利尿薬「ダイアート(アゾセミド)」持続型ループ利尿薬

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ダイアートとは?

ダイアートの写真

ダイアート(一般名:アゾセミド)は、ループ系利尿薬の一種です。
ループ系利尿薬には、尿細管がループ状に曲がっている部位(ヘンレ係蹄上行脚髄質部)に作用して尿量を増やす働きがあります。ダイアートを投与すると、体内にたまった余分な水分が尿として排泄されるため、むくみが解消されて心臓にかかる負担も軽減されます。
なお、「ダイアート(Diart)」という名称は、「Diuresis(利尿)をArt(創造)する」という意味で命名されたとのことです。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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ダイアートの特徴

ダイアートは、ほかのループ利尿薬に比べて作用がおだやかで自然に近い利尿が得られる薬剤です。持続的に作用するため、1日の尿量はほかのループ利尿薬とほぼ同等です。また、同系統のほかの薬剤(ラシックス)に比べて電解質異常を起こしにくいため、使いやすい利尿薬といえます。

ダイアートの効能効果・用法用量

ダイアートは、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫に適応があります。
通常、成人には1日1回60mgを投与します。なお、投与量は年齢、症状により適宜増減します。

ダイアートの効果発現時間・効果持続時間

健康な成人男性を対象とした試験では、ダイアートの投与から1時間以内に利尿作用が発現し、9時間後まで持続したことが報告されています。また、むくみのある方を対象とした臨床試験では、12時間後まで作用が持続したと報告されています。
もっとも、ダイアートの利尿作用は従来のループ利尿薬に比べて穏やかで、自然に近い利尿が得られます。また、持続的に作用するため、1日の尿の総量は従来のループ利尿薬とほぼ同等です。

ダイアートを服用する上での注意点

ダイアートを服用できない方

以下の場合は、ダイアートを服用できません。

  • 無尿の場合(ダイアートの効果が期待できません。)
  • 肝性昏睡の場合(肝性昏睡が悪化するおそれがあります。)
  • 体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している場合(電解質異常を起こすおそれがあります。)
  • 男性の夜間頻尿の治療としてデスモプレシン酢酸塩水和物を投与中の場合(低ナトリウム血症が発現するおそれがあります。)
  • スルフォンアミド誘導体(ダイアートとよく似た構造を持つ薬剤)に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)

ダイアートの服用に注意が必要な方

以下の場合はダイアートの服用が禁忌とされているわけではありませんが、注意が必要です。

  • 重篤な冠動脈硬化症または脳動脈硬化症がある場合(急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少や血液濃縮をきたし、血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。)
  • 本人または両親・兄弟に痛風、糖尿病がある場合(痛風発作を起こすことがあります。また、糖尿病が悪化することがあります。)
  • 下痢、嘔吐がある場合(電解質異常を起こすことがあります。)
  • 手術前の場合(手術時に使用する薬剤の効果に影響するおそれがあります。)
  • 減塩療法中の場合(低ナトリウム血症を起こすことがあります。)

ダイアートの副作用

ダイアートの副作用として、高尿酸血症や高血糖症、発疹、食欲不振、めまい、耳鳴り、頭痛、脱力感、筋肉の痙攣、関節痛などが報告されています。
その他、重大な副作用として、電解質異常、無顆粒球症、白血球減少などが報告されています。重大な副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、以下のような症状があらわれた場合はすぐに受診して適切な治療を受けてください。

電解質異常
(低カリウム血症、低ナトリウム血症など)
全身のだるさ、手足の震え、脱力感
無顆粒球症、白血球減少 喉の痛み、高熱、筋肉痛

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

ダイアートは、デスモプレシン酢酸塩水和物(商品名:ミニリンメルト)との併用が禁忌になっています。これは、併用により低ナトリウム血症をまねくおそれがあるためです。
その他、併用に注意しなければならない薬剤は以下のとおりです。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関で治療を受ける場合は、ダイアートを服用していることを伝えてください。

