2型糖尿病治療薬「ルセフィ(ルセオグリフロジン)」選択的SGLT2阻害薬

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ルセフィとは?

ルセフィの写真

ルセフィ(一般名:ルセオグリフロジン水和物)は、腎臓の近位尿細管でグルコース(糖)の再吸収を担うナトリウム-グルコース共輸送体2(sodium glucose cotransporter 2: SGLT2)の活性を選択的に阻害し、血中の過剰なグルコースを尿中に排泄させて血糖値を低下させる薬剤です。
インスリン分泌を介さずに高血糖を是正するため、インスリンの作用に起因する副作用の心配が少なく、膵臓のβ細胞へ負担をかけずに長期的な血糖コントロールが期待できます。
なお、「ルセフィ(Lusefi)」という名称は、一般名のLuseogliflozin(ルセオグリフロジン)+「fine」から命名したとのことです。ちなみに、ルセオグリフロジンの名称は、ラテン語で「光り輝く」を意味する「Luceo」に由来します。

オンライン診療対応可能

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ルセフィの特徴

ルセフィは、インスリン分泌を介さずに血糖降下作用を示す薬剤です。そのため、単独で使用する場合、インスリンに起因する低血糖を起こすリスクが少なく、長期間使用してもHbA1c低下作用が減弱しないことが示されています。錠剤とODフィルム(口腔内で崩壊するフィルム剤)があるため、服用する方の嚥下機能にあわせて剤型を選ぶことができます。

効能効果・用法用量

ルセフィは、2型糖尿病のみに適応があります。
通常、成人には1日1回2.5mgを朝食前または朝食後に投与します。
ただし、効果が不十分な場合には、経過を十分に観察しながら 1日1回5mgに増量することができます。

血糖降下作用

食事療法と運動療法だけでは十分に血糖をコントロールできない2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、ルセフィの服用でHbA1cがプラセボ群に比べて有意に低下したことが示されています。
また、ルセフィの単独投与で、長期(52週)にわたりHbA1c低下作用が維持されたという結果も得られています。

ルセフィを服用する上での注意点

ルセフィを服用できない方

以下に該当する場合は、ルセフィの服用が禁忌とされています。

  • ルセフィの成分に過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の場合(輸液およびインスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、ルセフィの投与は適しません。)
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン注射による血糖管理が望まれるため、ルセフィの投与は適しません。)

服用に注意が必要な方

以下の場合は、ルセフィの服用に注意が必要です。

  • 低血糖を起こすおそれがある以下の場合(ルセフィの服用で低血糖の発生リスクが高くなります)
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
  • 激しい筋肉運動を行う場合
  • 過度のアルコール摂取がある場合
  • 尿路感染や性器感染がある場合(症状を悪化させるおそれがあります。)
  • 脱水を起こしやすい場合(血糖コントロールが極めて不良な方、高齢の方、利尿薬を併用している方、など)(ルセフィの利尿作用によって脱水を起こすおそれがあります。)

その他、腎機能障害や肝機能障害がある方なども、ルセフィの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

ルセフィの副作用

ルセフィのおもな副作用として、膀胱炎、便秘、頻尿などが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、腎盂腎炎、脱水、ケトアシドーシスなどが報告されています。重大な副作用が発生する頻度はそれほど高くありませんが、下記のような症状があらわれた場合は適切な処置を行ったり受診したりしてください。

低血糖 ふらつき、めまい、冷や汗、
脱力感、動悸、
手足のふるえ、異常な空腹感
腎盂腎炎
外陰部および会陰部の
壊死性筋膜炎
(フルニエ壊疽)
敗血症
寒気、発熱、
陰部や性器周辺の
強い痛み・腫れ・赤み
脇腹や背中の痛み
腰痛、体のだるさ
脱水 口や喉の渇き、多尿や頻尿、
血圧の低下、立ちくらみ、めまい
ケトアシドーシス 嘔気・嘔吐、食欲の減退、
腹痛、口の渇き、
倦怠感、息苦しさ、呼吸が荒い、
呼吸が深く大きい、意識の低下

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、ルセフィとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、糖尿病治療薬や血糖降下作用に影響を与える薬、利尿薬などとの併用には注意が必要です。他の医療機関で下記のような薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • 糖尿病用薬:血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を増強する薬剤(例:β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、フィブラート系薬剤(高脂血症の治療薬)など):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を減弱する薬剤(例:アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど):血糖降下作用が減弱されるおそれがあります。
  • 利尿薬:利尿作用が増強されるおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

重度の腎機能障害がある場合、あるいは末期腎不全で透析中の場合は、ルセフィの効果が期待できないため投与は行いません。
また、腎機能障害が中等度であっても、十分な血糖降下作用が得られない可能性があります。そのため、腎機能障害がある方については、事前に投与の必要性を慎重に判断します。

肝機能障害がある方への使用

ルセフィは、重度の肝機能障害のある方を対象とした臨床試験を実施しておらず、安全性が確立していません。
そのため、肝機能障害がある方へルセフィを使用する場合は低用量から投与を開始するなどして慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

