抗菌薬「ミノマイシン(ミノサイクリン)」テトラサイクリン系

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ミノマイシンとは?

ミノマイシンの写真

ミノマイシン(一般名:ミノサイクリン塩酸塩)は、細菌のタンパク質の合成を抑制して増殖を抑える抗菌薬です。また抗菌作用だけではなく、白血球遊走抑制作用、活性酸素抑制作用などもあわせもっています。

一般名ミノサイクリンの一部である「ミノ」と、抗生物質という意味の「マイシン」から命名されました。

ミノマイシンの特徴

ミノマイシンは呼吸器感染症、尿路感染症、精巣上体炎や子宮内感染などクラミジア属による感染症、そして皮膚の様々な感染症(表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染)などに対して有効性が認められています。皮膚科の病気を例にあげると、ミノマイシンは炎症を伴うニキビの治療などに用いられており、日本皮膚科学会が発表している「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)治療ガイドライン2017」でも炎症を伴うニキビの内服治療薬の1つとして強く勧められています。

ミノマイシンの使い方

通常、初回の投与量を100〜200mgとし、以後12時間ごとあるいは24時間ごとに100mgずつ経口投与します。また患者さまの年齢・体重・症状などによって投与量や回数は適宜調整します。特に腎臓の機能が低下している場合は薬の減量や投与間隔の延長が必要です。腎臓に持病をお持ちの場合は、必ず担当の医師に申告してください。なお、ミノマイシンは食道で長時間留まると食道に潰瘍(かいよう)を起こすことがあります。服用する際は多めの水と一緒に飲んだり、飲んだ直後にはなるべく横にならないなどの注意も必要です。

ミノマイシンを服用する上の注意点

副作用について

ミノマイシンは比較的副作用が多いお薬です。特徴的な副作用としてはめまい・吐き気があり、特に高用量を服用した場合に起こることが多いとされています。この副作用があるためミノマイシンの服用中は、車の運転・危険な機械の操作・高所での作業などは控えましょう。めまいや吐き気は薬の減量や中止によって改善する場合がほとんどですが、薬の調整に関してはご自身で判断せず医師にご相談ください。このほかにも以下にあげるような副作用が報告されています。

  • 下痢、軟便
  • アナフィラキシー(じんましん・皮膚や喉のかゆみ・冷や汗・息苦しさ・動悸・めまい・意識の低下 など)
  • 重症薬疹(高熱・粘膜のただれ・発疹・倦怠感 など)
  • 血液の障害(発熱・頭痛・倦怠感・めまい・喉の痛み・アザができやすい など)
  • 肝機能障害(倦怠感・食欲不振・発熱・吐き気・皮膚や白目が黄色く変色する・皮膚のかゆみ など)
  • 腎機能障害(尿が少ない・むくみ・発疹・倦怠感 など)
  • 肺炎(息切れ・咳・発熱 など)
  • 膵炎(胸のあたりの強い痛み・吐き気・嘔吐 など)
  • 精神神経障害(けいれん・意識がボーっとする・めまい など)
  • 偽膜性大腸炎(ひどい下痢・粘っこい便・お腹の張り・腹痛・発熱など)

ミノマイシンを内服する際に注意する必要がある患者さまについて

まず肝障害や腎障害のある患者さまやご高齢の患者さまでは、前述のような副作用が強くでる可能性があるため注意が必要です。その他にも食道に通過障害がある方では食道潰瘍を生じやすい点や、口から食事をとるのが難しい方や全身状態のかんばしくない方だと出血傾向が起こりやすいことにも気をつける必要があります。

妊娠中・授乳中の患者さまへの投与について

ミノマイシンは胎児への影響(骨の発育不全・歯牙の着色・歯のエナメル質の形成不全 など)があることが知られており、妊娠中や授乳中の内服はなるべく避けた方がよいとされています。妊娠中や授乳中の方は医師の診察の際に申告してください。

お子さまへの投与について

特に8歳未満のお子さまでは、胎児同様に骨の発育不全・歯牙の着色・歯のエナメル質の形成不全などの影響が懸念されます。ミノマイシンと同じ効果が期待できる他の薬剤が何らかの事情で使用できないか、無効の場合にのみ使用を考慮します。

併用注意の薬について

ミノマイシンと併用してはいけない薬はありませんが、併用注意とされている薬は多数あります。カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン又は鉄剤、ワルファリンカリウム等の抗凝固剤、スルホニル尿素系の血糖降下薬、メトトレキサート、ポルフィマーナトリウム、ジゴキシン、黄体・卵胞ホルモン配合剤(経口避妊薬)、外用剤を除くビタミンA製剤、レチノイド製剤などが併用注意薬に当たります。薬の名前には一般名と商品名がありますが、ここに記載したものは一般名です。ご自身で内服している薬の一般名がわからない場合は、診察の際に内服中のお薬を全て申告しましょう。

ミノマイシンの患者さま負担・薬価について

ミノマイシンの内服薬には錠剤・カプセル・顆粒などいろいろな剤形があります。どの剤形でも効果に差はありませんが、服用する方の年齢や状態などに合わせて使い分けされます。薬価については、50mg錠剤の場合1錠あたり16.5円です。3割負担の患者さまで1錠あたり5.0円の薬剤費となります(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

ミノマイシンを飲んで症状が治まった場合、予定よりも早く内服を中止しても良いですか?
ミノマイシンなどの抗菌薬を内服して治療効果が出てくると、体内の細菌が徐々に減少していきます。症状が少し改善して治ったと感じる場合もありますが、この時点ではまだ体内の病原菌を十分に倒せていない可能性があります。治療途中で抗菌薬を中止すると病状が再燃する可能性もありますので、自己判断で中止せずに医師にご相談ください。また逆に必要以上に長い期間抗菌薬を内服し続けると、薬が効きにくい耐性菌が出現する可能性もあるとされています。
ミノマイシンはどんな感染症にも効きますか?
ミノマイシンは特定の細菌に対して有効な薬です。細菌以外、つまりウイルスやカビなどの感染症に対しては当然無効です。ミノマイシンが有効な病気かどうかは症状や検査によって医師が判断しますので、医療機関にてご相談ください。

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。