糖尿病治療薬「シュアポスト(レパグリニド)」速効型インスリン分泌促進剤

FacebookTwitterLine

シュアポストとは?

シュアポストの写真

シュアポスト(一般名:レパグリニド)は、スルホニルウレア受容体を介して膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進する薬剤です。作用としてはグリメピリドなどのSU剤によく似ていますが、作用発現までの時間が短いことからおもに食後の高血糖対策として用いられます。
なお、「シュアポスト(surepost)」という名称は、「確実(sure)に食後(postprandial)の血糖を低下させる」に由来するとのことです。

シュアポストの特徴

効能効果・用法用量

シュアポストは2型糖尿病に適応があります。
成人は通常1回0.25mgから開始し、1日3回毎食直前に投与します。通常の維持用量は1回0.25~0.5mgですが、必要に応じて適宜増減します。
なお、1回の最大投与量は1mgです。

血糖改善効果

食事療法および運動療法を行っても血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の方を対象とした臨床試験では、16週間の単剤投与でHbA1cが1.17%低下するという結果が得られています。また、ほかの血糖降下薬との併用でも、有意な改善効果が示されました。
さらに、長期投与試験においても食後高血糖およびHbA1c値の改善がみられ、その効果が維持されることが示されました。

シュアポストの服用方法

シュアポストは、必ず食事の直前(食事前10分以内)に服用してください。そして、服用後は速やかに食事を摂ってください。すぐに食事をしないと、食事を摂る前に低血糖を起こすことがあります。
なお、シュアポストは食後に服用すると十分な効果が期待できません。また、食前以外のタイミングで服用すると、次の食事までの間に低血糖症を起こすことがあります。そのため、自己判断で服用タイミングを変えるのは避けてください。

シュアポストを服用する上での注意点

シュアポストを服用できない方

以下に該当する場合は、シュアポストの服用が禁忌とされています。

  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の場合(輸液およびインスリンによるすみやかな高血糖の是正が必須となるため、シュアポストの投与は適しません。)
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある場合(インスリン注射による血糖管理が望まれるため、シュアポストの投与は適しません。)
  • 妊娠中または妊娠している可能性がある場合(動物を対象とした試験で、胎児に対する致死作用などが報告されています。)
  • シュアポストの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)

服用に注意が必要な方

以下の場合は、シュアポストの服用に注意が必要です。

  • 虚血性心疾患がある場合(海外で心筋梗塞を発症した症例が報告されています。)
  • 低血糖を起こすおそれがある以下のような場合(シュアポストの服用で低血糖の発生リスクが高くなります。)
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある場合
  • 下痢、嘔吐などの胃腸障害がある場合
  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の場合
  • 激しい筋肉運動を行う場合
  • 過度のアルコール摂取がある場合

その他、腎機能障害または肝機能障害がある方・高齢の方なども、シュアポストの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。

デベルザの副作用

デベルザのおもな副作用として、頻尿や口渇、尿路感染、尿量増加、便秘、空腹、めまい、性器感染などが報告されています。
また、重大な副作用として、低血糖、腎盂腎炎、脱水などが報告されています。デベルザの服用にともない、下記のような症状があらわれた場合は副作用の初期症状である可能性が否定できないため、適切な処置を行ったり受診したりしてください。

低血糖 ふらつき、めまい、冷や汗、
脱力感、動悸、
手足のふるえ、異常な空腹感
腎盂腎炎、
外陰部および会陰部の壊死性筋
膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症
寒気、発熱、
陰部や性器周辺の強い痛み・腫れ・赤み、
脇腹や背中の痛み、
腰痛、関節や筋肉の痛み
脱水 口や喉の渇き、多尿や頻尿、
立ちくらみ、めまい、
血圧の低下、脱力感、皮膚の渇き
ケトアシドーシス 嘔気・嘔吐、食欲の減退、
腹痛、口の渇き、倦怠感、
息苦しさ、呼吸が荒い、
呼吸が深く大きい、意識の低下

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、シュアポストとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、シュアポストの作用点はSU剤と同じであり、SU剤との相加・相乗の臨床効果および安全性が確立されていないため、SU剤とは併用しないこととされています。
なお、SU剤以外にも併用に注意が必要な薬剤は多数あります。他の医療機関で下記の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。また、他の医療機関を受診する際は、シュアポストの服用を必ず伝えてください。

