- ラシックスを飲むとトイレが近くなると聞き、不安になっています。もともと夜のトイレが近いのですが、大丈夫ですか?
- ラシックスを夜に飲まないようにといわれました。どうしてですか。
- ラシックスを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
- 薬を一包化してもらったら、遮光保存するようにいわれました。理由を教えてください。
ラシックス(一般名:フロセミド)は、ループ系利尿薬の一種です。
ラシックスをはじめとしたループ系利尿薬には、尿細管がループ状に曲がっている部位(ヘンレ係蹄上行脚髄質部)に作用して尿量を増やす働きがあります。ラシックスを投与すると体内にたまった余分な水分が尿として排泄されるため、循環血流量が減って血圧が下がり、むくみも解消されます。また、心臓にかかる負担も軽減されます。
当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
ラシックスをはじめとしたループ利尿薬は、比較的利尿作用が強いのが特徴です。ラシックスは薬用量の幅が広く、利尿作用は用量に比例して強くなります。また、利尿作用とは別に血管拡張作用があり、カリウムの排泄はチアジド系利尿薬(フルイトランなど)より少ないという利点があります。そのほか、糖代謝や腎機能にあまり影響をおよぼさない点もメリットといえます。
ラシックスは、高血圧症(本態性、腎性など)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進に適応があります。
通常、成人には1日1回40~80mgを毎日、または1日おきに投与します。年齢、症状により適宜増減しますが、腎機能不全などの場合はさらに大量に用いる場合もあります。
ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常他の降圧剤と併用します。
ラシックスによる降圧効果は、比較的穏やかにあらわれます。
なお、ラシックスを健康な成人に投与した試験では、経口投与後1時間以内に利尿効果が発現し、その効果は約6時間持続したと報告されています。そのため、ラシックスを服用する際は、外出や就寝のタイミングに配慮する必要があります。
以下の方は、ラシックスを服用できません。
以下の場合はラシックスの服用が禁忌とされているわけではありませんが、注意が必要です。
副作用として、低カリウム血症(倦怠感、筋力低下、動悸など)や低ナトリウム血症(倦怠感、のどの乾きなど)、高尿酸血症、高血糖症、貧血、発疹、発赤、かゆみ、光線過敏症、食欲不振、吐き気、頭痛、耳鳴り、聴覚異常、めまいなどが報告されています。
その他、重大な副作用としてショックやアナフィラキシー、難聴、心室性不整脈、間質性腎炎、間質性肺炎などが報告されています。重大な副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、以下のような症状があらわれた場合はすぐに受診して適切な治療を受けてください。
ショック アナフィラキシー |
冷汗、顔面蒼白 手足の冷え・しびれ 顔のむくみ・腫れ のどの腫れ、血圧低下 |
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再生不良性貧血 汎血球減少症 無顆粒球症 血小板減少 赤芽球癆 |
倦怠感、発熱、喉の痛み 口内炎、皮下出血、鼻血 歯茎からの出血 |
水疱性類天疱瘡 | 強いかゆみを伴う紅斑や水疱 |
難聴 | 聴覚異常、耳鳴り、耳閉感 |
中毒性表皮壊死融解症 (TEN) 皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群) 多形紅斑 急性汎発性発疹性膿疱症 |
高熱、目の充血、口唇のただれ のどの痛み、紅斑 皮膚や粘膜の水疱・びらん 表皮の剝離 |
心室性不整脈 | 動悸、脈の乱れ |
間質性腎炎 | 尿量減少、尿のにごり・泡立ち 血尿、むくみ 腰痛、発熱 |
間質性肺炎 | 発熱、空咳、息苦しさ |
ラシックスは、デスモプレシン酢酸塩水和物(商品名:ミニリンメルト)との併用が禁忌になっています。これは、併用により低ナトリウム血症をまねくおそれがあるためです。
その他、併用に注意しなければならない薬剤は以下のとおりです。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関で治療を受ける場合は、ラシックスを服用していることを伝えてください。
腎機能障害のある方にラシックスを投与すると、排泄の遅延により血中濃度が上昇するおそれがあります。
また、肝疾患・肝機能障害・肝硬変のある方にラシックスを投与すると、肝性脳症を誘発するおそれがあります。
そのため、腎機能障害や肝機能障害のある方にラシックスを投与する場合は、慎重に治療を進めていきます。
なお、肝性脳症に対してラシックスは禁忌とされています。
ラシックスは、妊娠初期の投与に関する安全性が確立していません。そのため、妊娠初期の方または妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
ラシックスは、母乳中に移行することが明らかになっています。
そのため、ラシックス投与中は授乳を避けるのが望ましいとされています。
生後数週間以内の呼吸窮迫症の低出生体重児にラシックスを投与すると、動脈管開存のリスクが増加するおそれがあります。また、動脈管開存および硝子膜症のため浮腫を生じた重度の低出生体重児に投与したところ、腎石灰化症があらわれたとの報告があります。低出生体重児でなくても、乳児は電解質バランスが崩れやすいという特徴があります。そのため、小児にラシックスを使用する際は、全身状態や検査値などにも十分に注意しながら慎重に投与します。
高齢の方の場合、急激な利尿は脱水・低血圧などによる立ちくらみ・めまい・失神などを引き起こすことがあります。特に心疾患などでむくみのある方では、急激な利尿が脳梗塞などの血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。さらに、高齢の方は低ナトリウム血症や低カリウム血症のリスクも高い傾向があります。
このようなことから、高齢の方にラシックスを使用する場合は、少量から投与を始めるなどして状態を観察しながら慎重に治療を進めます。
ラシックスには10mg・20mg・40mgの3規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。
規格 | 薬価 |
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ラシックス錠10mg | 9.3円/錠 |
ラシックス錠20mg | 9.8円/錠 |
ラシックス錠40mg | 12.2円/錠 |
患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがラシックス錠40mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は109.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。
なお、ジェネリック薬には細粒もあります。錠剤が苦手などで細粒をご希望の場合は、診察時にご相談ください。細粒を選択した場合でも、薬剤費はラシックス錠より安価になります。
フロセミド細粒4% 「EMEC」 |
6.5円/g (1g=フロセミド40mgに相当) |
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