動物を対象とした試験で、ルセフィは胎児へ移行することが確認されています。また、類薬を動物へ投与した試験では、ヒトの妊娠中期および後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂および尿細管の拡張が報告されています。
その他、妊娠動物にルセフィを大量に投与した試験では、母動物の体重低下に起因した骨格変異や骨化遅延、心室中隔膜部欠損が報告されています。
したがって、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方にはルセフィを投与せず、インスリン製剤などを用いて血糖をコントロールします。

授乳中の方への使用

動物を対象とした試験で、ルセフィは乳汁中へ移行することが報告されています。
そのため、授乳中の方にルセフィを使用する場合は、授乳を中止するのが望ましいとされています。

お子さまへの使用

ルセフィは、小児などを対象とした有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、ルセフィの保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方は脱水を起こしやすく、また、脱水症状(口の渇きなど)の認知が遅れるおそれがあります。さらに、高齢の方では一般的に生理機能が低下しています。
したがって、高齢の方へルセフィを使用する場合は、症状の変化や副作用の発現などに注意しながら慎重に治療を進めていきます。

水分補給に関する注意点

ルセフィには利尿作用があるため、服用にともなって尿量や排尿回数が増加し、脱水を起こすおそれがあります。脱水が進むと、脳梗塞を含む血栓・塞栓症などを発現することもあるため、大変危険です。
そのため、ルセフィ服用中は体液量の減少による脱水を予防するため、適度な水分補給を意識してください。特に汗をかきやすい夏場や食事が十分に摂れていないときなどは脱水を起こしやすいため、こまめな水分補給を心がけましょう。

性器感染・尿路感染に関する注意点

ルセフィなどSGLT2阻害薬の特徴的な副作用として、性器感染や尿路感染(膀胱炎など)があります。これは、SGLT2阻害薬の作用により尿中に糖分が多く排出され、尿路や陰部で雑菌などが繁殖しやすくなるためです。尿路感染は治療が遅れると、腎盂腎炎や敗血症などをまねくこともあります。また、性器感染が原因で、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症をまねくおそれもあります。
したがって、ルセフィを服用中は陰部の清潔を心がけ、尿意を我慢しないようにしてください。そして、排尿痛や陰部のかゆみ・違和感など気になる症状がある場合は、すみやかに受診して適切な治療を受けてください。

低血糖に関する注意点

ルセフィの服用で血糖が低くなり過ぎると、低血糖症状があらわれることがあります。低血糖が進行すると、意識を失うこともあるため大変危険です。したがって、万が一に備えてブドウ糖などを常に携帯し、低血糖を疑う症状(手足のふるえ、冷や汗、異常な空腹感、脱力感など)があらわれたらすぐに糖分を摂取して症状の回復を図りましょう。
糖分を摂っても症状が回復しない場合は、すみやかに受診してください。また、症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。

ルセフィの患者さま負担・薬価について

ルセフィには普通錠と口腔内で崩壊するODフィルムがあります。普通錠の規格は2.5mgと5mgの2種類、ODフィルムの規格は2.5mgのみです。各剤型・規格の薬価は以下のとおりです。

ルセフィ錠2.5mg 160.8円/錠
ルセフィ錠5mg 239.3円/錠
ルセフィODフィルム2.5mg 160.8円/枚

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがルセフィ錠2.5mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は1447.2円になります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

ルセフィによる脱水を予防するために摂る水分は、スポーツドリンクでもいいですか?

脱水予防のために摂取する水分は、水や麦茶などにしてください。スポーツドリンクなど、糖分を含む清涼飲料水は血糖コントロールを悪化させるため、摂取はおすすめできません。
なお、ビールなどのアルコール類を摂取しても水分補給にはなりません。アルコールには利尿作用があるため、かえって脱水がひどくなるおそれがあります。

ルセフィで脱水を起こしやすいのは、どのようなときですか?

脱水を起こしやすいのは、汗を多くかいたとき(夏場や運動時など)、飲水量が少ないとき(冬場など)、利尿薬を併用しているときなどです。
特に、発熱・下痢・嘔吐があるときや食事が十分に摂れていないとき、血糖コントロールが悪いときなどは、脱水のリスクが高くなります。このような場合はすみやかに受診して、ルセフィの服用の可否も併せてご相談ください。

ルセフィODフィルムが処方されました。このようなタイプの薬は初めてなので、注意点を教えてください。

ルセフィODフィルムは、水に溶けやすいシート状の薬剤です。濡れた手で触ると溶けてしまうので、必ず乾いた手指で包装から取り出してください。
取り出したODフィルムは、舌の上に乗せて唾液で溶かしてから飲み込んでください。上あごなどに貼り付いた場合も、そのまま口の中で溶かし、唾液で飲み込んでください。飲み込みにくいときは、水やぬるま湯で飲んでも構いません。
なお、ODフィルムは水なしでも服用できますが、口腔粘膜から吸収されるわけではありません。そのため、必ず飲み込んでください。

ルセフィを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

ルセフィの服用を忘れた場合は、できるだけ早く飲み忘れた1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は飲み忘れ分を飛ばし、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。薬の服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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