アマリールとは?
アマリール(一般名:グリメピリド)は、スルホニルウレア系に分類される血糖降下薬(SU薬)の一種です。
アマリールをはじめとしたSU薬は、膵臓のβ細胞にあるスルホニルウレア受容体(SU受容体)に結合して内因性のインスリンの分泌を促し、血糖降下作用を発揮します。
アマリールは強い血糖降下作用を示しますが、他のSU薬と比べてインスリン分泌促進作用はマイルドです。これは肝臓および末梢組織でのインスリン感受性改善作用に基づくものであると考えられています。
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アマリールの特徴
アマリールは、同系統のほかの薬剤に比べるとインスリン分泌促進作用はそれほど強くありませんが、インスリン感受性を増強する作用もあるため、ほかの薬剤と同等の血糖降下作用が得られます。インスリン分泌促進作用がおだやかであることから、低血糖のリスクが比較的少なく、体重増加の副作用も少なめとされています。また、ほかの糖尿病薬に比べて低薬価であることも利点といえます。
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アマリールの特徴
アマリールはインスリン分泌促進作用とインスリン感受性改善作用を併せ持つ点が特徴的です。体質的に日本人は欧米人に比べてインスリン分泌能が低く、肥満度が高くなくても糖尿病を発症することが多くありますので、アマリールが有効なケースがあります。
効能効果・用法用量
アマリールは、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病に適応があります。
通常、1日0.5~1mgから開始し、1日1~2回朝または朝夕、食前または食後に投与します。維持量は通常1日1~4mgで、必要に応じて適宜増減します。
なお、1日の最高投与量は6mgです。
血糖改善効果
成人に対する効果
食事療法のみを行い、HbA1cが7.0%以上の成人2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、アマリール1~4mg/日の投与でHbA1cが1.0%以上低下した症例は67.6%でした。この試験では、アマリールの投与でHbA1cが8.26%から6.94%に低下したという結果も得られています。
小児に対する効果
食事療法・運動療法で治療中の小児2型糖尿病の方(9~16歳)を対象とした臨床試験によると、試験前にアマリールによる治療を行っていなかった小児ではHbA1c が8.24%から7.61%へ、試験前からアマリールによる治療を行っていた小児ではHbA1c が8.27%から7.94%へ低下する傾向が認められたとのことです。
アマリールを服用する上での注意点
アマリールを服用できない方
以下に該当する場合は、アマリールの服用が禁忌とされています。
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病など)の場合(インスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須であるため、アマリールの投与は適しません。)
- 重篤な肝機能障害または腎機能障害がある場合(低血糖を起こすおそれがあります。)
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン注射による血糖管理が望まれるため、アマリールの投与は適しません。)
- 下痢、嘔吐などの胃腸障害がある場合(低血糖を起こすおそれがあります。)
- 妊娠中または妊娠している可能性がある場合(SU薬は胎盤を通過することが報告されています。また、動物を対象とした試験で催奇形性作用が認められています。)
- アマリールの成分またはSU薬に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
服用に注意が必要な方
以下の場合は、アマリールの服用に注意が必要です。
- 低血糖を起こすおそれがある以下のような場合(アマリールの服用で低血糖の発生リスクが高くなります。)
- 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
- 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
- 激しい筋肉運動を行う場合
- 過度のアルコール摂取がある場合
その他、腎機能障害または肝機能障害がある方・高齢の方なども、アマリールの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。
アマリールの副作用
おもな副作用として、貧血、吐き気や嘔吐、下痢、腹部膨満感、発疹、かゆみ、めまいなどが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、溶血性貧血、血小板減少、肝機能障害、黄疸などが報告されています。アマリールの服用にともない下記のような症状があらわれた場合は、適切な処置をしたり受診して治療を受けたりしてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、アマリールとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、併用に注意が必要な薬剤は多数あります。他の医療機関で下記の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関を受診する際は、アマリールの服用を必ず伝えてください。
- 糖尿病薬:血糖降下作用が相加的に増強され、低血糖を起こすおそれがあります。
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- クラリスロマイシン(抗生物質):他のSU薬の血中濃度を上昇させたとの報告があります。
