アジルバとは?
アジルバ(一般名:アジルサルタン)は、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)と呼ばれる高血圧症治療薬の一種です。アジルバは、アンジオテンシンII受容体に結合してアンジオテンシンII(強い血管収縮作用を持つ体内物質)と拮抗し、末梢血管の抵抗を下げることで降圧作用を示します。
なお、「アジルバ」という名称は、「Azilsartan is the most valuable ARB(アジルサルタンは最も価値あるARB)」に由来します。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
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アジルバの特徴
アジルバは、ほかのARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)に比べてアンジオテンシンⅡタイプ1(AT1)受容体に対する選択性が比較的高いのが特徴です。そのため、降圧効果が高く、かつ効果持続時間が長く、夜間の高血圧や早朝の高血圧の抑制にも効果的です。また、6歳以上の小児にも適応があること、錠剤だけでなく顆粒剤も選択できることなどもメリットといえます。
適応疾患
アジルバの適応疾患は、高血圧症です。血圧を下げることで、心臓や腎臓の負担を軽減する効果も期待できます。また、適切な範囲に血圧を保つことは、長期的には脳血管疾患や心疾患、腎機能障害などの発生リスクをおさえることにもつながります。
適応年齢・用法用量
アジルバは6歳以上から使用できます。ただし、体重によって投与量は異なります。
体重50kg未満の場合、1日1回2.5mgから治療をスタートし、1日の最大投与量は20mgとされています。体重50kg以上の場合、1日1回5mgから治療をスタートし、1日の最大投与量は40mgとされています(下表参照)。
一方、成人に使用する場合は通常20mgを1日1回投与します。処方量は年齢や症状により適宜増減しますが、1日の最大投与量は40mgです。
効果持続時間
アジルバは効果持続時間が長く、1日1回の投与で24時間安定した血圧コントロールが得られます。そのため、夜間や早朝に発生しやすい血圧の上昇をおさえる効果も期待できます。
ただし、血中濃度が安定するまでには服用開始から数日間かかることもあります。おおむね4日間で血中濃度が安定してきますので、それまでは血圧の変動にともなう体調変化にご注意ください。特にめまいなどがある場合は、無理をして車の運転などをしないようにしてください。
アジルバを服用する上での注意点
アジルバを服用できない方
以下に該当する場合は、アジルバを服用できません。
- アジルバの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
- 妊娠中または妊娠している可能性のある女性(胎児・新生児の死亡などが報告されています。)
- ラジレス(一般名:アリスキレンフマル酸塩)を服用している糖尿病の方(非致死性脳卒中・腎機能障害・高カリウム血症・低血圧の発生リスク増加が報告されています。)ただし、他の降圧治療を行っても血圧のコントロールが著しく不良の場合など治療上やむを得ない場合は、ラジレスとの併用を考慮することもあります。
アジルバの服用に注意が必要な方
腎動脈狭窄や高カリウム血症のある方は、病状によってはアジルバを使用できません。また、重篤な腎機能障害がある方・脳血管障害がある方は、アジルバの服用で病状が悪化する可能性が否定できません。その他、厳しい減塩療法中の方・血液透析中の方などは、血圧の下がり過ぎに注意が必要です。
他の医療機関でこれらの病気や症状などを指摘されている方は、診察時にご相談ください。その際、あらかじめ検査データなどをご提示いただけると診察がスムーズに進みます。
アジルバの副作用
おもな副作用として、めまい、頭痛、下痢、発疹、そう痒などが報告されています。
また、重大な副作用として血管浮腫やショック、横紋筋融解症などが報告されています。重大な副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、以下のような症状があらわれた場合は早急に受診し、適切な処置を受けてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
アジルバは、原則としてラジレス(一般名:アリスキレンフマル酸塩)との併用は禁忌です。ただし、併用できないのは糖尿病を併発している方のみです。また、他の降圧治療を行っても血圧のコントロールが著しく不良の場合は、併用を考慮することもあります。
その他、併用に注意が必要とされている薬剤は以下のとおりです。該当する薬剤を服用している場合は、診察時にご相談ください。
表
特定の患者さまへの使用に関して
重篤な腎機能障害がある方への使用
重篤な腎機能障害がある方の場合、過度の降圧や急激な降圧は腎血流量の減少をまねき、結果として腎機能を悪化させるおそれがあります。そのため、治療は低用量からスタートするなど症状に合わせて慎重に行います。
