糖尿病治療薬「スーグラ(イプラグリフロジン L-プロリン)」選択的SGLT2阻害薬

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スーグラとは?

スーグラの写真

スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)は、ナトリウム・グルコース共輸送担体(SGLT)2を選択的に阻害する薬剤です。
SGLT2は、腎臓の近位尿細管におけるグルコース(糖)の再吸収で重要な役割を担う輸送体です。スーグラは、SGLT2に選択的に作用して腎臓におけるグルコースの再吸収を阻害し、尿中に排泄されるグルコースの量を増加させて血糖を低下させます。
なお、「スーグラ(Suglat)」という名称は、薬効発現の作用機序に関連するSGLT2(sodium glucose co-transporter 2)のローマ字部分S・G・L・Tをとって命名されたとのことです。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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スーグラの特徴

スーグラは、2型糖尿病と1型糖尿病に適応のある薬剤です。1型糖尿病に対して使用する場合はインスリン製剤との併用が必須ですが、長期間使用しても効果が減弱しないことが示されています。また、1日に投与する総インスリン量を減らす効果も期待できます。そのほか、単独で用いる場合は低血糖を起こしにくく、体重増加を来しにくいというメリットもあります。

効能効果・用法用量

スーグラは、2型糖尿病と1型糖尿病に適応があります。
いずれの場合も、通常、成人には1日1回50mgを朝食前または朝食後に投与します。ただし、十分な効果が得られない場合は、経過を十分に観察しながら1日1回100mgまで増量できます。
なお、スーグラはインスリン製剤の代替薬ではありません。そのため、1型糖尿病の治療に用いる場合は、インスリン製剤との併用が必要です。

血糖降下作用

食事療法と運動療法だけでは十分に血糖をコントロールできない2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、スーグラの服用でHbA1cが平均で0.51%低下したという結果が得られています。
また、インスリン製剤だけでは血糖管理が不十分な1型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、スーグラとインスリン製剤との併用でHbA1cが平均で0.47%低下し、1日に投与する総インスリン量が低下したことも報告されています。

スーグラを服用する上での注意点

スーグラを服用できない方

以下に該当する場合は、スーグラの服用が禁忌とされています。

  • スーグラの成分に過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の場合(輸液およびインスリン製剤によるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、スーグラの投与は適しません。)
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン製剤による血糖管理が望まれるため、スーグラの投与は適しません。)

服用に注意が必要な方

以下の場合は、スーグラの服用に注意が必要です。

  • 低血糖を起こすおそれがある以下の場合(スーグラの服用で低血糖の発生リスクが高くなります)
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
  • 栄養不良状態、るいそう(極端な痩せ)、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
  • 激しい筋肉運動を行う場合
  • 過度のアルコール摂取がある場合
  • 尿路感染や性器感染がある場合(症状が悪化するおそれがあります。)
  • 脱水を起こしやすい場合(血糖コントロールが極めて不良な方、高齢の方、利尿薬を併用している方、など)(スーグラの利尿作用によって脱水を起こすおそれがあります。)

その他、腎機能障害や肝機能障害がある方なども、スーグラの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

スーグラの副作用

スーグラのおもな副作用として、頻尿、多尿、便秘、口渇、膀胱炎、陰部そう痒症などが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、腎盂腎炎、脱水、アナフィラキシーなどが報告されています。重大な副作用が発生することは稀ですが、下記のような症状があらわれた場合は適切な処置を行ったり受診したりしてください。

低血糖 ふらつき、めまい、冷や汗
脱力感、動悸、手足のふるえ、
異常な空腹感
腎盂腎炎
外陰部および会陰部の
壊死性筋膜炎
(フルニエ壊疽)
敗血症
寒気、発熱、
陰部や性器周辺の
強い痛み・腫れ・赤み、
脇腹や背中の痛み、腰痛
脱水 口や喉の渇き、多尿や頻尿
立ちくらみ、めまい、血圧の低下
ケトアシドーシス 嘔気・嘔吐、食欲の減退、
腹痛、口の渇き、倦怠感、
息苦しさ、呼吸が荒い、
呼吸が深く大きい、意識の低下
ショック
アナフィラキシー
顔色が悪い、冷や汗、
立ちくらみ

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、スーグラとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、糖尿病治療薬や血糖降下作用に影響を与える薬、利尿薬などとの併用には注意が必要です。他の医療機関で下記のような薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • 糖尿病用薬:血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を増強する薬剤(例:β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、フィブラート系薬剤(高脂血症の治療薬)など):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を減弱する薬剤(例:副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど):血糖降下作用が減弱されるおそれがあります。
  • 利尿薬:利尿作用が増強されるおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

