アトピー性皮膚炎のTARC検査について

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TARC検査とは?

TARC (Thymus and Activation-Regulated Chemokine) は、アトピー性皮膚炎の炎症の程度が数値でわかる血液検査で、「タルク」「ターク」と呼ばれます。

TARCの基準値

日本皮膚科学会、日本小児アレルギー学会による基準値を以下に示します。

健常者の基準範囲
年齢 基準値
小児(6か月以上
12カ月未満)
1367pg/mL未満
小児(1歳以上
2歳未満)
998pg/mL未満
小児(2歳以上) 743pg/mL未満
成人 450pg/mL未満
アトピー性皮膚炎の重症度判定の目安
年齢 基準値
小児(2歳以上) 760pg/mL以上
であれば中等症以上
成人 700pg/mL以上
であれば中等症以上

TARC検査の特徴

短期間の変化を反映する

血清TARC値は皮膚症状の変化の程度を短期間に反映します。アトピー性皮膚炎の皮膚症状が悪化すると上昇し、症状が良くなると減少するため、治療の効果判定やステロイドなどの外用薬をしっかり塗ることができているかなどのモニタリングに有用です。

皮膚の状態が数値で表される

TARCは皮膚の炎症の程度が数値でわかるので改善の度合いを把握することができます。当院ではTARCの値を患者さまに共有し治療目標を定めることで、治療のモチベーション維持・向上につなげるようにしています。
また目に見えない皮下の炎症を測定できることから、まだ表面に現れていない変化に気づき、先の症状を予測することができます。

  • 皮膚症状が悪くなっている自覚がなくても、TARCが上がると今後症状が増悪する可能性が高いこと
  • 治療による自覚症状の改善を感じられない場合でも、TARCが下がっていれば症状は改善していく可能性が高いこと

といったこともよくあります。成人の場合は500pg/mL以下を目指すとよいでしょう。

TARC検査の実施に関して

TARC検査の適応患者さんについて

アトピー皮膚炎と診断された患者さま

TARC検査の頻度

月に1回まで保険診療で実施可能です。

TARC検査の患者負担について

TARC検査の費用は1840円ですので、3割負担の方だと約550円が自己負担額になります。(検査費用のみの計算)

TARCの注意点

精度は高い検査ですが、水疱性類天疱瘡や菌状息肉症、血管浮腫、薬疹、膠原病などの疾患でも数値が上昇することがあります。

TARC検査の活用について

プロアクティブ療法の実践

アトピー性皮膚炎は症状の程度が改善と悪化を繰り返すことの多い疾患です。近年では症状が出たときに治療をするリアクティブ療法ではなく、症状が出ていないときにもしっかり炎症をコントロールするプロアクティブ療法が推奨されています。これにより長期間にわたって皮疹の無い状態を維持することが期待できます。TARCを定期的に測定し、目に見えない炎症の度合いを把握し再燃を防ぎましょう。

治療のモニタリング

近年、アトピー性皮膚炎の全身療法の治療薬が相次いで発売されており、治療の選択肢が広がっています。新しい治療を開始するときには、前後でTARCを測定することにより治療効果を数値で把握することができます。特に全身療法などの高額な治療を開始するときには、しっかりと検査値をモニタリングすることで効果判定をすることができます。当院でもTARC検査による効果判定を取り入れています。

TARCとオンライン診療の組み合わせ

TARCは血液検査のため、結果が出るまでに1週間程度時間がかかります。1週間後来院いただき結果をお伝えできればよいのですが、症状が落ち着いている患者さまの場合は次回の受診日まで先になることもあります。
せっかく検査結果が出ているのに、結果をお伝えしたり数値をもとにした治療プランの変更をしたりすることができません。そこでご希望の患者さまにはオンライン診療を用いてTARCの結果をでお伝えすることにも対応しております。TARC検査の結果を生かし、よりよいコントロールを目指していきましょう。

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