高血圧症・狭心症治療薬「ノルバスク/アムロジン(アムロジピン)」持続性Ca拮抗薬

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ノルバスク/アムロジンとは?

ノルバスクの写真

アムロジンの写真

ノルバスク(一般名:アムロジピンベシル酸塩)は、カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)に分類される薬剤です。アムロジンは、ノルバスクと同成分の併売品です。
アムロジピンベシル酸塩は、細胞膜にあるカルシウムチャンネルと呼ばれる部分に選択的に結合し、細胞内のカルシウムイオンの流入を減少させて冠動脈や末梢血管の平滑筋を弛緩させる作用を持っています。その作用は持続的で、全末梢血管抵抗を減少させて血圧を下降させるほか、狭心症発作を予防する効果も認められています。
なお、「ノルバスク」という名称はNormalize Vascular(血管を正常化させる)に由来し、「アムロジン」という名称は一般名のAmlodipineに由来します。

ノルバスク/アムロジンの特徴

適応疾患

ノルバスクとアムロジンの適応症は、高血圧症と狭心症です。ただし、効果の発現が比較的穏やかなため、緊急の治療が必要な不安定狭心症には効果が期待できません。

適応年齢・用法用量

高血圧症に使用する場合の適応年齢は6歳以上です。ただし、規格が「10mg」のものは、小児に使用できません。また、狭心症については成人のみが適応となっています。
各規格の高血圧症・狭心症に対する用法用量は下表のとおりです。

  • 錠2.5mg、OD錠2.5mg、錠5mg、OD錠5mg
高血圧症
6歳以上の小児 通常1日1回2.5mgを投与
年齢・体重・症状により適宜増減
ただし、1日5mgを超えないこと
成人 通常1日1回2.5~5mgを投与
症状に応じて適宜増減
効果不十分な場合は1日1回10mgまで増量可能
狭心症
成人 通常1日1回5mgを投与
症状に応じて適宜増減
  • 錠10mg、OD錠10mg
高血圧症
成人 通常1日1回2.5~5mgを投与
症状に応じて適宜増減
効果不十分な場合は1日1回10mgまで増量可能
狭心症
成人 通常1日1回5mgを投与。
症状に応じて適宜増減

効果持続時間

ノルバスク・アムロジンは効果持続時間が長く、1日1回の投与で安定した血圧コントロールが得られます。
ただし、血圧が安定するまでには数日間かかることもあります。特に飲み始めは、めまいやふらつき、立ちくらみなどを起こしやすいため、車の運転など危険をともなう作業は注意して行うようにしてください。

ノルバスク/アムロジンを服用する上での注意点

ノルバスク/アムロジンを服用できない方

ノルバスクやアムロジンは、ジヒドロピリジン系化合物(ニフェジピン、ベニジピン塩酸塩、アゼルニジピンなど)に対して過敏症の既往歴のある場合は使用できません。誤って服用すると、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。

ノルバスク/アムロジンの服用に注意が必要な方

過度に血圧が低い方は、ノルバスクやアムロジンの服用でさらに血圧が下がるおそれがあるため、注意が必要です。
また、重篤な腎機能障害や肝機能障害のある方も、服用に注意が必要です。
このようなことから、他の医療機関で腎機能や肝機能の異常を指摘されている場合は、念のため診察時にご相談ください。その際、検査データなどをご提示いただけますと診察がスムーズに進みます。

ノルバスク/アムロジンの副作用

おもな副作用として、むくみやほてり、めまい、ふらつき、便秘、吐き気、発疹、全身のだるさなどが報告されています。そして、Ca拮抗薬に特徴的な副作用として、歯肉肥厚も報告されています。
なお、重大な副作用として、劇症肝炎や横紋筋融解症などが報告されています。重大な副作用が起こることはごくまれですが、以下のような症状があらわれた場合は早急に受診して適切な処置を受けてください。

劇症肝炎、肝機能障害、黄疸 意識低下、白目や皮膚が黄色くなる、
疲れやすい、食欲不振
無顆粒球症、白血球減少、血小板減少 発熱、のどの痛み、体のだるさ、皮下出血、
歯茎からの出血、血が止まりにくい
房室ブロック めまい、立ちくらみ、失神、
脈が遅い、息切れ
横紋筋融解症 筋肉痛、脱力感、赤褐色の尿

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

ノルバスクとアムロジンについて、添付文書上併用禁忌とされている薬剤はありません。ただし、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。以下の薬剤を服用している場合は、診察時にご相談ください。

  • 降圧作用を有する薬剤:相互に作用を増強するおそれがあります。
  • CYP3A4を阻害する薬剤(エリスロマイシン(抗生物質)、ジルチアゼム(Ca拮抗薬の一種)、リトナビル(抗ウイルス化学療法薬)、イトラコナゾール(抗真菌薬)など):代謝が競合的に阻害されて、ノルバスクやアムロジンの血中濃度が上昇するおそれがあります。
  • CYP3A4を誘導する薬剤(リファンピシンなど(結核などの治療薬)):ノルバスクやアムロジンの代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがあります。
  • シンバスタチン(脂質異常症治療薬):シンバスタチンの効果が強くあらわれるおそれがあります。
  • タクロリムス(免疫抑制薬):タクロリムスの血中濃度が上昇して副作用があらわれるおそれがあります。

