2型糖尿病治療薬「スイニー(アナグリプチン)」選択的DPP-4阻害薬

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スイニーとは?

スイニーの写真

スイニー(一般名:アナグリプチン)は、血糖値をコントロールするホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を分解する酵素(DPP-4)を選択的に阻害する薬剤です。
スイニーはDPP-4の活性を阻害し、血糖値に応じてインスリンの分泌を促すなどして血糖コントロールを改善します。
なお、「スイニー」という名称は、「糖尿病患者の膵β細胞機能を保持する治療(膵に良い治療)ができれば」という願いを込めて付けられたとのことです。

オンライン診療対応可能

当院では、初診からオンライン診療にて治療薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。

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スイニーの特徴

スイニーは、DPP-4(インスリン分泌をうながすGLP-1というホルモンを分解する酵素)を高選択的に阻害する薬剤です。1日2回の投与でDPP-4の活性を24時間阻害し、血糖日内変動を改善します。血糖依存的に作用するため、単独で使用する場合は低血糖を起こしにくく、体重増加のリスクも低いとされています。また、優れたHbA1c低下作用を有し、長期間使用してもその効果が持続することが示されています。

効能効果・用法用量

スイニーは2型糖尿病に適応があります。
通常、成人には1回100mgを1日2回朝夕に投与します。ただし、効果が不十分な場合は、経過を十分に観察しながら1回量を200mgまで増量できます。
なお、重度以上の腎機能障害がある場合は、排泄の遅延によりスイニーの血中濃度が上昇するため、1日1回100mgを投与します。

血糖降下作用

非薬物療法(食事療法+運動療法)を行っても十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、スイニーを12週間投与することでHbA1c値が平均で約0.59%低下し、52週間の投与で0.62%低下したと報告されています。
また、スイニーとほかの血糖降下剤との併用を検討した臨床試験でも、その有用性が示されています。

治療上のメリット

スイニーなどDPP-4阻害薬は、従来の糖尿病治療薬とは作用機序が異なるため、インスリン注射薬をはじめとしたほとんどの糖尿病治療薬と併用できます。
また、血糖に応じて緩やかに作用が発現するため、低血糖を起こしにくいのも特徴です。
一方で、食欲増進作用がないため体重増加をまねきにくく、過体重気味の方にも使いやすいというメリットもあります。

スイニーを服用する上での注意点

スイニーを服用できない方

以下に該当する場合は、スイニーの服用が禁忌とされています。

  • スイニーの成分に過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の場合(輸液およびインスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、スイニーの投与は適しません。)
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリンによる血糖管理が望まれるため、スイニーの投与は適しません。)

服用に注意が必要な方

以下の場合はスイニーの禁忌には該当しませんが、注意が必要です。

  • 低血糖を起こすおそれがある以下の場合(スイニーの服用で低血糖の発現リスクが高くなります。)
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
  • 激しい筋肉運動を行う場合
  • 過度のアルコール摂取がある場合
  • 腹部手術の既往または腸閉塞の既往がある場合(重大な副作用の一つである腸閉塞を起こすおそれがあります。)

その他、腎機能障害がある場合なども、スイニーの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

スイニーの副作用

スイニーのおもな副作用として、便秘や下痢、便潜血陽性、発疹、かゆみ、めまいなどが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、腸閉塞、急性膵炎、類天疱瘡などが報告されています。スイニーの服用にともない、下記のような症状があらわれた場合は重大な副作用の初期症状である可能性が否定できないため、適切な処置を行ったり受診したりしてください。

低血糖 めまい、冷や汗、脱力感、
手足のふるえ、強い空腹感、
意識の低下
腸閉塞 ひどい便秘、ガスが出ない、
腹部の張り、持続的な腹痛、嘔吐
急性膵炎 持続的な激しい上腹部の痛み、
腰や背中の痛み、腹部の張り、
吐き気、嘔吐
類天疱瘡 水疱、びらん

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、スイニーとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、糖尿病治療薬や血糖降下作用に影響を与える薬などとの併用には注意が必要です。ほかの医療機関で下記のような薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • 糖尿病用薬:血糖降下作用が増強され、低血糖症状が起こるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を増強する薬剤(例:β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、フィブラート系薬剤(高脂血症の治療薬)など):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • 血糖降下作用を減弱する薬剤(例:アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど):血糖降下作用が減弱されるおそれがあります。
  • ジゴキシン(心不全や頻脈などの治療薬):ジゴキシンの作用が強くあらわれるおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

スイニーはおもに腎臓から排泄されるため、重度の腎機能障害がある場合、または透析中の末期腎不全の場合は、排泄の遅延により血中濃度が上昇します。
そのため、スイニーを投与する際は腎機能の程度に応じて用量を調節し、慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

スイニーは、動物を対象とした試験で胎児への移行が報告されています。
したがって、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。

授乳中の方への使用

スイニーは、動物を対象とした試験で乳汁中への移行が報告されています。
そのため、スイニーを授乳中の方へ使用する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

スイニーは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方では、一般的に腎機能をはじめとした生理機能が低下しています。
そのため、高齢の方へスイニーを使用する場合は特に副作用の発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与を行います。

低血糖に関する注意点

スイニーの服用で血糖が低くなり過ぎると、低血糖症状があらわれることがあります。特にSU剤との併用では、重篤な低血糖症状によって意識を失った症例も報告されています。
したがって、低血糖の症状があらわれたら、すぐにブドウ糖や砂糖を含む飲食物を摂取するなど適切な対応をしてください。
なお、糖分を摂っても低血糖症状が続く場合は、すみやかに受診してください。症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。

スイニーの患者負担・薬価について

スイニーの規格は100mgの1種類のみで、薬価は40.5円/錠です。
もっとも、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがスイニー錠100mgを1日2回30日分処方された場合、ご負担金額は729.0円になります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

スイニーは血糖をコントロールする薬なんですよね。では、毎食後に飲むほうがよく効くと思うのですが、どうして1日2回の服用になっているのですか?

スイニーは、服用後すみやかに血液中の濃度がピークに達しますが、血中濃度の減り方が比較的ゆっくりなので1日2回の服用で十分な効果が期待できます。腎機能が低下している人では、スイニーの排泄がさらにゆっくりになるため1日1回の服用で十分な効果が期待できます。
なお、自己判断で服用回数を増やすと、効果よりも副作用が強くあらわれるおそれがあります。そのため、指示された用法以外での飲み方はしないでください。

私は、スイニーを1日2回朝夕食後に服用するように指示されています。しかし、知人はスイニーを1日2回朝夕食前に服用しているようです。処方ミスでしょうか?それとも、知人の飲み方が間違っているのでしょうか?

スイニーは「1日2回朝夕」に服用する薬ですが、服用タイミングは食事の前でも後でも構わないとされています。
したがって、用法が「食後」になっている人もいれば「食前」になっている人もいます。例えば、スイニー以外に食前服用の薬が処方されている場合は、ほかの薬と一緒に飲めるように「食前」で処方されることもあります。
逆に、食後の薬が処方されている場合は「食後」で処方されることが少なくありません。
食前処方・食後処方ともに間違いではありませんので、ご安心ください。

スイニーを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

スイニーを飲み忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は1回飲むのを飛ばし、次の服用時間に1回分を服用してください。その際、絶対に2回分を一度に飲んではいけません。薬の服用量が多すぎると、副作用の発現リスクが高くなります。

 

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記事制作者

木村眞樹子

東京女子医科大学卒業。循環器内科専門医内科、睡眠科において臨床経験を積む。
東洋医学を取り入れた漢方治療にも対応。
オンライン診療に積極的に取り組む3児の母。