オングリザとは?
オングリザ(一般名:サキサグリプチン水和物)は、インスリンの分泌を促進するホルモン(グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1))を分解するDPP-4という酵素を選択的に阻害する薬剤です。
GLP-1は血糖コントロールに欠かせないホルモンですが、その多くがDPP-4で分解されます。オングリザはDPP-4の活性を阻害して活性型GLP-1の量を増やし、インスリン分泌促進作用を介して血糖降下作用を発揮します。
なお、「オングリザ(Onglyza)」という名称は、「Long Glycemic Control(持続的な血糖管理)」に由来します。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
» オンライン診療の詳細はこちら
オングリザの特徴
オングリザは、血糖依存的に作用する血糖降下薬です。単独で使用する場合は低血糖を起こしにくく、体重が増えるリスクも少ないとされています。2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、単独療法だけではなくほかの経口血糖降下薬(SU剤、αグルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進薬)との併用療法における長期使用についても有効性および安全性が認められています。
効能効果・用法用量
オングリザは2型糖尿病に適応があります。
通常、成人には1日1回5mgを投与します。ただし、状態に応じて投与量を2.5mgに減らすことができます。
なお、中等度以上の腎機能障害がある場合は、排泄の遅延によりオングリザの血中濃度が上昇するため、投与量を2.5mgに減量します。
血糖降下作用
非薬物療法(食事療法+運動療法)を行っても十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、オングリザを12週間投与することでHbA1c値が平均で約0.90%低下したと報告されています。
また、オングリザを長期間投与した場合でも血糖低下作用は減弱せず、良好な血糖コントロールが持続することも報告されています。
治療上のメリット
オングリザなどDPP-4阻害薬に分類される薬剤は、従来の糖尿病治療薬とは作用機序が異なるため、インスリン注射薬などほとんどの糖尿病治療薬と併用できます。
また、血糖に応じて緩やかに作用が発現するため、低血糖を起こしにくいという利点もあります。一方で、食欲増進作用がないため体重増加をまねきにくく、過体重気味の方にも使いやすいという特徴もあります。
デベルザを服用する上での注意点
デベルザを服用できない方
以下に該当する場合は、オングリザの服用が禁忌とされています。
- オングリザの成分に過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の場合(輸液、インスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、オングリザの投与は適しません。)
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン注射による血糖管理が望まれるため、オングリザの投与は適しません。)
服用に注意が必要な方
以下の場合はオングリザの禁忌には該当しませんが、注意が必要です。
- 心不全(NYHA分類III~IV)の場合(心不全の既往歴がある場合にオングリザを服用したケースにおいて、心不全による入院の発現率が高くなったとの海外報告があります。)
- 低血糖を起こすおそれがある以下の場合(オングリザの服用で低血糖の発生リスクが高くなります。)
- 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
- 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
- 激しい筋肉運動を行う場合
- 過度のアルコール摂取がある場合
- 腹部手術の既往または腸閉塞の既往がある場合(重大な副作用の一つである腸閉塞を起こすおそれがあります。)
その他、腎機能障害がある場合なども、オングリザの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。
オングリザの副作用
オングリザのおもな副作用として、便秘、下痢、腹部不快感、発疹、かゆみ、めまいなどが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、過敏症反応、腸閉塞などが報告されています。オングリザの服用にともない、下記のような症状があらわれた場合は重大な副作用の初期症状である可能性が否定できないため、適切な処置を行ったり受診したりしてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、オングリザとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、糖尿病治療薬や血糖降下作用に影響を与える薬などとの併用には注意が必要です。ほかの医療機関で下記のような薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。
- 糖尿病用薬:血糖降下作用が増強され、低血糖症状が起こるおそれがあります。
