イボ治療法「液体窒素スプレー」

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液体窒素スプレーによるいぼ治療

液体窒素

いぼの治療方法として液体窒素を用いる冷凍凝固療法というものがあります。液体窒素を使うといぼが凍結され、いぼを引き起こしているできものを低温で壊死させるというやり方です。治療後は患部がだんだんとできものからかさぶたへと変化し、自然に剥離します。

綿棒を液体窒素にひたして患部に当てる方法もありますが、痛みを伴うため、霧状に噴射して患部に当てるスプレー形式のものが活用されています。治療は平均的に、1~2週間ごとに一度の頻度で行います。

保険適用の治療のため、日本皮膚科学会の治療ガイドラインで推奨度Aに指定されています。

液体窒素スプレーによる治療方法

液体窒素

冷凍凝固法によるいぼ治療は主に、マイナス196度ほどの液体窒素を患部の細胞に当てて凍結し、できものやウイルスを壊死させることで治療する方法を指します。冷凍凝固法に用いるのが液体窒素スプレーです。冷凍と解凍を数回繰り返すことでダメージを与え、できものを壊していきます。

ウイルス性いぼ、老人性いぼ(脂漏性角化症)などに効果が認められています。治療後に茶色がかった色素沈着が生じるケースがあるで、気になるときはご相談ください。

液体窒素スプレー治療法によるメリット・デメリット

メリットとしては、通常の綿棒を用いる方法よりも比較的痛みが軽く、また効果が高い点です。短時間で液体窒素をいぼに確実に当てることができます。

痛みはあるものの堪えられないという強さではないため、お子さまのいぼ治療にも液体窒素スプレーが用いられることが多くあります。また、スプレー口の直径を変更することで、さまざまな種類のいぼに対応できる点も特長です。

液体窒素による治療法のデメリットは、水ぶくれができることがある、黒ずみや赤みが生じる、かゆみや傷跡を引き起こす場合があることなどでしょう。こうした皮膚のダメージは、冷凍凝固法がいぼに効果を発揮している表れでもあるので、根気よく治療を継続することが肝心です。

目など敏感な部位の周辺を治療する場合には使用できないので、綿棒による治療法に切り替えます。

液体窒素スプレーによるいぼ治療の注意点

液体窒素スプレーを用いたいぼ治療後は、患部が水ぶくれや血豆になることがしばしばあります。その時にかきむしったりひっかいたりすると、内部にあったウイルスが体の別の部位に移っていぼが拡散することがあるので、なるべく触らないように過ごしてください。

自然に破れたときは、患部を清潔なガーゼなどで覆いましょう。

よくあるご質問

自分で液体窒素を購入し、いぼを取ることはできますか?

液体窒素はインターネット通販などでも購入できますし、購入した液体窒素でいぼの除去を試みる方もいるようです。
しかし、いぼを自分で除去するのはやめてください。二次感染で症状が悪化したり、ウイルスが広がっていぼが増えたりするおそれがあります。また、液体窒素によって健康な皮膚を傷つけてしまう可能性も否定できません。
皮膚科なら液体窒素スプレー以外の治療も選択できますので、お気軽にご相談ください。

冷凍凝固療法で、綿棒を使う場合と液体窒素スプレーを使う場合の違いは何ですか?

綿棒を使えば、大きないぼも小さないぼも治療できます。しかし、治療時の痛みが強く、治療から数日間痛みや腫れが続くこともあります。
スプレーは、ピンポイントで患部に窒素を当てるのが難しく、強さの調節も簡単ではありません。しかし、比較的痛みが少ないため小さなお子さまでも治療を続けやすいです。

いぼを液体窒素で取るときの痛みを和らげる方法はありますか?

いぼを液体窒素で取るときの痛みを和らげる方法は、残念ながらありません。痛みに敏感な方や幼いお子さまには痛みの少ないその他の治療方法をご提案しますので、診察時にご相談ください。

液体窒素を当てたところがかさぶたになっています。はがしてもいいですか?

治療後にできたかさぶたは、自然にはがれるまでそっとしておいてください。
無理にはがすとウイルスが広がり、いぼが増えるおそれがあります。

いぼを取るのは、液体窒素とレーザーのどちらがいいですか?

日本皮膚科学会による「尋常性疣贅診療ガイドライン 2019(第 1 版)」では、液体窒素による治療は推奨度Aとされていますが、レーザーによる治療は推奨度Bとされています。
これは、レーザー治療の有効性にばらつきがあることが原因の一つのようです。
ただ、ほかの治療で十分な効果が得られないいぼの治療については「(レーザー治療が)選択肢の一つとして推奨できる」とされています。

いぼをコールドスプレーで取ることはできますか?

打撲や捻挫時の応急処置に使うコールドスプレーや筋肉のほてりなどに使用するアイシングスプレーの冷却温度は、液体窒素スプレーほど低くありません。そのため、十分な治療効果は得られないと考えられます。
なお、コールドスプレーやアイシングスプレーは、そもそもいぼの治療のために開発されたものではありません。使い方を誤ると凍傷などほかの皮膚障害をまねくおそれがあるため、いぼ治療のために使用するのは避けてください。

液体窒素の場合、いぼが取れるまでにどれくらいの日数がかかりますか?

いぼの状態などにより治療にかかる日数は変わるため、一概にいうことはできません。
ただ、皮膚の薄い部分にできたいぼの場合は、2~3回(1~2ヵ月)の治療で治ることもあります。
一方、手のひらや足の裏など皮膚が厚い部分やいぼがもぐりこんだようになっている場合は、治るまでに数ヵ月かかることもあります。

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。