エパデールとは?
エパデール(一般名:イコサペント酸エチル)は、EPA製剤と呼ばれる薬剤です。
有効成分であるイコサペント酸エチルは、小腸でEPA(イコサペント酸)に代謝され、トリグリセリドやコレステロールの吸収を抑制したり、肝臓における脂質の生合成や分泌をおさえたりします。
また、血小板凝集作用を有するトロンボキサンA2の産生も抑制するため、抗血小板作用も期待できます。
なお、「エパデール」という名称は、有効成分であるイコサペント酸エチル(EPA-E)のEPAに由来します。
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エパデールの特徴
エパデールは、総コレステロールとトリグリセリド(中性脂肪)を低下させる作用のある薬剤です。抗血小板作用(血液が血管内で固まるのを防ぐ作用)もあるため、血行障害にともなう手足の冷えやしびれ、痛み、皮膚潰瘍の改善目的で用いられることもあります。また、動脈の進展性を保持する作用も認められています。大規模臨床試験で心筋梗塞などの心疾患を予防する効果が認められていることから、高脂血症(特に高トリグリセライド血症)を合併する閉塞性動脈硬化症などによく用いられます。
各剤型の特徴と適応疾患・用法用量
エパデールには、軟カプセルの「エパデールカプセル」、直径約4mmのシームレスカプセルがスティック包装されている「エパデールS」、1日1回投与タイプの「エパデールEMカプセル」の3種類があります。剤型ごとの適応疾患・用量用法は以下の通りです。
エパデールカプセル、エパデールS
高脂血症と閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛および冷感の改善に適応があります。
エパデールEMカプセル
エパデールEMカプセルは、高脂血症のみに適応があります。
脂質低下作用と治療上のメリット
エパデールを高脂血症患者に投与した臨床試験では、トリグリセリドが14~20%程度低下したという結果が報告されています。また、HMG-CoA還元酵素阻害薬との併用で、心血管イベント(突然心臓死、致死性および非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、心血管再建術)の発生がおさえられたことも報告されています。
このようなことから、エパデールは脂質異常症(特に高トリグリセリド血症)を合併する閉塞性動脈硬化症などの治療によく使用されます。
エパデールを服用する上での注意点
エパデールを服用できない方・服用に注意が必要な方
エパデールには抗血小板作用があるため、出血している場合(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血など)には使用できません。これらの場合に使用すると、止血が困難となるおそれがあります。
また、以下の場合は禁忌ではないものの、出血を助長するおそれがあるため注意が必要です。
- 月経期間中の場合
- 出血傾向がある場合
- 手術を予定している場合
なお、添付文書上には記載されていませんが、抜歯を予定している場合も服用に注意が必要です。
エパデールの副作用
おもな副作用として、下痢や腹部の不快感、発疹などが報告されています。また、重大な副作用として、肝機能障害や黄疸が報告されています。
重大な副作用の発生頻度は不明ですが、エパデール服用中に体のだるさ・食欲不振・白目や皮膚が黄色くなる、など副作用が疑われる症状があらわれた場合は、すぐに受診して適切な治療を受けてください。
日常生活における注意点
エパデールの服用方法・服用タイミングに関して
エパデールカプセル、エパデールS、エパデールEMカプセルは、いずれも軟カプセルです。噛むと油状の成分が出てきてしまうため、服用時に噛まないよう注意してください。
そして、エパデールは食直後に服用するようにしてください。エパデールの成分であるイコサペント酸エチルは魚油由来の脂肪酸で、胆汁の主成分である胆汁酸がないと体内にうまく吸収されません。胆汁の分泌が盛んになるのは食直後なので、服用タイミングがずれないように注意しましょう。
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、エパデールとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。
- 抗凝固薬(ワルファリンカリウムなど)、血小板凝集を抑制する薬剤(アスピリン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、インドメタシンなど):相加的に出血傾向が増大するおそれがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
腎機能障害がある方への使用
エパデールは、体内に吸収されたあと炭酸ガスと水に分解され、呼気中に排泄されます。そのため、腎臓に影響を与えることはほとんどないと考えられています。
したがって、腎機能障害がある方にも使用可能です。
妊娠中の方への使用
エパデールは、妊娠中の方を対象とした臨床試験を行っておらず、安全性も確立していません。
そのため、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
授乳中の方への使用
エパデールは、授乳中の方を対象とした臨床試験を行っておらず、安全性も確立していません。また、動物を対象とした試験で母乳中への移行が報告されています。
このようなことから、授乳中の方にはエパデールを投与しないことが望ましいとされています。やむを得ず投与する場合は、授乳を避ける必要があります。
なお、エパデールEMカプセルについては「治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。」とされています。
お子さまへの使用
エパデールは、小児などを対象とした臨床試験を実施しておらず、安全性も確立していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐために、エパデールの保管場所などにご注意ください。
エパデールの患者さま負担・薬価について
エパデールカプセル、エパデールS、エパデールEMカプセルの薬価は以下の通りです。
なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがエパデールS600を1日3回30日分処方された場合、ご負担金額は1255.5円になります(薬剤費のみの計算です)。
エパデールカプセル・エパデールSについてはジェネリック薬もありますので、薬剤費をおさえたい場合は薬局でご相談ください。
よくあるご質問
- エパデールと同じ成分の市販薬はありますか?
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あります。
ただし、市販薬の適応は「健康診断などで指摘された境界領域(中性脂肪値:150mg/dL以上300mg/dL未満)の中性脂肪値の改善」に限られています。
また、「狭心症、心筋梗塞、脳卒中と診断されたことがある人、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧症で治療中の人や医師の治療を勧められた人」は、薬を服用しないこととされています。
つまり、脂質異常症の改善のために医療機関でエパデールを処方されている方は対象外ですので、自己判断で購入・服用しないようにしてください。
- エパデールは魚油が成分と聞きました。魚にアレルギーがあるのですが、大丈夫ですか?
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魚アレルギーの原因は、たんぱく質といわれています。しかし、エパデールは純度の高いEPA製剤で、不純物としてたんぱく質の混入はほとんどありません。したがって、エパデールによるアレルギー症状と魚アレルギーとの関連は少ないと考えられています。
ただし、アレルギー体質の方は薬物に対してアレルギー反応を起こすおそれがあります。そのため、発疹やかゆみなどアレルギーが疑われる症状があらわれた場合は、すぐに受診してください。
- エパデールカプセルやエパデールSを1日2回で飲む場合と1日3回で飲む場合では、効き目に違いがあるのですか?
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エパデールカプセルやエパデールSは、1日に服用する総量が同じであれば1日2回服用でも1日3回服用でも効果に差はありません。
臨床試験では、1回900mgを1日2回服用した場合と1回600mgを1日3回服用した場合を比較していますが、効果に差はありませんでした。
- エパデールを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
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エパデールカプセル、あるいはエパデールSを飲み忘れた場合は、忘れた分は飲まないで次の服用時間に1回分を服用してください。ただし、2回分を一度に飲んではいけません。
エパデールEMカプセルを飲み忘れた場合は、次の食事の直後に1回分を服用してください。この場合も、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
エパデールは空腹時に服用するとうまく吸収されないため、飲み忘れた場合でも食直後に服用することを意識してください。