利尿降圧薬「ナトリックス(インダパミド)」持続型非チアジド系降圧薬

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ナトリックスとは?

ナトリックスの写真

ナトリックス(一般名:インダパミド)は、利尿作用と血管平滑筋の収縮反応を抑制する作用を併せ持つ利尿降圧薬です。

尿細管におけるナトリウムおよび水の再吸収抑制による利尿作用に基づく循環血量の減少と、末梢血管平滑筋の収縮抑制によって降圧作用を示すと考えられています。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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ナトリックスの特徴

ナトリックスは、利尿作用と血管収縮を抑制する作用で降圧効果を示す薬剤です。チアジド系薬剤(フルイトランなど)とよく似た構造をしていますが、カリウムを排泄する作用はそれほど強くなく、おだやかで持続的な利尿作用が得られます。また、長期間投与しても効果が減弱することがなく、良好な降圧効果が持続します。大規模臨床試験では、脳卒中や心不全を減少させる効果や死亡を減少させる効果が認められています。

効能効果・用法用量

ナトリックスは、本態性高血圧症に適応があります。
通常、成人には1日1回2mgを朝食後に投与します。投与量は年齢、症状により適宜増減します。
ただし、治療は少量から投与を開始して、徐々に増量していきます。

治療上の特性

ナトリックスは、チアジド系薬剤(トリクロルメチアジドなど)とは構造が異なりますが、類似した作用を有する非チアジド系薬剤です。
しかし、チアジド系薬剤に比べてカリウムの排泄作用は弱めで、利尿作用は緩和かつ持続的です。そのため、副作用の一つである低カリウム血症の発現リスク低減が期待できます。

ナトリックスを服用する上での注意点

ナトリックスを服用できない方

以下の場合は、ナトリックスを服用できません。

  • 無尿の場合(腎機能がさらに悪化するおそれがあります。)
  • 急性腎不全の場合(腎機能をさらに悪化させるおそれがあります。)
  • 体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している場合(低ナトリウム血症・低カリウム血症があらわれるおそれがあります。)
  • チアジド系薬剤またはその類似化合物に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 男性の夜間多尿の治療としてデスモプレシン酢酸塩水和物を投与中の場合(低ナトリウム血症が発現するおそれがあります。)

ナトリックスの服用に注意が必要な方

以下の場合は、ナトリックスの服用に注意が必要です。

  • 重篤な冠動脈硬化症または脳動脈硬化症がある場合(急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少や血液濃縮をきたし、血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。)
  • 本人または両親・兄弟に痛風、糖尿病がある場合(高尿酸血症、高血糖を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがあります。)
  • 下痢、嘔吐がある場合(電解質異常があらわれるおそれがあります。)
  • 高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症がある場合(血清カルシウムが上昇するおそれがあります。)
  • 減塩療法中の場合(低ナトリウム血症などの電解質異常があらわれるおそれがあります。)
  • 交感神経切除後の場合(降圧作用が増強するおそれがあります。)

ナトリックスの副作用

ナトリックスのおもな副作用として、発疹、食欲不振、悪心や嘔吐、口の渇き、立ちくらみ、脱力や倦怠感、頭痛や頭重、総コレステロールの上昇、高尿酸血症、高血糖症などが報告されています。
その他、重大な副作用として、中毒性表皮壊死融解症、低ナトリウム血症、低カリウム血症などが報告されています。重大な副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、以下のような症状があらわれた場合はすぐに受診して適切な治療を受けてください。

中毒性表皮壊死融解症、
皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson症候群)、
多形滲出性紅斑
発熱、紅斑、
そう痒、粘膜疹
低ナトリウム血症 倦怠感、食欲不振、
嘔気、嘔吐、
痙れん、意識障害
低カリウム血症 倦怠感、脱力感、不整脈

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

ナトリックスは、デスモプレシン酢酸塩水和物(商品名:ミニリンメルト)との併用が禁忌になっています。これは、併用により低ナトリウム血症をまねくおそれがあるためです。
その他、併用に注意しなければならない薬剤は以下のとおりです。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関で治療を受ける場合は、ナトリックスを服用していることを伝えてください。

