ステロイド・抗生物質配合外用薬「クロマイP(クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩(プレドニゾロン含有))」

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クロマイPとは?

クロマイPの写真

クロマイP(一般名:クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩(プレドニゾロン含有))は、2種類の抗生物質(クロラムフェニコール、フラジオマイシン)と抗炎症作用を持つステロイド(プレドニゾロン)を配合した外用薬です。
抗生物質を含むため、通常は細菌感染をともなう場合、あるいはそのおそれのある湿疹や皮膚炎、外傷、熱傷などの治療に用いられます。
ステロイドと抗生物質の配合外用薬は、他にフルコートF(フルオシノロンアセトニド+フラジオマイシン硫酸塩)、ベトネベートN(ベタメタゾン吉草酸エステル+フラジオマイシン硫酸塩)、リンデロンVG(ベタメタゾン吉草酸エステル+ゲンタマイシン硫酸塩)などがあります。
なお、ステロイド外用薬は作用の強さで5つのクラスに分類されますが、クロマイPの成分であるプレドニゾロンの強さは、最も弱いウィーククラスです。

クロマイPの特徴

クロマイPの成分であるクロラムフェニコールおよびフラジオマイシンは、細菌のたんぱく合成を阻害して抗菌作用を発揮します。クロラムフェニコールは、特にブドウ球菌属、肺炎球菌を除くレンサ球菌属、腸球菌属、大腸菌、などに静菌的に作用します。一方、フラジオマイシンは、グラム陽性・陰性菌、抗酸菌、放線菌、レプトスピラなどに対して殺菌的に作用します。
また、プレドニゾロンは、起炎物質の生合成抑制と炎症細胞の遊走抑制により、抗炎症作用をあらわすと考えられています。
これら3剤の合剤であるクロマイPは、幅広い抗菌作用を持ち、ステロイドを使いにくい感染部位にも使用できる有用性の高い外用薬といえます。

クロマイPの効能効果・用法用量

クロマイPの適応菌種は、クロラムフェニコール/フラジオマイシン感性菌です。
適応症は、深在性皮膚感染症や慢性膿皮症、湿潤、びらん、結痂をともなうか二次感染を併発している湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、外傷・熱傷および手術創などの二次感染です。
通常は、1日1~数回直接患部に塗布または塗擦するか、無菌ガーゼなどにのばして貼付します。

クロマイPを外用する上での注意点

クロマイPを塗ってはいけない例

以下の場合はクロマイPを外用してはいけません。該当する事項がある場合は、必ずご相談ください。

  • クロラムフェニコール・フラジオマイシン耐性菌または非感性菌による皮膚感染がある場合(感染症を増悪させるおそれがあります。)
  • 皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹の場合(ステロイドは免疫機能を抑制するため、感染症を増悪させるおそれがあります。)
  • 真菌症(白癬、カンジダ症など)の場合(ステロイドは免疫機能を抑制するため、感染症を増悪させるおそれがあります。)
  • 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の場合(ステロイドの血管新生および肉芽増殖に対する抑制作用により上皮化が抑制され、鼓膜穿孔が拡大したり自然閉鎖が阻害されたりするおそれがあります。)
  • クロマイPの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • フラジオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質、またはバシトラシン、クロラムフェニコールに対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 潰瘍(ベーチェット病を除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の場合(ステロイドの血管新生および肉芽増殖に対する抑制作用により、上皮化が抑制されるおそれがあります。)

クロマイPの漫然使用のリスクについて

クロマイPは、大量または長期にわたる広範囲の密封法(ODT)などにより、ステロイドを内服した場合と同様の副作用があらわれることがあります。
また、クロマイPには抗生物質が含まれているため、漫然と使用すると耐性菌が発現するおそれがあります。さらに、長期連用でアミノグリコシド系抗生物質の副作用である腎障害や難聴が生じることもあります。
思わぬ副作用を避けるため、クロマイPを使用する際には指示された期間をきちんと守り、自己判断で使用範囲を広げないようにしましょう。

顔や陰部への外用について

顔や陰部は、体のほかの部分に比べてステロイドの吸収率が良く、長期にわたり大量に使い続けると副作用が発生しやすくなります。特にまぶたへの使用は眼圧の亢進や緑内障をまねくことがあるため、頭痛や目のかすみ、目の痛み、まぶしさを強く感じるなどの症状があらわれたら速やかに受診してください。

副作用のニキビなどについて

クロマイPを長期連用すると、薬を外用した部分に白っぽいニキビのようなもの(ステロイドざ瘡)が多発することがあります。また、皮膚の萎縮や毛細血管の拡張(ステロイド皮膚)があらわれることもあります。
これらの症状があらわれた場合は、クロマイPの使用を徐々に控えてステロイドを含まない薬剤に切り換える必要があります。そのため、クロマイPの使用でニキビが多発したり皮膚の変化が生じたりした場合は、診察時にご相談ください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

クロマイPは、病気の治療で内服薬を服用している場合でも使用できます。ただし、他のステロイド外用薬を使用している場合は過剰投与になるおそれがあります。使い分けが必要な場合もあるため、必ず併用薬をお伝えください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中または授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して

医師の指導に従い、少量のクロマイPを短期間使う限りにおいては特に問題はないとされています。ただし、催奇形性や発育障害、副作用などのリスクがまったくないわけではありません。
したがって、大量・長期・広範囲の使用はできるだけ避けてください。

クロマイPの患者負担・薬価について

クロマイP軟膏の薬価は26.5円/gです。25g(1本)処方された場合、薬剤費は662.5円/本になります。
なお、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがクロマイP軟膏25g/1本を処方された場合、ご負担金額は198.75円です(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。

よくあるご質問

クロマイPと同じ成分の市販薬はありますか?

クロマイPと同じ成分の市販薬は、ドラッグストアなどで販売されています。
ただし、クロマイPと市販薬では適応が若干異なります。また、クロマイPも市販薬も、誤った使い方をするとかえって症状が悪化するおそれがあります。
市販薬を5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は、薬が合っていない可能性があるため、使用を中止して早めに受診してください。

クロマイPはいろいろな菌に効くと聞きました。では、水虫に使ってもいいですか?

水虫の原因は細菌ではなく、真菌(カビの一種)です。そのため、クロマイPでは治療できません。また、ステロイドを含む外用薬を真菌感染症に使用するとかえって症状が悪化することがあるため、水虫(白癬)への使用は禁忌となっています。
なお、水虫には専用の治療薬があります。お悩みの場合は診察時にご相談ください。

クロマイPを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?

塗り忘れた場合は、気が付いたタイミングでできるだけ早く使用してください。ただし、次の塗る時間が近い場合は忘れた1回分は塗らず、次に塗る時間になってから塗ってください。
なお、塗る量は1回分のみです。塗り忘れ分をあわせて2回分塗る必要はありません。

 

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