  • 糖尿病薬、β遮断薬(高血圧や心不全などの治療薬)、モノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病などの治療薬)、サリチル酸剤(抗血小板薬など)、タンパク同化ホルモン剤(骨粗しょう症や再生不良性貧血などの治療薬)、テトラサイクリン系抗生物質、シクロスポリン(免疫抑制薬)、デフェラシロクス(輸血による慢性鉄過剰症の治療薬)、クロピドグレル(抗血小板薬)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(合成抗菌薬)、ファビピラビル(抗ウイルス薬):血糖降下作用が増強されるおそれがあります。
  • アドレナリン、副腎皮質ホルモン、卵胞ホルモン、ニコチン酸、一部の抗結核薬(ピラジナミド、リファンピシン、イソニアジド)、フェノチアジン系薬剤(統合失調症などの治療薬)、利尿薬、フェニトイン(てんかん発作の治療薬):血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがあります。
  • 甲状腺ホルモン:血糖値が変動するおそれがあります。

特定の患者さまへの使用に関して

腎機能障害がある方への使用

重度の腎障害がある場合にシュアポストを使用すると、血中濃度が上昇して低血糖を起こすおそれがあります。また、一般的に慢性腎臓病患者ではインスリンの半減期が延長することが報告されています。
そのため、腎障害がある方にシュアポストを使用する場合は、副作用の発現状況などに留意しながら慎重に投与量などを検討します。

肝機能障害がある方への使用

シュアポストはおもに肝臓で代謝されるため、肝機能障害がある場合は血中濃度が上昇して低血糖を起こすおそれがあります。特に重度の肝機能障害がある場合は低用量から投与を開始するなど、慎重に治療を進めていきます。

妊娠中の方への使用

動物を対象とした試験では、胎児の器官形成期にシュアポストを投与することで胎児に致死作用や骨格異常・骨格変異の発現頻度の増加がみられ、さらに妊娠末期および授乳期の投与で出生児に四肢骨の異常が認められています。
そのため、シュアポストは妊娠中の方や妊娠の可能性がある方への投与が禁忌とされています。

授乳中の方への使用

シュアポストは、動物を対象とした試験で乳汁中への移行が認められています。
したがって、授乳中の方へシュアポストを投与する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。

お子さまへの使用

シュアポストは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、シュアポストの保管場所などにご注意ください。

ご高齢の方への使用

高齢の方では、腎機能や肝機能などが低下していることが多く、低血糖の発生リスクも高い傾向があります。
したがって、高齢の方にシュアポストを使用する場合は血糖値に留意し、定期的に検査を行うなど経過を十分に観察しながら慎重に治療を進めていきます。

低血糖に関する注意点

シュアポストには血糖降下作用があるため、副作用として低血糖が生じるおそれがあります。万が一、シュアポスト服用時に低血糖症状(脱力感、強い空腹感、冷や汗、動悸、ふるえ、頭痛、しびれ、集中力の低下、意識障害、痙攣など)が認められた場合は、糖質を含む食品(飴やジュースなど)を摂取して糖分を補給してください。
ただし、α-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)と併用している場合、砂糖などでは症状の回復が遅れるおそれがあります。そのため、必ずブドウ糖を摂取してください。
なお、糖分を摂取しても症状が回復しない場合は、すみやかに受診してください。症状が回復した場合でも、次回受診日には低血糖症状があらわれたことを必ず報告してください。

シュアポストの患者負担・薬価について

シュアポストには0.25mg・0.5mgの2規格があります。各規格の薬価は以下のとおりです。

シュアポスト錠0.25mg 19.9円/錠
シュアポスト錠0.5mg 34.5円/錠

なお、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがシュアポスト錠0.5mgを1日3回30日分処方された場合、ご負担金額は931.5円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

食事が摂れないときでも、シュアポストは服用しないといけないのですか?

シュアポストを服用すると、食事の摂取がなくてもインスリンの分泌が促されます。そのため、食事が摂れないときはシュアポストを服用しないでください。服用すると、低血糖の症状が強くあらわれるおそれがあります。

血糖値がかなり高いので、運動量を増やして糖質を制限しようと思っています。それにプラスしてシュアポストを飲めば、血糖値は低くなるでしょうか?

急に運動量を増やし、糖質の摂取量を制限した状態でシュアポストを服用すると、低血糖を起こすリスクが高くなります。低血糖の症状がひどくなると、意識を失うこともあるため大変危険です。
したがって、運動療法・食事療法の内容を大きく変えたい場合は、変更前にご相談ください。

シュアポストを飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

シュアポストを飲み忘れた場合は、1回とばして次の服用時間に1回分を服用してください。その際、2回分を一度に服用してはいけません。服用量が多くなると、副作用の発生リスクが高くなります。

 

FacebookTwitterLine