透析をしている方への使用
血液透析中の方は、循環血症量の減少の影響でアジルバの作用が強くあらわれるおそれがあります。血圧の急激な低下により、ショックや失神、一過性の意識消失や腎機能低下をまねく可能性も否定できないため、状態を十分に観察しながら慎重に治療を進めていきます。
妊娠中の方への使用
妊娠中期・末期の高血圧症に類薬を使用した例で、羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成などがあらわれたとの報告があります。
したがって、妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性にアジルバは使用できません。アジルバ使用中に妊娠が判明した場合は、直ちに投与を中止します。
授乳中の方への使用
周産期および授乳期の動物にアジルバを投与した試験では、出生児に腎盂拡張や体重増加の抑制が認められています。
そのため、アジルバ服用中の授乳は避けるのが望ましいとされています。
お子さまへの使用
アジルバは、低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児、体重20kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していません。そのため、使用できる年齢は6歳以上とされています。なお、体重については20kg未満の小児に対する投与が制限されるものではありません。
小児の高血圧は二次性高血圧が多く、なかでも腎性高血圧が最も多いとされています。そのため、お子さまにアジルバを使用する場合は腎機能や血清カリウム値に特に留意し、投与量や治療方針を決定します。
ご高齢の方への使用
一般的に、高齢の方の過度の降圧は望ましくありません。また、腎機能などの生理機能が低下している場合も少なくありません。したがって、アジルバによる治療を始める際には、症状や合併症、併用薬などに配慮して投与量を決定します。
アジルバの患者さま負担・薬価について
アジルバには、10mg・20mg・40mgの3種類の錠剤と顆粒があります。各規格・剤型の薬価は以下のとおりです。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合に応じて変わります。
例えば、3割負担の患者さまがアジルバ錠20mgを1日1回30日間処方された場合、ご負担金額は1261.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- アジルバ顆粒を成人に使用することはできますか?
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アジルバ顆粒は、小児だけではなく成人にも使用できます。錠剤が苦手な場合や錠剤がうまく飲み込めない場合などは剤型を顆粒に変更して処方しますので、お気軽にご相談ください。
なお、成分量はアジルバ顆粒1gでアジルバ錠10mgと同量になります。
- アジルバは顆粒と錠剤で効き方が違いますか?
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アジルバの臨床試験では、顆粒と錠剤が生物学的に同等であることが示されています。錠剤から顆粒、あるいは顆粒から錠剤に変更しても、効きが弱くなったり強くなったりすることはありませんのでご安心ください
- アジルバ顆粒を服用する際に、服薬補助ゼリーを使っても大丈夫ですか?
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一般的な服薬補助ゼリーであれば、特に問題なく使用できます。アジルバ顆粒をゼリーに混ぜたあとも3時間程度であれば安全性に問題がないことも確認されています。
ただし、服薬補助ゼリー以外の食品(果物のゼリーやプリンなど)に混ぜた場合の安定性は不明です。そのため、服薬補助ゼリー以外にアジルバ顆粒を混ぜて服用するのは避けてください。
- アジルバを飲み忘れたら、どうすればいいですか?
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アジルバを飲み忘れたら、気付いたタイミングですぐに1回分を飲んでください。アジルバは食事の影響をほとんど受けないため、空腹時に服用しても問題ありません。
ただし、アジルバは効果持続時間が長いため、次の服用時間との間隔は8時間以上空けるようにしてください。また、飲み忘れた場合でも、2回分を一度に飲んではいけません。服用量が多すぎると、副作用が発現するリスクが高くなります。
- 今度、手術をします。手術前はアジルバを飲まないように指示されたのですが、なぜですか?
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アジルバをはじめとしたARBを服用している方の場合、麻酔中や手術中に過度の血圧低下を起こすことがあります。このようなリスクを避けるために、手術前24時間はアジルバの服用を避ける必要があります。