掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

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掌蹠膿疱症とは?

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)を中心に膿のたまった皮疹(膿疱)が多数みられる慢性疾患のことです。小さな水ぶくれや赤い発疹ができ、だんだん拡大して膿疱を形成します。発症年齢は30~50歳が多く、有病率は40~60歳代の間で高くなっており、特に女性によく発症します。

膿疱は2~4週間で繰り返し、周期的に軽快に向かったり悪化したりします。特に出始めの頃にかゆみ、また痛みを伴う場合があり、ひっかくとただれて体液や膿が出てくることがあるので注意が必要です。膿疱はかさぶたになって、角層(皮膚の再表層)がはがれ落ちていきますが、これが皮疹をつくることもあります。また、10%~30%の症例で鎖骨や胸の中央部をはじめ、全身の関節が痛くなる掌蹠膿疱症性骨関節炎が観察されています。

爪に症状が現れると、爪の下に膿疱などができたり爪が変形・はがれて浮いて来たりします。また、手のひらや足裏の他にも膝やすね、頭部に発現することもあります(掌蹠外皮疹)。

なお、膿疱を形成しますが、膿の中には細菌や真菌(カビ)は存在しないため、患部が触れて別の部位や他人に感染するといった心配はありません。遺伝に関しては、日本では掌蹠膿疱症は遺伝するとの報告はなく、家族で発症したという症例も稀です。

掌蹠膿疱症の原因

掌蹠膿疱症の原因は現在まだ解明されておらず、患者の70%~80%は検査を行っても原因を特定できていないというのが現状です。

ただし、病巣感染や金属アレルギーが誘因となっているケースもあるので、検査によってこうした原因を特定できれば治癒できる可能性が高いと考えられています。

扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎などの細菌感染やウイルス感染が疑われる場合は採血検査を行うこともあります。

海外では報告がそれほどありませんが、日本ではパラジウムをはじめとする歯科金属に対してアレルギー反応を引き起こし、掌蹠膿疱症を誘発しているという事例が多数報告されています。検査を行い、使用中の歯科金属に対してアレルギー反応が見られた場合は、交換することで掌蹠膿疱症が治癒に向かうケースがよくあります。

このほか、掌蹠膿疱症患者の約80%が喫煙者というデータがあるなど、重度の喫煙習慣がある人はそれらが原因になっていることがあります。

掌蹠膿疱症の診断

掌蹠膿疱症と診断されたら、医師からまずは問診が行われます。喫煙歴や、歯周炎や扁桃炎などの病歴・治療歴、骨関節症状の有無、合併症の有無などを質問されます。

掌蹠膿疱症の水疱や膿疱は無菌性であることが特徴。そのため、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を使ったダーモスコピー検査を行うことが一般的です。この際、鑑別疾患がある場合は、皮膚の一部を摘出して顕微鏡で観察する皮膚生検も行います。掌蹠膿疱症とよく似た症状のひとつに白癬(みずむし)があるので、水酸化カリウム(KOH)溶液に混ぜて顕微鏡で真菌の存在を調べる真菌検査を行うケースもあります。

関節炎がある場合や合併症が疑われる場合、またウイルス感染や細菌感染が疑われる場合は採血検査を行います。

金属アレルギーが原因の可能性が高ければ、金属を皮膚に貼ったときの皮膚の反応や状態を検査するパッチテストを行います(金属パッチテスト陽性例は40%~60%)。歯科金属でアレルギーを起こしていると診断された後は、誘因となる種類の金属を身の回りから遠ざけることで快方に向かうので、経過観察を行います。

掌蹠膿疱症の治療

掌蹠膿疱症の治療として、現在は明確な治療指針は確定されていません。原因と考えられる要素を検討し、患者一人一人の症状や体質、生活習慣などから総合的に判断して治療が行われます。

対症療法には保険が適用されることがほとんどです。アンテベートをはじめとするステロイド剤やオキサロール軟膏などのビタミンD3の軟膏を外用する方法がまず行われます。掌蹠膿疱症の症状が出る手や足は皮膚の角層が厚いためステロイド剤の副作用が現れにくいですし、経過を追わせていただきます。

もし外用薬だけでは改善効果が芳しくない場合、チガソンなどのエトレチナート、シクロスポリンなどの内服薬を処方します。

扁桃炎が出ている場合は抗生物質の内服薬を併用します。また、扁桃腺摘出が有効な場合もあるので、耳鼻科などの診療が推奨されることもあります。

このほか、紫外線を病変部に照射する光線治療や生物学的製剤による注射療法を用いることがあります。

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その他の治療

虫歯がある場合、歯科を受診して虫歯治療を施されます。また歯科金属が原因と考えられる場合は歯科金属を除去し、代替品に取り替えることが推奨されます。

掌蹠膿疱症の予防や注意事項

掌蹠膿疱症の原因はさまざまなものが考えられるため、治療法も患者に合わせて多種類を組み合わせることがあります。糖尿病や甲状腺疾患を併発することがあるので、喉のかわきや疲れやすさ、息切れ、動悸などの症状が出ている場合は医師に申し出てください。

喫煙が悪化因子として考えられているので、禁煙をすることをおすすめします。また、口の中を清潔に保つこと、扁桃炎や風邪にかからないよう栄養と睡眠を十分にとり、規則正しい生活を送ること、精神的なストレスをためこまないようにすることなどを心がけると良いでしょう。

 

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