新型コロナワクチンの接種は進みましたがワクチン接種から時間が経過すると抗体価が減少することがわかっています。当院では抗体価検査を導入し、ご希望の方の抗体量を測定することで適切な感染予防のお手伝いができればと考えています。自分の抗体量がどのくらい残っているか気になる方、検査は予約なしで実施できます。ご希望の場合は受付までお声がけください。
目次
抗体とは?
感染症にかかると原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する免疫ができます。免疫により人は外敵から体を守っており、その感染症にかかりにくくなったり、かかっても症状が軽く済んだりします。
ワクチンを接種すると、新型コロナウイルスの表面のスパイクタンパク質に対する抗体を誘導します。この中和抗体によりウイルスがヒトの細胞へ結合(感染)するのを阻害します。抗体は数種類(IgM・IgG・IgA等)存在しますが、その中でも“IgG抗体”は比較的、長期間に渡り体を防御する役割を担います。IgG抗体の値はワクチンを接種することで獲得することができます。
新型コロナ抗体検査とは?
抗体はウイルス構造のいくつかの部位に対して産生され、抗体検査では特定のタンパク質に対する抗体をどれくらい持っているのか調べることができます。
コロナウイルスに対するIgG抗体はワクチン2回目接種2週間後をピークに徐々に下がっていくと言われております。
中和抗体の活性を調べることでワクチン接種後に自身がどのくらいのIgG抗体を持っているかを1cc程の血液検査で測定ができます。
新型コロナワクチン接種後の抗体価推移
ワクチン(ファイザー)接種後の抗体価を観察したデータをご紹介いたします。
海外の報告
ワクチン接種後1回目の接種後の中央値は2,217AU/mL、2回目の接種後の中央値は6,396AU/mLでした。
ハンガリーの研究では2回目のワクチン接種後7日で女性:20,055AU/mL、男性:12,259AU/mLとピークに達しますが、その後男女共に徐々に抗体価が下がる結果が確認されています。
国内の報告
日本人を対象に行われた大規模な調査結果をご紹介します。千葉大学病院の職員である医療従事者1,774名にワクチン(ファイザー)を接種し、接種前と接種後の抗体価の中央値を確認すると、ほとんど抗体がない状態の<0.4 U/mLから2,060 U/mLと大幅に上昇していました。
2回目接種後に99.9%(1,774例中1,773例)とほぼ全員の方の抗体価の上昇がみられました。
抗体価の変化と各種の因子の関連性
抗体価が上がりにくい因子としては
- 免疫抑制薬の内服
- 年齢が高い
- 副腎皮質ステロイド薬の内服
- 飲酒の頻度が高い
抗体価が上がりやすい因子としては
- 過去に新型コロナウイルスに感染したことがある
- 女性である
- 1回目と2回目の接種間隔が長い(18〜25日)
- 抗アレルギー薬の内服(花粉症薬など)
といった項目との関連性が見られました。
ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染したかどうかについて1年後に報告を予定しているそうです。
新型コロナウイルスに感染しにくいIgG抗体価とは?
一般的には抗体を一定量以上持っていれば今後同じウイルスに対して抵抗力があると想定されます。ただし抗体がどのぐらいあればコロナウイルスにかからないかという基準はまだなくわかっていないため感染しないとは言い切れません。
スパイク抗体検査での抗体価の目安として、抗体の力価を定量する一般的な方法であるプラーク減少中和試験(PRNT)で、抗体価が4,160 AU/mL以上であれば、95%以上の確率でウィルス量を50% まで減少させるとされています。
新型コロナ抗体検査の注意事項
▶現在新型コロナウイルスに罹っているかどうかを診断するものではありません。
▶抗体価を血液検査により測定して数値で確認するための検査です。
▶一定以上の抗体価が判定が出た場合でも今後新型コロナウイルスに感染しないという保証はありません。抗体を獲得しててもワクチンの接種や感染リスクを避けた適切な対策を取りましょう。
新型コロナ抗体検査の費用と結果報告期間について
結果報告までの期間は2~3日で、検査費用は8,800円(税込)です。
全額自費となり健康保険は利用できません。
新型コロナ抗体検査がおすすめの方
- ワクチン接種後に自分の抗体価を確認したい方
- ワクチン接種後に副反応がなくワクチンが効いているか心配な方
- 仕事柄人と接触する機会が多い方
採血当日のお願いとお知らせ
- 腕をめくりやすい服装でお願いします。
- 当日のお風呂、シャワーは入っていただいて構いません。
- 発熱・咳・痰・息苦しさ・強いだるさなどの風邪症状や呼吸器症状、味覚・嗅覚異常があるなど体調不良の方は受診できません。