高コレステロール血症治療薬「リピトール(アトルバスタチン)」HMG-CoA還元酵素阻害薬

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リピトールとは?

リピトールの写真

リピトール(一般名:アトルバスタチンカルシウム)は、HMG-CoA還元酵素阻害薬と呼ばれる系統の薬剤です。リピトールは、コレステロール合成に欠かせない肝臓のHMG-CoA還元酵素を阻害し、リピトールと同程度の活性を有する代謝物とともに肝臓におけるコレステロール合成を抑制します。結果として血中脂質量を低下させ、高コレステロール血症にともなう動脈硬化の発症をおさえます。
なお、「リピトール」という名称は「Lipid(脂質)」に由来します。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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リピトールの特徴

リピトールは強力なコレステロール低下作用を有する「ストロングスタチン」で、用量依存的に総コレステロールおよびLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を低下させます。また、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)を増やす働きもあります。脂溶性であることから組織への移行性が良いのが特徴です。一方で、CYP(おもに肝臓に存在する薬物代謝酵素)の影響を受けることから、ほかの薬剤やグレープフルーツジュースなどとの飲み合わせに注意が必要です。

適応疾患・用法用量

リピトールは、高コレステロール血症と家族性高コレステロール血症に適応があります。
通常、成人には1日1回10mgから治療をスタートしますが、年齢・症状により投与量は適宜増減します。なお、重症な高コレステロール血症の場合は1日20mgまで、重症な家族性高コレステロール血症の場合は1日40mgまで増量できます。

コレステロール低下作用と治療上のメリット

リピトールはコレステロール低下作用が比較的強く、臨床試験では血清総コレステロールを約30%、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を約40%低下させる効果が認められています。一方で、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)を増加させる効果も認められています。
また、リピトールをはじめとしたHMG-CoA還元酵素阻害薬の心筋梗塞予防効果や予後改善効果は複数の大規模臨床試験で証明されており、特に心筋梗塞や狭心症の既往歴のある方では有用性が高いと考えられています。

リピトールを服用する上での注意点

リピトールを服用できない方

以下の場合は、リピトールの服用が禁忌とされています。

  • リピトールの成分に過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸など、肝機能が低下していると考えられる場合(リピトールの血中濃度が上昇するおそれがあります。また、肝障害を悪化させるおそれがあります。)
  • 妊娠中の方または妊娠の可能性がある方、および授乳中の方(類薬で催奇形性が報告されています。また、動物を対象とした試験で乳汁への移行が報告されています。)
  • グレカプレビル・ピブレンタスビル(C型肝炎の治療薬)を投与中の方(リピトールの血中濃度が上昇して、副作用の発現リスクが高まるおそれがあります。)

服用に注意が必要な方

以下の場合は、リピトールの副作用である横紋筋融解症の発症リスクが高いため、服用に注意が必要です。

  • アルコール中毒
  • 甲状腺機能低下症
  • 遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィーなど)がある場合、またはその家族歴がある場合
  • 薬剤性の筋障害の既往歴がある場合

また、リピトールの副作用として高血糖があらわれることがあるため、糖尿病の方も服用に注意が必要とされています。
その他、腎機能障害のある方、禁忌には該当しないものの肝機能障害のある方、ご高齢の方も、リピトールの服用には注意が必要です。(参照:特定の患者様への使用に関して)。

リピトールの副作用

おもな副作用として、そう痒、手指のしびれ、不眠、胃の不快感、下痢、胸やけ、便秘、頭痛、全身倦怠感などが報告されています。
また、重大な副作用として、横紋筋融解症や肝炎、過敏症状、糖尿病などが報告されています。重大な副作用が起きる頻度は明らかになっていませんが、下記のような症状があらわれた場合はすぐに受診して、適切な治療を受けてください。

横紋筋融解症
ミオパチー
筋肉痛や筋肉の圧痛、
脱力感、赤褐色の尿
免疫介在性
壊死性ミオパチー
筋肉痛、手足の脱力、
筋肉のこわばり、手足のしびれ
劇症肝炎、肝炎、
肝機能障害、黄疸
吐き気、嘔吐、体のだるさ
食欲不振、白目や皮膚が黄色くなる
過敏症 顔・口唇・まぶたのはれ
発疹やかゆみ、意識が遠のく
無顆粒球症
汎血球減少症、
血小板減少症
発熱、のどの痛み
頭痛・頭重、全身のだるさ
鼻血、歯ぐきからの出血
皮下出血
中毒性表皮壊死融解症
(TEN)
皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson症候群)
多形紅斑
発熱、食欲不振、発疹、
水ぶくれ、粘膜のただれ、
関節やのどの痛み
高血糖、糖尿病 口の渇き、
尿量の増加、疲れやすい
間質性肺炎 発熱、空咳、
呼吸困難