グレープフルーツジュースとの飲み合わせについて

ノルバスクやアムロジンなどのCa拮抗薬は、グレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪いことが知られています。これは、グレープフルーツに含まれる成分がノルバスクやアムロジンの代謝を阻害して、有効成分の血中濃度が上昇するおそれがあるためです。
Ca拮抗薬のなかでも、ノルバスクやアムロジンは比較的グレープフルーツジュースの影響を受けにくいとされていますが、薬の効き方やグレープフルーツジュースの影響には個人差があります。そのため、ノルバスクやアムロジンを服用中はグレープフルーツジュースを飲まないようにしてください。

特定の患者さまへの使用に関して

重篤な腎機能障害がある方

重篤な腎機能障害がある方がノルバスクやアムロジンを服用すると、降圧にともなって腎機能が悪化するおそれがあります。そのため、投与の際には検査値を確認するなどして慎重に治療を進めていきます。

肝機能障害がある方

ノルバスクやアムロジンは、おもに肝臓で代謝されます。そのため、肝機能障害がある方に使用すると、血中濃度半減期の延長などが見られることがあります。また、高用量(10mg)を投与すると副作用の発現頻度が高くなるおそれがあります。
したがって、肝機能障害がある方に投与する場合は、低血圧など副作用の発現に注意しながら治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

妊娠中の方または妊娠している可能性のある方に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に投与を検討します。妊娠末期の動物を対象とした試験では、妊娠期間および分娩時間が延長することが認められています。
なお、ノルバスクやアムロジンを妊娠中に使用することで、胎児の先天異常が発生するリスクが大きく増加することは考えにくいとされています。

授乳中の方への使用

ノルバスクやアムロジンは、ヒトの母乳中へ移行することが報告されています。そのため、投与する際は治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を判断します。

お子さまへの使用

ノルバスクやアムロジンは、低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児を対象とした臨床試験を実施していません。したがって、使用できるのは6歳以上とされています。
ご家庭ではお子さまの誤飲を避けるため、保管場所にご注意ください。

ご高齢の方への使用

一般的に、高齢の方の過度の降圧は好ましくないとされています。また、ノルバスク・アムロジンを高齢の方に投与した場合の体内動態を調べた試験では、血中濃度の上昇や血中濃度半減期の延長が認められています。
したがって投与の際には、年齢や症状、合併症や併用薬の有無などに配慮して治療方針を決定します。

ノルバスク/アムロジンの患者さま負担・薬価について

ノルバスクとアムロジンには普通錠と口腔内崩壊錠があり、それぞれ、2.5mg・5mg・10mgの3規格があります。各剤型・規格の薬価は以下のとおりです。

剤型 薬価
ノルバスク錠2.5mg・ノルバスクOD錠2.5mg 18.6円/錠
アムロジン錠2.5mg・アムロジンOD錠2.5mg 17.2円/錠
ノルバスク錠5mg・ノルバスクOD錠5mg 22.1円/錠
アムロジン錠5mg・アムロジンOD錠5mg 21.4円/錠
ノルバスク錠10mg・ノルバスクOD錠10mg 35.4円/錠
アムロジン錠10mg・アムロジンOD錠10mg 34.4円/錠

ノルバスクもアムロジンも先発品ですが、発売後の販売価格(卸が医療機関や薬局へ販売する際の価格)に差があったため、薬価が異なっています。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合に応じて変わります。
例えば、3割負担の患者さまがアムロジン錠5mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は192.6円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

服用を始めてから、めまいやふらつき、顔のほてりなどが気になります。しばらく飲み続ければ気にならなくなるものですか?

血圧の薬は、飲み始めにめまいやふらつきなどが生じることがあります。また、Ca拮抗薬は、顔のほてりなどが出やすいという特徴もあります。これらの症状は、服用を続けるうちに気にならなくなることがほとんどですのでご安心ください。
ただし、めまいやふらつきがひどい場合、または長期間続く場合などは診察時にご相談ください。その際、家庭で測定した血圧値の記録をお持ちいただきますと、治療継続の可否が判断しやすくなります。

ノルバスクやアムロジンを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

飲み忘れた場合は、気付いたときに1回分をすぐに服用してください。ただし、次に飲む時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の服用時間に1回分を服用してください。ただし、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。過剰な量を服用すると、副作用の発現リスクが高まります。

ノルバスクやアムロジンを服用すると、歯茎が腫れることがあると聞きました。予防する方法はありますか?

ノルバスクやアムロジンを長期間服用していると、歯肉が腫れることがあります。この症状は、歯肉をよくブラッシングして口内を清潔に保つと、ある程度予防可能です。

グレープフルーツジュースと飲み合わせが悪いならば、他の柑橘類も避けるほうが良いのですか?

柑橘類のなかには、ノルバスクやアムロジンの服用中に摂取しても問題ないものもあります。食べても良いものとしては、温州みかん・カボス・バレンシアオレンジ・マンダリンオレンジ・ネーブル・日向夏・レモンなどが挙げられます。
一方、夏ミカン・ブンタン・スウィーティー・ハッサク・金柑・ライムなどは、グレープフルーツジュースと同じような成分を含むため、注意が必要です。

ノルバスク・アムロジンとグレープフルーツジュースとの間隔は、どれくらい空ければ大丈夫ですか?

ノルバスクやアムロジンに対するグレープフルーツジュースの影響は、数日間続くといわれています。通常、ノルバスクやアムロジンは毎日服用しますので、服用期間中はグレープフルーツジュースを避けるほうが良いでしょう。

 

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