- 利尿薬、アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、卵胞ホルモン、一部の抗結核薬(ピラジナミド、イソニアジド、リファンピシン)、ニコチン酸、フェノチアジン系薬剤(統合失調症などの治療薬)、フェニトイン(てんかん発作の治療薬)、ブセレリン酢酸塩(子宮内膜症などの治療薬):高血糖症状があらわれるおそれがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
腎機能障害がある方への使用
アマリールをはじめとしたSU薬は、大部分が肝臓で代謝され、おもに腎臓から排泄されます。そのため、重篤な腎機能障害や肝機能障害がある方では、薬物動態に影響が生じて一定した臨床効果が得られないうえに、重篤な副作用が発現する危険性があります。このようなことから、重篤な腎機能障害・肝機能障害がある場合はアマリールの投与が禁忌とされています。
なお、腎機能障害・肝機能障害の程度が重篤でなくても、低血糖などが生じる可能性は否定できません。したがって、副作用の発現状況などに留意しながら慎重に治療を進めていきます。
妊娠中の方への使用
SU薬は胎盤を通過することが報告されており、新生児の低血糖や巨大児が認められています。また、動物を対象とした試験で、アマリールは催奇形性が報告されています。
そのため、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方については、アマリールの使用が禁忌になっています。
授乳中の方への使用
アマリールのヒト母乳への移行性および乳汁産生への影響は不明ですが、動物を対象とした試験では、母乳への移行が認められています。また、他のSU薬で母乳への移行が報告されています。
したがって、授乳中の方へアマリールを投与する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
なお、授乳を継続する場合は、子の低血糖症状についても十分に観察する必要があります。
お子さまへの使用
アマリールは小児に投与することもありますが、低出生体重児・新生児・乳児・幼児および9歳未満の小児については、有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。そのため、ご家庭では特に幼いお子さまの誤服用を防ぐため、保管場所などにご注意ください。
ご高齢の方への使用
高齢の方では、腎機能や肝機能などが低下していることが多く、低血糖の発生リスクも高い傾向があります。
したがって、高齢の方にアマリールを使用する場合は、少量から投与を開始して定期的に検査を行うなど、慎重に治療を進めていきます。
低血糖に関する注意点
アマリールには血糖降下作用があるため、副作用として低血糖が生じるおそれがあります。万が一、アマリール服用時に低血糖症状(脱力感、強い空腹感、冷や汗、動悸、ふるえ、頭痛、しびれ、集中力の低下、意識障害、痙攣など)が認められた場合は、糖質を含む食品(飴やジュースなど)を摂取して糖分を補給してください。
ただし、α-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)との併用により低血糖症状が認められた場合は、必ずブドウ糖を摂取してください。
なお、糖分を摂っても症状が回復しない場合は、すみやかに受診してください。症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状が生じたことを必ず報告してください。
アマリールの患者負担・薬価について
アマリールには0.5mg・1mg・3mgの3規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがアマリール錠1mgを1日2回30日分処方された場合、ご負担金額は217.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- アマリールは食後と食前ではどちらがよく効きますか?
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アマリールは、食前に飲んでも食後に飲んでも作用に違いはありません。
だからといって、指示された飲み方を自己判断で変更するのは避けてください。ライフパターンや併用薬などとの関係でアマリールの飲み忘れが多い場合は、診察時にご相談ください。
- アマリールは、糖尿病の薬のなかでは値段が安いと思うのですが……。本当に効くのですか?
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薬の効き目と薬価はまったく関係がありません。「安かろう悪かろう」というわけではありませんので、ご安心ください。
医療用医薬品の価格は「薬価」と呼ばれ、国がその価格を定めています。そして、新薬は開発に莫大な費用がかかっているため、その点を考慮して薬価が高くなる傾向があります。一方で、すでに販売開始から長期間経っている薬については、比較的薬価が安くなります。
アマリールは1999年から販売されている歴史のある薬剤です。そのため、薬価は高くありませんが、インスリンの分泌不全を生じやすい日本人の2型糖尿病には有用と考えられています。
- アマリールを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
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アマリールを飲み忘れた場合は、1回とばして次の服用時間に1回分を服用してください。その際、2回分を一度に服用してはいけません。服用量が多くなると、副作用の発生リスクが高くなります。