- 血糖降下作用を増強する薬剤(例:β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、フィブラート系薬剤(高脂血症の治療薬)など):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
- 血糖降下作用を減弱する薬剤(例:アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど):血糖降下作用が減弱されるおそれがあります。
- 代謝酵素のCYP3A4/5を阻害する薬剤(例:イトラコナゾール(抗真菌薬)など):オングリザの血中濃度が上昇するおそれがあります。
特定の患者さまへの使用に関して
腎機能障害がある方への使用
オングリザはおもに腎臓から排泄されるため、中等度以上の腎機能障害がある場合または透析中の末期腎不全の場合は、排泄の遅延により血中濃度が上昇します。
したがって、オングリザを投与する際は腎機能の程度に応じて用量を調節し、慎重に治療を進めていきます。
妊娠中の方への使用
オングリザは、動物を対象とした試験で催奇形性も母動物毒性も認められていませんが、他剤との併用で関連性は不明であるものの催奇形性および母動物毒性が認められています。
このようなことから、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
授乳中の方への使用
オングリザは、動物を対象とした試験で乳汁中へ移行することが報告されています。
そのため、オングリザを授乳中の方へ使用する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。
お子さまへの使用
オングリザは、小児などを対象とした有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、保管場所などにご注意ください。
ご高齢の方への使用
高齢の方では、一般的に腎機能をはじめとした生理機能が低下している場合が少なくありません。
そのため、高齢の方へオングリザを使用する場合は特に腎機能に注意し、機能低下がみられる場合は用量調整をするなどして、経過を十分に観察しながら慎重に投与を行います。
低血糖に関する注意点
オングリザの服用で血糖が低くなり過ぎると、低血糖症状があらわれることがあります。特にほかの糖尿病治療薬、なかでもSU剤やインスリン製剤を併用していると、低血糖のリスクが高くなります。低血糖の症状があらわれたら、すぐにブドウ糖や砂糖を含む飲料水などを摂取してください。また、糖尿病治療薬を飲んでいることをご家族などまわりの方にも知らせ、対処法についても知らせておいてください。
なお、糖分を摂っても低血糖症状が続く場合は、すみやかに受診してください。症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。
オングリザの患者負担・薬価について
オングリザには、2.5mgと5mgの2規格があります。各規格の薬価は以下の通りです。
ただし、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがオングリザ錠5mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は807.3円になります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- 薬を飲み忘れてしまうことがあり、オングリザも含めいくつかの薬がかなり残っています。もったいないので、糖尿病治療中の家族にあげていいですか?
-
糖尿病治療薬に限らず、医師から処方された薬はほかの人にあげないでください。家族であっても、絶対にあげないでください。
医師は、患者さんの症状だけではなく体質や生活背景、アレルギー歴や併用薬なども考慮したうえで、その人に最適の薬を処方しています。そのため、ほかの人には十分な効果が期待できない場合もありますし、薬が合わなくて副作用などが生じる可能性も否定できません。健康被害を防ぐためにも、薬をほかの人にあげるのは絶対にやめてください。
なお、残薬がある場合は処方量を調節します。飲み忘れが多い場合は、飲み方の変更も検討します。「薬を飲んでいない」というのも大切な情報ですので、遠慮せずご相談ください。
- 低血糖が起きた場合は、糖分を含むものを口にすればいいんですよね。粉のブドウ糖やジュースをすすめられたのですが、飴玉ではだめですか?
-
飴玉は溶けて糖分が吸収されるまでに時間がかかるため、低血糖症状の回復にはあまり向いていません。低血糖は症状が進むと意識を消失することもあるため、吸収の早い粉のブドウ糖や砂糖、ジュースなどのほうがおすすめです。
ただし、αグルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボースなど)を併用している場合は、必ずブドウ糖を摂取してください。αグルコシダーゼ阻害薬は、砂糖などの消化速度を抑えて血糖値の急上昇を抑える薬なので、ブドウ糖以外の糖分を摂取しても血糖のすみやかな回復が期待できません。
- オングリザを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
-
オングリザを飲み忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は1回分を飛ばし、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。薬の服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。