カルデナリンとは?
カルデナリン(一般名:ドキサゾシンメシル酸塩)は、α遮断薬と呼ばれる系統の薬剤です。カルデナリンは、交感神経のα1受容体を選択的に遮断して血管を広げ、降圧作用を示します。
なお、「カルデナリン」という名称は「心血管系(cardiovascular)」と「アドレナリンを減少させる(deadrenaline)」に由来します。
オンライン診療対応可能
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カルデナリンの特徴
カルデナリンは、末梢血管抵抗を減少させて降圧効果を発揮する薬剤です。特に、交感神経系の関与が大きい早朝の血圧上昇を抑制する作用が認められています。おもに胆汁から排泄されるため、腎機能障害をともなう高血圧症の方にも使いやすいという利点もあります。
適応疾患・用法用量
カルデナリンは、高血圧症と褐色細胞腫による高血圧症に適応があります。
通常、成人には1日1回0.5mgから投与をスタートしますが、効果が十分でない場合は1〜2週間の間隔をおいて1日1回1〜4mgまで漸増します。なお、投与量は年齢・症状により適宜増減しますが、1日の最高投与量は8mgまでとされています。
ただし、褐色細胞腫による高血圧症では、1日16mgまで投与可能です。
効果持続時間および治療上のメリット
カルデナリンは効果持続時間が長く、1日1回の投与で安定した降圧効果が得られます。臨床試験では、交感神経の関与が大きい早朝の血圧上昇をおさえる効果も確認されています。
また、糖尿病や脂質代謝異常に悪影響をおよぼさず、喘息や排尿障害がある方にも用いることができるため、合併症のある方でも使用しやすいのが特徴です。
カルデナリンを服用する上での注意点
カルデナリンを服用できない方・服用に注意が必要な方
カルデナリンの成分に対して過敏症の既往歴がある方は、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあるため、カルデナリンを服用できません。
また、カルデナリンはおもに肝臓で代謝されることから、肝機能障害のある方がカルデナリンを服用する場合も注意が必要です(参照:特定の患者様への使用に関して)。
カルデナリンの副作用
おもな副作用として、めまい、ふらつき、立ちくらみ、頭痛・頭重、動悸などが報告されています。
また、重大な副作用として、意識消失や不整脈、肝機能障害などが報告されています。重大な副作用が生じることは稀ですが、下記のような症状があらわれた場合はすぐに受診して、適切な治療を受けてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、カルデナリンとの併用が禁忌とされている薬剤はありません。しかし、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合・個人輸入などで使用している場合などは、診察時にご相談ください。
- 利尿薬、他の降圧薬:相互に作用が増強され、低血圧や立ちくらみなどを引き起こすおそれがあります。
- ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(バイアグラ、レビトラ、シアリスなどの勃起不全治療薬):これらの薬剤には血管を拡張する作用があるため、併用するとカルデナリンの降圧作用が増強されることがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
肝機能障害がある方への使用
カルデナリンはおもに肝臓で代謝されるため、肝機能障害がある場合は服用に注意が必要です。
実際、海外で行われた臨床試験では、肝機能障害があるとカルデナリンの効果が強くあらわれる可能性が示唆されています。
そのため、肝機能障害がある方へカルデナリンを使用する場合は、症状や副作用の発現などに注意しながら慎重に投与を行います。
妊娠中の方への使用
カルデナリンを妊娠中の方に投与した場合の安全性は確立していません。また、胎仔器官形成期の動物を対象とした試験では、胎仔死亡率の増加が報告されています。
したがって、妊娠中の方または妊娠の可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与を検討します。
授乳中の方への使用
カルデナリンは、ヒトの母乳中への移行が報告されています。
そのため、授乳中の方に投与する場合は授乳を中止するのが望ましいとされています。
お子さまへの使用
カルデナリンは、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する安全性が確立していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、カルデナリンの保管場所にご注意ください。
ご高齢の方への使用
高齢の方の過度の降圧は、脳梗塞などをまねくおそれがあるため好ましくありません。また、高齢の方では肝臓の機能が低下していることも多いため、副作用の発生リスクも高くなります。
したがって、高齢の方へカルデナリンを使用する場合は、低用量から治療を始めるなどして効果・症状を観察しながら慎重に治療を進めていきます。
白内障の手術を予定している方の使用
白内障の手術では、目の虹彩(茶色や灰色など色がついている部分)を収縮させて瞳孔(虹彩の真ん中にある黒い部分)を大きく開きます。しかし、カルデナリンなどのα遮断薬を服用していると、手術中に虹彩の緊張がゆるんで瞳孔が小さくなってしまうなどの症状(術中虹彩緊張低下症候群)があらわれることがあります。これは、虹彩の筋肉にあるα受容体にα遮断薬が作用してしまうためです。
術中虹彩緊張低下症候群は、α遮断薬を服用している人の3~4割に生じるといわれていますが、適切な対策を行えば問題が生じることはほとんどありません。
合併症を防ぐためにも、白内障の手術を予定している場合は眼科の医師にカルデナリンを服用していることを伝えてください。
カルデナリンの患者さま負担・薬価について
カルデナリンには普通錠とOD錠(口腔内崩壊錠)があり、それぞれ0.5mg・1mg・2mg・4mgの4規格があります。各剤型・規格の薬価は以下のとおりです。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがカルデナリン錠2mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は228.6円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- カルデナリンを飲むと、立ちくらみを起こすことがあります。どのようなことに気を付ければいいですか?
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カルデナリンを服用して立ちくらみが生じた場合は、しばらく横になって休んでください。特に飲み始めは立ちくらみやめまいを起こしやすいため、急に立ち上がったり起き上がったりしないようにしましょう。
なお、立ちくらみやめまいなどがある場合は、車の運転など危険をともなう作業は注意して行うようにしてください。
- カルデナリンOD錠とカルデナリンの普通錠の効き方は同じですか?
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カルデナリンOD錠は、カルデナリンの普通錠と生物学的に同等であることが確認されています。これは、水なしで服用した場合・水とともに服用した場合のいずれであっても同様です。
なお、カルデナリンOD錠は口腔内で速やかに崩壊しますが、有効成分が口腔粘膜から吸収されるわけではありません。そのため、口腔内で溶けたあとは唾液や水と一緒に飲み込むようにしてください。
- カルデナリンを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
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カルデナリンを飲み忘れたときは、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は1回分を飛ばし、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。過剰な量を服用すると、副作用が発生しやすくなります。
- 白内障の手術を控えています。眼科医からは特に何も言われていませんが、カルデナリンの服用を中止するべきでしょうか。
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カルデナリンを服用している方が白内障の手術を受けると、術中虹彩緊張低下症候群が生じるおそれがありますが、手術前にカルデナリンの服用を中止しても術中虹彩緊張低下症候群の発生を防ぐことはできないとされています。そのため、特別な指示がない限りカルデナリンの服用を中止する必要はありません。
ただし、カルデナリンを服用していることは必ず眼科医に伝えてください。カルデナリンの服用があらかじめわかっていれば、合併症を防ぐ対処が可能になります。