するおそれがあります。)

ミネブロの服用に注意が必要な方

アルブミン尿または蛋白尿をともなう糖尿病の場合は、高カリウム血症のリスクが高まるおそれがあります。
そのため、より頻回に血清カリウム値を測定するなどして慎重に治療を進めていく必要があります。

その他、禁忌には該当しないものの腎機能障害・肝機能障害がある方、妊娠中の方、授乳中の方、ご高齢の方なども、ミネブロの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

ミネブロの副作用

ミネブロの副作用として、血清カリウム値の上昇や高尿酸血症、貧血、めまい、頭痛、低血圧などが報告されています。

その他、重大な副作用として高カリウム血症が報告されています。

ミネブロの服用にともない、手足や唇のしびれ・筋力の低下・脱力感・手足の麻痺・吐き気や嘔吐・下痢・腹部の張りなどがあらわれた場合は高カリウム血症の初期症状である可能性が否定できないため、すぐに受診して適切な治療を受けてください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

ミネブロは、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン・トリアムテレン・カンレノ酸カリウム)やアルドステロン拮抗薬(エプレレノン)、カリウム製剤(塩化カリウム、グルコン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム)との併用が禁忌とされています。

これは、併用でカリウム貯留作用が増強され、血清カリウム値が上昇するおそれがあるためです。

その他、併用に注意しなければならない薬剤は以下のとおりです。
他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

また、他の医療機関で治療を受ける場合は、ミネブロを服用していることを伝えてください。

  • ACE阻害薬、ARB、アリスキレン(高血圧症の治療薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、タクロリムス(免疫抑制薬)、ドロスピレノン(月経困難症の治療薬):血清カリウム値が上昇するおそれがあります。
  • イトラコナゾール(抗真菌薬)、クラリスロマイシン(抗生剤)、エンシトレルビル(コロナウィルス感染症治療薬)など:ミネブロの代謝が阻害され、血清カリウム値の上昇をまねくおそれがあります。
  • リファンピシン(結核などの治療薬)、フェニトイン(抗てんかん薬)、カルバマゼピン(てんかんや三叉神経痛などの治療薬)など:ミネブロの代謝が促進され、血漿中濃度が減少するおそれがあります。
  • リチウム製剤(双極性障害などの治療薬):リチウム中毒をまねくおそれがあります。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬:ミネブロの降圧作用が減弱するおそれがあります。また、腎機能障害がある場合は高カリウム血症があらわれるおそれがあります。
  • ミトタン(副腎がんやクッシング症候群の治療薬):類薬で、ミトタンの効果が阻害されたという報告があります。

セントジョーンズワートとの併用に関して

ミネブロは、健康食品やハーブティーなどに含まれるセントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)との併用にも注意が必要です。
両者を併用すると、ミネブロの代謝が促進されて効果が減弱するおそれがあります。

予期せぬ副作用を防ぐためにも、ミネブロを服用している間はセントジョーンズワートを含む食品や茶類などを摂取しないようにしてください。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方

重度の腎機能障害がある場合は、ミネブロを服用できません。
これは、高カリウム血症を誘発するおそれがあるためです。

中等度の腎機能障害については使用可能ですが、投与は少量から開始して、症状に応じて少しずつ増量していきます。
ただし、高カリウム血症の発生リスクが高いため、より頻回に血清カリウム値を測定するなどして慎重に治療を進めていきます。

肝機能障害がある方への使用

ミネブロは肝代謝型薬剤であるため、重度の肝機能障害がある方に投与すると血中濃度が上昇する可能性が否定できません。
また、臨床試験では重度の肝機能障害がある方への使用経験がありません。
そのため、投与にあたっては、状態や血清カリウム値の変化に留意しながら慎重に治療を行います。

妊娠中の方への使用

ミネブロは、動物を対象とした試験で催奇形性は認められていないものの、胎児に移行することが確認されています。
また、一部の動物では着床数、生存胚数および出生児体重の低値が認められています。

