頭皮の湿疹・乾癬治療薬「コムクロシャンプー」
乾癬の皮疹が頭皮にある場合、フケが増えやすくなることがあり、患者さまが困りがちな症状の一つです。
頭皮の乾癬に対する従来の治療方法としてはステロイド含有ローションやクリーム、活性型ビタミンD3含有ローションなどがあり、現在も使用されています。しかしべたつきによる不快感や外用の手間などが問題となり、治療を継続しにくいという患者さまも少なからずいらっしゃると思います。
そんな患者さまには、2017年に発売されたコムクロシャンプー0.05%(マルホ株式会社)による治療がおすすめです。コムクロシャンプーはクロベタゾールプロピオン酸エステルという最も強いランクのステロイドを含んだシャンプーで、髪を洗う15分前に薬を塗り、15分後に洗い流すことで治療になるという画期的な薬剤です。
頭部に感染症・皮膚潰瘍がある場合や、コムクロシャンプーに対してアレルギー歴がある方には使用いただけませんが、その他の頭部尋常性乾癬や頭部湿疹・皮膚炎でお困りの方には使用いただくことが可能です。
また妊娠の可能性がある女性や妊婦の患者さまは治療の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用可能である点や、お子様に対する臨床実験は行われていない点が添付文書に記載されていますので、これらに当てはまる患者さまの場合には適応を慎重に判断する必要があります。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にてコムクロシャンプーの処方を行っております。
通院なしで症状に合った薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。
アプリをインストールする必要はなく、システム利用料もいただいておりません。
ぜひご利用ください。
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コムクロシャンプーの使い方
通常の塗り薬とは使い方が異なるので、以下で詳細にご説明します。
(1)コムクロシャンプーを必要量、手に取る。
尋常性乾癬や湿疹の病変がある部分に塗る薬ですので、病変の面積によって必要な量も人それぞれ違います。
マルホ株式会社の資料によると使用量の目安としては、頭全体に塗布するのには500円玉3枚分の量が適当とされています。これを参考に、症状がある面積に応じて適した量を手に取ってください。
後頭部などご自身では見えにくい部分もあるため、どれくらい病変が広がっているのかは薬を開始する前に医師やご家族に確認してもらいましょう。
(2)頭皮が乾いている状態で、患部に薬を塗る。
薬を手に取ったら病変の部分に塗っていきますが、強くこする必要はありません。むしろ強くこすることで正常な皮膚を引っ掻いて病変が広がる場合がある(ケブネル現象)ため、こするのは厳禁です。爪を立てないように、指の腹でおだやかに薬をなじませてください。
また頭皮が濡れていても治療効果は落ちませんが、薬がたれて目に入りやすくなるため緑内障や白内障といった副作用につながるリスクが高まってしまいます。そのため、必ず頭皮が乾いた状態で薬を塗るようにしてください。
薬を塗り終わった後はよく手を洗い、手についている薬液を落としておきましょう。
(3)15分待つ。
お待ちいただくのは浴室外でも浴室内でも構いません。ただし薬がたれて目に入らないようご注意ください。浴室内など汗をかきやすい場所で待つ場合は、特に注意が必要です。
(4)頭にお湯または水をかけ、指の腹で優しく泡立てる。
ここでも強くこすりすぎると病状が悪化する場合がありますのでご注意ください。
(5)流し残しのないよう、頭や全身をシャワーでしっかりとすすぐ。
流す際は、お湯と水のどちらでも結構です。コムクロシャンプーを洗い流すために他のシャンプーを併用する必要はありませんが、医師から指示がない場合はお好みのシャンプーを使用していただいても差し支えはありません。
コムクロシャンプーの副作用
この製品はステロイドですので、副作用もステロイドの副作用(皮膚の萎縮・毛細血管の拡張・ニキビ・易感染性など)を生じることがあります。
ただしコムクロシャンプーは15分置いた後に薬を洗い流してしまうため、これまでのステロイド外用治療と比較すると副作用が出にくいと言われています。
コムクロシャンプーの患者さま負担・薬価について
コムクロシャンプーは1本あたり125ml入りで、2,500円です(薬代のみ)。頭部の尋常性乾癬と湿疹に対して保険適用があり、3割負担の方だと約750円、1割負担の方だと約250円が自己負担額になります。
コムクロシャンプーは500円玉3枚分の量で、頭全体に塗布できると言われています。500円玉1枚分の量は約2.5mlのため、仮に頭全体に塗布した場合1日に7.5ml使用する計算になります。このペースで使用した場合、1本のボトルは約16.7回で使い切ります。
以上のことから、頭皮全体の病変に対してコムクロシャンプーを使用する場合「1本あれば約2週間治療できる」と考えていただければ結構かと思います。
ちなみにビタミンD3とは違い使用量に上限はありませんが、過剰に塗る必要もありません。
コムクロシャンプーまとめ
使い方に慣れるまでは少し面倒に思うこともあるかもしれませんが、
- 副作用が出にくい
- 薬がクッションやマクラについてしまうストレスがない
- 同程度のステロイド外用薬(先発品)と比較しても、少しだけ安い
など、メリットも多い治療法です。
頭皮の尋常性乾癬や湿疹でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
- コムクロシャンプーは市販でも買えますか?