  • バルビツール酸誘導体(てんかんなどの治療薬)、あへんアルカロイド系麻薬(がん性疼痛などに対する鎮痛薬):起立性低血圧が増強されるおそれがあります。
  • 他の降圧薬:降圧作用が増強されるおそれがあります。
  • ジギタリス製剤(心不全や頻脈などの治療薬):ジギタリス製剤の心臓に対する作用が増強されるおそれがあります。
  • 糖質副腎皮質ホルモン剤(ステロイドの一種)、グリチルリチン製剤:低カリウム血症が発現するおそれがあります。
  • リチウム製剤(両極性障害などの治療薬):リチウム中毒をまねくおそれがあります。
  • 糖尿病用薬:糖尿病用薬の作用が減弱するおそれがあります。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬:ナトリックスの利尿降圧作用が減弱するおそれがあります。

なお、ナトリックスはアルコールと併用すると降圧作用が増強されるおそれがあります。そのため、アルコールとの併用にも注意が必要とされています。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

急性腎不全がある方については、ナトリックスの投与が禁忌とされています。これは、ナトリックスを投与すると腎機能がさらに悪化するおそれがあるためです。
急性腎不全でない場合はナトリックスを投与できますが、重篤な腎障害がある場合は腎機能が悪化するおそれがあるため、慎重に治療を進めていきます。

肝機能障害がある方への使用

進行した肝硬変のある方にナトリックスを投与すると、肝性昏睡を誘発するおそれがあります。
したがって、肝疾患や肝機能障害がある方にナトリックスを投与する場合は、体調や検査値の変化などに注意しながら慎重に治療方針を決定します。

妊娠中の方への使用

妊娠後期の方については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
これは、ナトリックスと類似の作用を有するチアジド系薬剤で、新生児または乳児に高ビリルビン血症、血小板減少などを起こすことがあると報告されているためです。

授乳中の方への使用

ナトリックスは、動物を対象とした試験で乳汁中へ移行することが報告されています。
したがって、授乳中の方については治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

ナトリックスは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。また、乳児は成人に比べて電解質バランスが崩れやすいという特徴があります。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、ナトリックスの保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方の場合、急激な利尿は脱水・低血圧などによる立ちくらみ・めまい・失神などを引き起こすことがあります。特に心疾患のある方では、急激な利尿が脳梗塞などの血栓塞栓症を誘発するおそれもあります。また、高齢の方は低ナトリウム血症や低カリウム血症のリスクも高い傾向があります。
このようなことから、高齢の方にナトリックスを使用する場合は、少量から投与を始めるなどして症状や検査値に留意しながら慎重に治療を進めていきます。

デベルザの患者負担・薬価について

デベルザの規格・剤型は20mgの普通錠のみで、薬価は176.1円です。
ただし、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがデベルザ錠20mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は1584.9円になります(薬剤費のみの計算です)。

ナトリックス錠1 1mg 10.1円/錠
ナトリックス錠2 2mg 16.3円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがナトリックス錠2mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は146.7円になります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

ナトリックスはどれくらい効果が続くのですか?夜のトイレが近くなることはありますか?

ナトリックスは、比較的効果持続時間の長い利尿薬ですが、効果のあらわれ方はかなり穏やかです。
午前中に飲めば、夜に強い尿意を感じることはまずありませんのでご安心ください。
ただし、効果のあらわれ方には個人差があります。
急激な利尿があらわれ、生活に支障が生じている場合は診察時にご相談ください。

ナトリックス服用中に、車の運転をしても大丈夫ですか?

ナトリックスを服用すると、降圧作用によってめまいやふらつきなどがあらわれることがあります。また、眠気の副作用もわずかですが報告されています。
したがって、ナトリックスの服用中に車の運転や高所での作業など危険をともなう作業を行う際は、無理をしないよう注意してください。

ナトリックスを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

ナトリックスを飲み忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。
ただし、次の服用時間が8時間以内の場合は服用せず、次の服用タイミングで1回分を飲んでください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。