アラミストとは?
アラミスト(一般名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル)は鼻腔内に噴霧するタイプのステロイド薬で、アレルギー性鼻炎抑制作用、好酸球浸潤抑制作用、抗炎症作用など様々な効果があります。
名称の由来は薬液が細かな霧状になって噴霧されることから、「アレルギー(Allergy)」を抑制する+「ミスト・霧(mist)」=アラミスト(Allermist)と命名されました。
有効成分のフルチカゾンフランカルボン酸エステルは、吸入ステロイド喘息治療剤(レルベア吸入用、テリルジー吸入用、アニュイティ吸入用)にも用いられています。
アラミストの特徴
アラミストは、1日1回の噴霧で効果が得られる利便性の高い点鼻薬です。デバイス(噴霧器)が横押し型となっているため、年齢を問わず快適に使用できるのが特徴です。噴霧された薬剤は微細な霧状になるため液だれしにくく、薬剤特有の臭いもほとんどありません。
鼻粘膜によく作用するため、くしゃみや鼻水はもちろん、鼻づまりのひどい重症のアレルギー性鼻炎にも効果が期待できます。
アラミストの使い方
開封後初めて使用するとき
よく振る
アラミストを開封後初めて使う際には、キャップをしたまま10秒ほどしっかり振ってください。振ることにより、粘り気のある懸濁液がサラサラの液体へと変化します。
空打ちをする
キャップを外し、容器を垂直に立ててノズル(噴霧口)を顔から離して持ってください。容器を握るようにして持ち、親指以外の4本の指でレバーを最後まで押し切ってください。少なくとも6回空打ちを行い、液が完全に霧状になるのが確認できたら準備完了です。
なお、2回目以降の使用では空打ちする必要はありません。
毎日の使用時
1. アラミストを使用する前に、鼻をかんで通りをよくしましょう。
2. キャップをしたまま容器をしっかり振ってください。
3. キャップのギザギザ部分をつまみながら、ねじらず上に持ち上げてください。
4. 軽くうつむき、容器を垂直に立てたまま鼻の穴にノズルを入れ、レバーを最後まで強く押し切ってください。通常、成人は左右の鼻腔に2回ずつ、小児は左右の鼻腔に1回ずつ薬液を噴霧します。
使用後
1. 乾燥している清潔なティッシュペーパーなどで、ノズルとキャップの内側を拭いてください。拭くときに水は使用しないでください。
2. 必ずキャップをはめ、容器を立てた状態で室温保管してください。横にするとノズルから懸濁液が漏れ出て、次回使用時に一定量が噴霧できなくなるおそれがあります。
キャップし忘れた場合・使用間隔があいてしまった場合
5日以上噴霧器のキャップが外れていた場合、あるいは前回使用時から30日以上使用しなかった場合は、「開封後初めて使用するとき」と同じように6回を目安に空打ちしてください。そして、懸濁液が完全に霧状になったことを確認してから使用を再開してください。
アラミストを使用する上での注意点
アラミストを使用してはいけない例
以下の場合は、アラミストの使用を避けなければなりません。該当する事項がある場合は必ず医師に伝え、指示を仰ぎましょう。
有効な抗菌剤の存在しない感染症や深在性真菌症に罹患している場合(症状が悪化するおそれがあります)。
アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)に対してアレルギー歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります)
アラミストの副作用について
アラミストは鼻腔に直接使用するため、ステロイド内服薬のような全身性の副作用が発生するリスクは極めて低いです。
鼻に限定した副作用として、鼻血・鼻への刺激感・痛み・乾燥感などが発生するおそれがあります。ただし、これらの副作用はアラミストの使用をやめると改善します。
その他の副作用としては、血中コルチゾールの減少や白血球数減少、眼圧上昇、頭痛、睡眠障害などが報告されています。
なお、重篤な副作用としてアナフィラキシー反応があります。アナフィラキシー反応が発生することは稀ですが、アラミスト使用後に蕁麻疹や全身の発赤、顔やのどの腫れ、息苦しさなどが生じた場合は、すみやかに医療機関を受診して適切な処置を受けてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
アラミストの成分であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルは、肝臓のCYP3A4と呼ばれる酵素で代謝されます。そのため、CYP3A4阻害作用を有する薬剤と併用すると血中濃度が高まり、全身性の副作用が発生するおそれがあります。CYP3A4阻害作用を有する代表的な薬剤は、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、シメチジン、ベラパミル、リトナビルなどです。併用薬がある場合はあらかじめ処方医に伝え、自己判断で治療を中断することがないようにしましょう。
特定の患者様の使用に関して
妊娠中または授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して
妊娠中・授乳中の方の使用については、治療上の有益性と危険性を比較衡量した上で医師が使用の可否を判断します。お子さまやご高齢の方の使用は特に問題ありませんが、自己判断で使用量を増やしたり長期間使用したりするのは避けてください。副作用を避けるためにも、医師の指示通りに使用しましょう。
アラミストの患者負担・薬価について
アラミストには120噴霧用と56噴霧用の2規格があります。薬価は120噴霧用が2209.5円/キット、56噴霧用が1086.8円/キットです。患者様にご負担いただくのは保険割合に応じた金額となるため、例えば三割負担の患者様が120噴霧用を1キット処方された場合のご負担額は662.7円、56噴霧用を1キット処方された場合のご負担額は325.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- 大人の場合、左右2噴霧の順番はどうすればよいですか?
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どのような順番でも大丈夫です。ご自身のやりやすい方法で左右2回ずつ噴霧してください。
- 症状がひどいときは、1日の使用回数や1回の噴霧回数を増やしてもいいですか?
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アラミストは、1日1回の使用で効果が得られる薬剤です。また、使用回数や噴霧回数を2倍にしても効果が倍増するわけではないため、決められた回数以上使用する必要はありません。成人は1日1回、左右の鼻腔に2噴霧ずつ、小児は1日1回、左右の鼻腔に各1噴霧すれば、十分な効果が期待できます。
- 症状が落ち着いているときは使わなくてもいいですか?
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アラミストは、継続して使用するとより良い効果が得られます。症状がなくても、指示した期間は使用を継続するようにしてください。
- 使い始めてどれくらいで効果が出ますか?
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通常は24時間以内に効果があらわれ始めます。ただし、薬の効き方には個人差があるため、効果を実感するまでに数日かかる場合もあります。
- 喉(のど)に流れてきた点鼻薬の薬液を飲み込んでしまいました。大丈夫でしょうか?
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1回に噴霧する薬液の量はわずかですし、飲み込んでも体内で分解されるため特に問題はありません。局所的な副作用が心配な場合は、アラミストを使用したあとに水やお茶などを少し多めに飲めば大丈夫です。ただし、のどの違和感などが続く場合はご相談ください。
- 規定回数を噴霧したあとも薬液が残っています。使い切ってもいいですか?
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容器に充填されているのは、初回の6回の空打ち分+規定回数(56回または120回)分と考えてください。成人であれば56回で2週間分(14日分)、120回で約1ヵ月分(30日分)です。
規定回数を噴霧したあとも薬剤は多少残りますが、適正な量を噴霧できないため使用は避けてください。
- レバーが押しにくいのですが、何かコツはありますか?
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親指をレバーの反対側に添え、残りの4本の指で握りしめるようにしてレバーを押すと上手に噴霧できます。握力が弱い場合は、両手を使ってレバーを押すとよいでしょう。