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コムクロシャンプーは、ドラッグストアなどでは市販されていません。
ただ、コムクロシャンプーを医師の処方箋なしで販売している薬局もあるようです。
しかし、コムクロシャンプーが使用できる疾患は尋常性乾癬、湿疹、皮膚炎に限定されており、医師の診察を受けないまま自己判断で使用していいものではありません。
当院では、オンライン診療にて必要と判断した場合にはコムクロシャンプーの処方が可能ですので、頭部の乾癬や湿疹などにお悩みの方はお気軽にご相談ください。
- コムクロシャンプーは、頭皮の脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎にも使えますか?
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コムクロシャンプーは、頭部の脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎・接触皮膚炎などを含む頭部の湿疹・皮膚炎の方を対象とした国内の臨床試験において、有効性および安全性が確認されています。そのため、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に対しても使用できます。
ただし、残薬がある場合でも自己判断で使用するのはおすすめできません。気になる症状がある場合は、診察時にご相談ください。
- コムクロシャンプーはどれくらい効き目がありますか?効かない場合はありますか?
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頭部の尋常性乾癬の方を対象とした臨床試験では、コムクロシャンプーを1日1回4週間使用した群において29.5%の人が紅斑や浸潤・肥厚、鱗屑などの症状が75%以上改善したと報告されています。
頭皮の脂漏性皮膚炎の方を対象とした臨床試験では、コムクロシャンプーを1日1回4週間使用した群はプラセボ群に比べて有意に症状が改善したと報告されています。
脂漏性皮膚炎を除く頭部の湿疹・皮膚炎の方を対象とした臨床試験では、コムクロシャンプーを1日1回4週間使用した群において76.3%の方がほとんど症状がなくなった、あるいはまったくなくなったと報告されています。
このように、コムクロシャンプーは頭部の尋常性乾癬や脂漏性皮膚炎、湿疹などに対する効果が確認されていますが、すべての症例に著効というわけではありません。したがって、コムクロシャンプーを使用しても十分な効果が得られないケースもあると考えられます。
- コムクロシャンプーはどれくらい使えばいいですか?
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コムクロシャンプーの使用期間は症状によって変わるため、一概にはいえません。
症状が落ち着いてきたら使用間隔をあけることも可能ですので、診察時にご相談ください。
- コムクロシャンプーは円形脱毛症にも効果がありますか?発毛効果は期待できますか?
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たしかに、円形脱毛症の治療にステロイド外用薬が使用されることもありますが、コムクロシャンプーは円形脱毛症に適応はありません。
また、長期連用にともなう副作用として「多毛」が報告されていますが、発毛目的で使用することもできません。希望されても処方できませんのでご承知ください。
- コムクロシャンプーで抜け毛が起こりますか?
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コムクロシャンプーの国内臨床試験や市販直後調査において脱毛の報告は認められておりません。ただし疾患(脂漏性皮膚炎)や掻破など様々な要因によって脱毛が起こりうることは考えられます。
- コムクロシャンプーを使い続けるとどうなりますか?
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使用4週後の段階では皮膚委縮や眼に対する影響は見られませんでした。まずは4週間を目安に使用しその後は増悪時に間隔をあけながらお使いください。