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

リピトールは、グレカプレビル・ピブレンタスビル(C型肝炎の治療薬)との併用が禁忌とされています。グレカプレビル・ピブレンタスビルと併用すると、リピトールの肝臓への取り込みが阻害され、リピトールの血中濃度が上昇するおそれがあるためです。
その他、併用に注意が必要とされている薬剤は以下のとおりです。他の医療機関で該当する薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • フィブラート系薬剤(脂質異常症の治療薬)、ニコチン酸(脂質異常症や末梢循環障害の治療薬)、シクロスポリンなど(免疫抑制薬)、アゾール系抗真菌薬、エリスロマイシン(抗生物質):急激な腎機能悪化をともなう横紋筋融解症があらわれやすいとの報告があります。
  • クラリスロマイシン(抗生物質)、リトナビルなど(一部の抗エイズウイルス薬)、レテルモビル(サイトメガロウイルス感染症の発症抑制薬):リピトールの血漿中濃度が上昇するおそれがあります。
  • エファビレンツ(抗ウイルス薬)、リファンピシン(結核などの治療薬)、ベキサロテン(抗悪性腫瘍薬)、陰イオン交換樹脂(高コレステロール血症などの治療薬):リピトールの効果が減弱するおそれがあります。
  • ジゴキシン(心不全や頻脈などの治療薬):ジゴキシンの血漿中濃度が上昇するおそれがあります。
  • ノルエチンドロン-エチニルエストラジオール(経口避妊薬):ノルエチンドロン-エチニルエストラジオールの血漿中濃度が上昇するおそれがあります。

グレープフルーツジュースとの飲み合わせについて

リピトールをグレープフルーツジュースと併用すると、リピトールの血漿中濃度が上昇するおそれがあります。これは、グレープフルーツジュースに含まれる成分がリピトールの代謝を阻害することが原因と考えられています。
グレープフルーツジュースの影響は、数日間におよぶこともあるといわれています。したがって、リピトールを服用している間はグレープフルーツジュースを飲まないようにしてください。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

リピトールの副作用である横紋筋融解症は、腎機能障害のある方で多く報告されています。また、横紋筋融解症にともなって急激に腎機能が悪化する場合も少なくありません。
そのため、腎機能障害がある方へリピトールを使用する場合は、副作用の初期症状の有無や検査値の変化などに留意し、腎機能の悪化がみられる場合は直ちに投与の中止を検討します。

肝機能障害がある方への使用

急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸など、肝機能が低下していると考えられる方にリピトールを使用すると、リピトールの血中濃度が高くなって副作用の発生頻度が増加するおそれがあります。したがって、肝機能が低下していると考えられる方にはリピトールを使用できません。
また、リピトールはおもに肝臓で作用して代謝されるため、肝障害やその既往歴のある方では肝障害が悪化するおそれがあります。
これらのことから、肝機能障害のある方へリピトールを使用する場合は、症状や副作用の発現、検査値などに注意しながら慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

リピトールを妊娠中の方または妊娠の可能性がある方に投与するのは、禁忌とされています。
リピトールは、動物を対象とした試験で出生児数の減少および生存・発育に対する影響が認められており、胎児にも生存率の低下と発育抑制が認められています。また、胎児の骨格奇形がみられたとの報告もあります。
ヒトにおいては、リピトールの類薬を妊娠3ヵ月までに服用した症例で、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告もあります。

授乳中の方への使用

リピトールは、動物を対象とした試験で母乳中への移行が報告されています。
そのため、リピトールを授乳中の方に使用することはできません。

お子さまへの使用

リピトールは、小児などを対象とした有効性・安全性に関する臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまが誤服用しないように、リピトールの保管場所にご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方では、腎機能・肝機能などの生理機能が低下している場合があります。また、リピトールの副作用である横紋筋融解症があらわれやすいとの報告もあります。
そのため、高齢の方へリピトールを使用する場合は、効果や症状、検査値、副作用の初期症状がないかなどに注意しながら治療を進めていきます。

リピトールの患者さま負担・薬価について

リピトールには5mgと10mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。

リピトール錠5mg 27.0円/錠
リピトール錠10mg 49.2円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがリピトール錠10mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は442.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

リピトールの副作用の横紋筋融解症とは、どのようなものですか。自覚症状はありますか。

横紋筋融解症とは、端的にいうと筋肉が壊れてしまう症状です。筋肉の細胞が何らかの原因で融解・壊死して細胞内の成分が血液中に流出して、重症になると腎臓の機能にも悪影響をおよぼします。薬の副作用として生じることもありますが、ケガや熱中症であらわれることもあります。
横紋筋融解症になると、筋肉の痛みやこわばり、手足のしびれなどが生じ、流出した筋肉の成分の影響で尿が赤褐色になります。
ただ、薬の副作用の場合は血液検査を定期的に行うことで、ある程度その予兆を把握できます。気になる症状がある場合は早めに受診して、診断を受けるようにしてください。

リピトールとグレープフルーツジュースの飲み合わせが悪いということは、他の柑橘類も食べてはいけないということですか。

グレープフルーツジュースと同じようにリピトールの代謝に影響するおそれのある柑橘類は、スウィーティやはっさく、ザボンなどです。
一方、バレンシアオレンジやレモン、温州みかんなどはリピトールの代謝に影響を与えないため、食べても大丈夫です。また、果汁が含まれていないグレープフルーツフレーバーのキャンディーやドリンク類も飲食して大丈夫です。
すべての柑橘類がダメというわけではありませんので、ご安心ください。

リピトールを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

リピトールを飲み忘れたときは、気が付いたとき、できれば寝る前までに1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は服用せず、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。薬の服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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