重度の腎機能障害がある場合、あるいは末期腎不全で透析中の場合は、スーグラの効果が期待できないため投与は行いません。
また、腎機能障害が中等度であっても、十分な血糖降下作用が得られない可能性があります。そのため、腎機能障害がある方の場合は、事前に投与の必要性を慎重に判断します。

肝機能障害がある方への使用

スーグラは、重度の肝機能障害のある方を対象とした臨床試験を実施していません。
そのため、肝機能障害がある方へスーグラを使用する場合は低用量から投与を開始するなどして慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

動物を対象とした試験で、スーグラは胎児へ移行することが報告されています。また、類薬を動物へ投与した試験では、ヒトの妊娠中期および後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂および尿細管の拡張が報告されています。
したがって、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方にはスーグラを投与せず、インスリン製剤などを用いて血糖をコントロールします。

授乳中の方への使用

動物を対象とした試験で、スーグラは乳汁中へ移行することが報告されています。また、出生児の体重増加が抑制されるという報告もあります。
そのため、授乳中の方にスーグラを使用する場合は、授乳を中止するのが望ましいとされています。

お子さまへの使用

スーグラは、小児などを対象とした有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、スーグラの保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方は、一般的に生理機能が低下しており、脱水症状(口の渇きなど)の認知が遅れるおそれがあります。
したがって、高齢の方へスーグラを使用する場合は、症状の変化や副作用の発現などに注意しながら慎重に治療を進めていきます。

水分補給に関する注意点

スーグラには利尿作用があるため、服用にともなって尿量や排尿回数が増加し、体液量の減少を起こすおそれがあります。
そのため、スーグラ服用中は体液量の減少による脱水を予防するため、適度な水分補給を意識してください。特に治療開始直後や汗をかきやすい夏場は、こまめな水分補給を心がけましょう。
ただし、アルコールの摂取で水分は補給できません。また、スポーツドリンクなど糖分を含む清涼飲料水は血糖コントロールを悪化させるため、避けるべきです。

性器感染・尿路感染に関する注意点

スーグラなどSGLT2阻害薬の特徴的な副作用として、性器感染や尿路感染(膀胱炎など)があります。これは、SGLT2阻害薬の作用により尿中に糖分が多く排出され、尿路や陰部で雑菌などが繁殖しやすくなるためです。性器感染・尿路感染は治療が遅れると、腎盂腎炎や敗血症などをまねくこともあります。
したがって、スーグラを服用中は毎日入浴するなど体を清潔に保ち、排尿痛や陰部のかゆみ・違和感などがないか注意してください。そして、気になる症状がある場合は、すみやかに受診して適切な治療を受けてください。

低血糖に関する注意点

スーグラの服用で血糖が低くなり過ぎると、低血糖症状があらわれることがあります。低血糖を疑う症状があらわれたら、すぐにブドウ糖や砂糖を含む飲料水などを摂取して症状の回復を図りましょう。
糖分を摂っても症状が回復しない場合は、すみやかに受診してください。また、症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。

スーグラの患者負担・薬価について

スーグラには、25mgと50mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。

スーグラ錠25mg 120.8円/錠
スーグラ錠50mg 180.6円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は、保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがスーグラ錠50mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は1625.4円になります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

スーグラを飲むと痩せると聞きました。血糖値は高くないのですが、スーグラを処方してもらうことは可能ですか?

たしかに、スーグラなどSGLT2阻害薬を服用すると体重が減少することがあります。しかし、体重の減少量は数%程度ですし、長期間服用しなければ十分な効果は期待できません。また、過度の体重減少は健康にも良くありません。
そもそも、スーグラの適応疾患は1型糖尿病および2型糖尿病のみなので、ダイエット目的の方に処方することはできません。
体重減少を望むのであれば、薬に頼るのではなく、食生活の改善や適度な運動で健康的に痩せるようにしましょう。

風邪をひくと血糖値が乱れると聞きました。そのような場合、スーグラは飲んでもいいのでしょうか?

風邪などにかかると、通常より血糖値が上がりやすくなる場合があります。また、食欲不振や嘔吐などで食事が十分に摂れず、栄養不良状態になると血糖値が低下してコントロールが難しくなる場合もあります。そのため、風邪などにかかった場合は早めに受診して診察を受けてください。症状によっては、スーグラの投与量を変更することもあります。
なお、風邪などにかかった場合も、できるだけいつもと同じ食事を摂り、水分も積極的に摂取してください。また、可能なら3~4時間ごとに血糖値を測定してください。血糖値の変化を診察時に提出していただけると、投与量の変更・中止を判断しやすくなります。

スーグラを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

スーグラの服用を忘れた場合は、1回分を飛ばして翌日の決められた時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。薬の服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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