アポハイド®ローションとは?
アポハイドローション20%(有効成分:オキシブチニン塩酸塩)は、日本初の保険適用の原発性手掌多汗症治療薬です。エクリン汗腺にあるムスカリン受容体に対して抗コリン作用により発汗を抑制します。
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アポハイド®ローションの発売日
2023年3月に製造販売承認を取得し2023年6月1日に久光製薬より発売されました。
手掌多汗症の生活への影響
国内における原発性手掌多汗症の有病率は5.33%、およそ20人に1人の割合で、平均発症年齢は13.8歳(男性15.0歳、女性11.6歳)とされています。
手掌多汗症によるご本人のお悩みは、周りの人が思っているよりも深いことが多いです。皮膚疾患による生活への影響度を測るDLQIスコアによると、多汗症がQOLに及ぼす影響はアトピー性皮膚炎やニキビよりも高いという結果でした(海外データ)。また多汗症の中では、おでこの汗やワキ汗よりも手汗の方がQOLが低いと報告されています。
当院でも手の汗によりテストが濡れて破れてしまう、握手をする際に恥ずかしいなど、手汗にお困りの方から多くご相談をいただきますので、保険適用の薬剤の選択肢が増えることは喜ばしいです。
参考:Hamm H et al: Primary focal hyperhidrosis: disease characteristics and functional impairment.Dermatology 2006; 212: 343-353.より作図
オンライン診療対応
手汗でお困りの方は、アポハイドローションが選択肢になります。
当院では初診からオンライン診療に対応しております。ご来院いただかなくとも診療ができ、薬剤をお送りすることも可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご活用ください。
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アポハイド®ローションの効果
12歳以上の原発性手掌多汗症患者さま284例を対象にしたアポハイドローションとプラセボによる比較試験の結果、投与4週後に半数を超える患者さまの発汗量が50%以上改善しました。
※【発汗量の測定】換気カプセル型発汗計を用いて測定期間に3回測定し平均値を発汗量とした。
アポハイドローションの効果が出るまで
どれぐらいの期間使えば効果を示すのか、即効性の薬剤かどうかは気になるところかと思います。
現時点で最短のエビデンスとしては、使用開始して2週後に統計的に有効な改善が認められたという報告がありました。
手汗は精神的な影響もあるので、まずは一度お試しいただくことをおすすめしています。
参考:第Ⅲ相比較試験(HP-5070-JP-04)
アポハイド®ローションの適応患者さんについて
アポハイド®ローションの使用方法
1日1回就寝前に、適量を両手掌全体に塗布します。1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分(成分として約96ミリグラム)を目安とします。
- 注意:お薬を塗った後は、起床後まで手を洗わないでください。
- 注意:万が一目に入った場合は、水でよく洗い流してください。
アポハイド®ローションの副作用について
主な副作用(1~5%未満)として、適用部位皮膚炎、適用部位そう痒感、適用部位湿疹、皮脂欠乏症、口渇が報告されています。
詳しくはアポハイド®ローションの添付文書の「副作用」の詳細情報をご確認ください。
アポハイド®ローションの患者負担・薬価について
アポハイドローション20%の薬価(薬剤の値段)は、一本当たり2,358円です。1本は1回5プッシュ使用すると1週間分の分量になります。3割負担の患者さまで1本あたり707.4円(薬剤費のみ)となります。
なお新医薬品については、「1年間は14日分を限度として投与すること」とされていますので、1回の診察につき2本の処方が上限となります。
よくあるご質問
- アポハイドローションは足にも使えますか?
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アポハイドローションは手の平のみの適用となります。足にはお使いいただけません。
- 塗り忘れてしまった場合はどうしたらよいでしょうか?
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塗り忘れてしまった場合は、次の就寝前のタイミングで塗布するようにしてください。
- 塗布後から手を洗うまでどれぐらいあけたらよいでしょうか?
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塗布後から手を洗うまでの時間に制限はございません。ただし、必要以上に他者や物に触れないように、出来る限り寝る直前に投与してください。
- アポハイドローションによる治療期間の目安はありますか?
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アポハイドローションは対象療法の薬剤であり、根本治療はされないため、いつまでという目安がありません。効果と副作用の状況を見て、治療の継続についてご相談ください。
- アポハイドローションの使用を中止すると症状は再発しますか?
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本剤は対象療法であるため、投与を中止すると症状が再発する可能性は考えられます。
- アポハイドローションを塗った部位を洗い流す場合、石鹸で洗う必要はありますか?
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石鹸で洗っても問題ありませんが、使用の必要はございません。
- 寝る前にアポハイドローションを塗り、翌朝手を洗ってからコンタクトをつけてもよいのでしょうか?
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問題ございません。コンタクトレンズの装脱着の際は、本剤使用前又は手洗い後に実施するようにしてください。
- アポハイドローションを塗った後、すぐに手を洗った場合もう一度塗ることは可能ですか?
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手を洗った場合は再投与せず、次回の就寝前のタイミングで投与いただきようにお願いいたします。
- 間違って飲んでしまった場合はどうしたらよいでしょうか?
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口腔内に成分が残っている可能性がございますので、うがいなどをし口腔内をゆすいで残薬を除去してください。
- 添付文書に「本剤塗布後に気密性の高い手袋等で覆って密封しないこと」と書いてありますが、どのような手袋なら着けてもよいでしょうか?
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気密性の高い手袋等(ゴム、シリコン、ビニール)の使用は控えてください。通気性の良い布製の手袋等であれば使用可能です。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。