  • 降圧薬:降圧作用が増強されるおそれがあります。
  • アミノグリコシド系抗生物質:アミノグリコシド系抗生物質の副作用である聴覚障害が増強されるおそれがあります。また、腎毒性が増強されるおそれがあります。
  • セファロスポリン系抗生物質:腎毒性が増強されるおそれがあります。
  • ジギタリス製剤(心不全や頻脈などの治療薬):ジギタリス製剤の作用が増強されるおそれがあります。
  • ヒドロコルチゾン(ステロイドの一種)・甘草含有製剤:低カリウム血症が発現するおそれがあります。
  • SU剤・インスリン(糖尿病治療薬):SU剤やインスリンの作用が著しく減弱するおそれがあります。
  • ビグアナイド系薬剤(糖尿病などの治療薬):ビグアナイド系薬剤による乳酸アシドーシスをまねくおそれがあります。
  • SGLT2阻害剤(糖尿病治療薬):利尿作用が増強されるおそれがあります。
  • リチウム製剤(両極性障害などの治療薬):リチウム中毒をまねくおそれがあります。
  • アスピリン(解熱鎮痛消炎薬):アスピリンの排泄が遅れて中毒症状が起こるおそれがあります。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬:ダイアートの利尿作用が減弱するおそれがあります。
  • 尿酸排泄促進薬(痛風の治療薬):尿酸排泄促進薬の作用が減弱するおそれがあります。
  • カルバマゼピン(てんかんや躁状態の治療薬):低ナトリウム血症を起こすおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方・肝機能障害がある方への使用

重篤な腎機能障害のある方にダイアートを投与すると、排泄の遅延により血中濃度が上昇するおそれがあります。
また、進行した肝硬変がある場合や肝疾患・肝機能障害がある場合にダイアートを投与すると、肝性脳症を誘発するおそれがあります。
そのため、腎機能障害や肝機能障害のある方にダイアートを投与する場合は、慎重に治療を進めていきます。
なお、肝性昏睡の場合はダイアートにより症状が悪化するおそれがあるため、投与禁忌とされています。

妊娠中の方への使用

動物を対象とした試験で、ダイアートは一過性の骨格異常が認められています。
そのため、妊娠2~6ヵ月の方、あるいは妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。

授乳中の方への使用

動物を対象とした試験で、ダイアートの類薬が母乳中に移行することが報告されています。
したがって、ダイアートを授乳中の方に投与する際は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

ダイアートは、小児に対する適応がありません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方の場合、急激な利尿は脱水・低血圧などによる立ちくらみ・めまい・失神などを引き起こすことがあります。特に心疾患などでむくみがある方では、急激な利尿が脳梗塞などの血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。さらに、高齢の方は低ナトリウム血症や低カリウム血症のリスクも高い傾向があります。
このようなことから、高齢の方にダイアートを使用する場合は、少量から投与を始めるなどして状態を観察しながら慎重に治療を進めます。

ダイアートの患者さま負担・薬価について

ダイアートには30mgと60mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。

ダイアート錠30mg 13.6円/錠
ダイアート錠60mg 19.9円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがダイアート錠60mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は179.1円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

以前、他の利尿薬でトイレが近くなりとても困りました。ダイアートも同じでしょうか?

一般的に、短時間作用型の利尿薬は服用から1~2時間の間に尿量が急激に増えますが、ダイアートは短時間作用型の利尿薬ほど急激に尿量は増えません。比較的ゆっくりと効果があらわれ、自然に近い利尿が得られるため、ご安心ください。
もっとも、症状や体調によっては作用が強くあらわれることもあります。特に夜間の休息が必要な場合は、午前中の服用を心がけてください。

ダイアートを服用したあと、車の運転をしてもいいですか?

ダイアートの添付文書には、車の運転などに関する注意事項は記載されていません。
しかし、ダイアートを服用すると体内の水分量が減って血圧が下がり、めまいを起こすことがあります。そのため、ダイアート服用中に車の運転など危険をともなう作業をする場合は、体調変化に十分注意して無理をしないようにしてください。

ダイアートを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

ダイアートを飲み忘れた場合は、気付いたときにできるだけ早く1回分を服用してください。ただし、次に飲む時間が近い場合は忘れた分を1回飛ばし、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、一度に2回分を飲んではいけません。服用量が多すぎると副作用の発生リスクが高くなります。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。