そのため、妊娠中の方または妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。

授乳中の方への使用

ミネブロは、動物を対象とした試験で乳汁への移行が確認されています。

ヒトの乳汁中への移行については明らかになっていませんが、ミネブロを授乳中の方へ使用する場合は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

ミネブロは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
また、安全性も確立していません。

ご家庭ではお子さまの誤服用を避けるため、保管場所や保管方法にご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方の場合、一般的に過度の降圧は脳梗塞などを誘発するおそれがあるため、好ましくないとされています。
また、腎機能や肝機能が低下している場合も少なくないため、高カリウム血症が発現するリスクも高くなっています。

このようなことから、高齢の方にミネブロを使用する場合は、投与量を調節したり、より頻回に血清カリウム値を測定したりするなどして慎重に治療を進めていきます。

ミネブロの患者さま負担・薬価について

ミネブロには1.25mg・2.5mg・5mgの3つの規格があり、それぞれ普通錠とOD錠(口腔内崩壊錠)があります。
各規格の薬価は以下のとおりです。

ミネブロ錠1.25mg
ミネブロOD錠1.25mg
47.8円/錠
ミネブロ錠2.5mg
ミネブロOD錠2.5mg
91.6円/錠
ミネブロ錠5mg
ミネブロOD錠5mg
137.4円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがミネブロ錠2.5mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は824.4円になります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

ミネブロを飲み始めてから、立ちくらみを起こすことが増えたように思います。
薬に慣れれば、めまいはだんだん減ってくるものでしょうか?

降圧作用のある薬は、飲むのを始めてしばらくの間はめまいや立ちくらみを起こすことがあります。
急に立ち上がったりすると立ちくらみを起こしやすいので、急な動作をしないように心がけてください。

また、高所での作業や自動車の運転など危険をともなう作業を行う際には、特に注意してください。

なお、めまいや立ちくらみは服用を続けるうちにだんだん起きにくくなります。
ただし、いつまでも症状が続く場合は診察時にご相談ください。

飲み合わせが悪いことを知らずに、セントジョーンズワートのハーブティーをずっと飲んでいました。
すぐに飲むのをやめたほうがいいですよね?

今までセントジョーンズワートを摂取していた場合、ミネブロの作用が減弱されていた可能性があります。

セントジョーンズワートの摂取をやめるとミネブロの作用が十分に発揮されるようになると考えられますが、逆に作用が強くなり過ぎる可能性も否定できません。

そのため、セントジョーンズワートの摂取中止にともない、めまいや過度の血圧降下、手足のしびれなどがあらわれたら速やかに受診してください。
症状によっては、投与量の調整を検討します。

ミネブロを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

ミネブロを飲み忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。

ただし、次の服用時間が近いときは1回分の服用を飛ばし、次の服用タイミングで1回分を服用してください。

その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ミネブロはコーヒーやお茶で飲んでも良いですか?

ミネブロは、水やぬるま湯以外で服用した場合のデータがありません。

コーヒーやお茶で飲むと体内動態に予想外の影響が生じる可能性も否定できないため、必ず水またはぬるま湯で服用してください。

ミネブロとケレンディアの違いは何ですか?

ミネブロとケレンディアは、いずれもミネラルコルチコイド受容体に作用する薬剤です。
しかし、ミネブロの適応は「高血圧症」のみです。

一方、ケレンディアの適応は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」のみです。

また、使用できる患者にも違いがあり、ミネブロは重度の腎機能障害のある方には投与できませんが、ケレンディアは重度の腎機能障害のある方にも使用が認められています(ただし、ケレンディア投与中に末期腎不全または透析に至った場合は投与中止)。

さらに、禁忌の内容にも違いがあります。

ミネブロは重度の腎機能障害の場合のほか、カリウム保持性利尿薬などとの併用が禁忌となっています。
ケレンディアは、重度の肝機能障害がある場合やアジソン病の場合、CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)との併用などが禁忌となっています。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。