ステロイド外用薬「フルコート(フルオシノロンアセトニド)」ストロングクラス

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フルコートとは?

フルコートの写真

フルコート(一般名:フルオシノロンアセトニド)は、抗炎症作用を持つステロイド外用剤で、皮膚の赤みや腫れ、かゆみなどの症状を改善する作用があります。
「フルコート」という名称は、有効成分のフルオシノロンアセトニドが、ハイドロコーチゾンという物質にF(フッ素)を導入した化合物であることに由来します。
なお、ステロイド外用薬は強さにより5段階に分類されますが、フルコートの強さは上から3番目のストロングクラスです。同じ強さのステロイド外用薬としては、ベトネベート(ベタメタゾン吉草酸エステル)、ボアラ(デキサメタゾン吉草酸エステル)、メサデルム(デキサメタゾンプロピオン酸エステル)、リンデロンV(ベタメタゾン吉草酸エステル)などがあります。

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フルコートの特徴

フルコートは軟膏・クリーム・外用液・スプレーの4つの剤型があり、疾患の種類や皮膚の状態、部位などに応じた使い分けができます。
ただし、細菌感染症・真菌感染症などによる炎症には原則として使用しません。やむを得ず使用する場合は、あらかじめ適切な抗菌剤や抗真菌剤による治療を行うか、これらとの併用を考慮します。

フルコートの効能効果・用法用量

フルコートは、湿疹や皮膚炎群、皮膚そう痒症、痒疹群、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、薬疹や中毒疹に適応があります。
通常は、1日1~数回、適量を患部に塗布あるいは噴霧します。ただし、症状により適宜増減します。

フルコートを外用する上での注意点

フルコートを外用してはいけない例

以下の場合はフルコートの外用を避けなければなりません。該当する事項がある場合は、必ずご相談ください。

  • 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症および疥癬やけじらみなどの動物性皮膚疾患の場合(感染症を悪化させるおそれがあります。)
  • フルコートの成分に対して過敏症の既往歴がある場合(重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。)
  • 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の場合(穿孔部位の治癒の遅延および感染のおそれがあります。)
  • 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の場合(皮膚の再生が抑制されて、治癒が遅延するおそれがあります。)

なお、フルコートを使用中に上記に該当する疾患にかかったり症状があらわれたりした場合は、自己判断で使用を中止するのではなく診察を受けてください。急にフルコートの使用をやめると、ステロイドでおさえられていた症状が悪化するおそれがあります。

外用液やスプレーの使用に関する注意点

適量を指先に出し、患部にやさしく塗布してください。
強くすり込む必要はありません。

まぶたの縁部分に塗る場合

外用液およびスプレーは、軟膏やクリームに比べて皮膚への刺激が若干強めです。そのため、亀裂のある部分やびらん面への使用は避けてください。
また、スプレーについては、以下の点にも注意してください。

  • 患部とスプレーの距離は約10cm離すこと。
  • 同一箇所に連続して3秒以上噴射しないこと。
  • 噴霧液が眼、鼻などに入らないようにすること。

顔や陰部への外用について

顔や陰部は体のほかの部位に比べて皮膚が薄いため、ステロイドの吸収率が高くなります。一方で、副作用の発現リスクが高くなるため、注意が必要です。
フルコートを顔や陰部に使用する場合は、指示された期間を超えて長期間連用したり、自己判断で塗布範囲を広げたりしないようにしましょう。

副作用のニキビなどについて

フルコートを使用すると、薬を塗布した部分にニキビのようなもの(ざ瘡疹)が多発したり、ステロイド皮膚(皮膚の萎縮や毛細血管拡張など)があらわれたりすることがあります。これらの皮膚症状があらわれた場合は、徐々にフルコートの使用を差しひかえ、最終的にはステロイドを含有しない薬剤へと切り換えていきますので、気になる症状がある場合は診察時にご相談ください。
なお、副作用で生じた皮膚症状は、治療終了後に少しずつ改善されていきます。

まぶたへの使用・大量または長期にわたる広範囲の使用について

フルコートをまぶたに使用すると、眼圧の亢進や緑内障をまねくおそれがあります。また、大量または長期にわたり広い範囲に使用すると、緑内障や後嚢白内障などがあらわれることがあります。フルコートの使用中に、頭痛や目のかすみ、目の痛み、まぶしさなどを感じる場合は、これらの副作用の初期症状である可能性が否定できないため、すみやかに診察を受けてください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

フルコートは、病気の治療で内服薬を服用している場合でも外用できます。ただし、他のステロイド外用薬を使用している場合は過剰投与になるおそれがあります。使い分けが必要な場合もあるため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中または授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して

医師の指導のもと、少量を短期間使う場合であれば特に問題はないとされています。ただし、大量または長期にわたる広範囲の密封法などにより、ステロイド薬を内服した場合と同様の副作用があらわれるおそれがあります。また、催奇形性や発育障害のリスクがないわけではありません。
したがって、使用の際は自己判断で使用量や使用範囲を増やしたり、長期間使用したりすることがないようにしてください。

保管に関する注意

軟膏・クリーム・外用液は、室温(1~30度)で保管してください。軟膏・クリーム・外用液は、高温にさらされると基剤が分離したり固化したりすることがあります。基剤が分離すると有効成分の均一性が損なわれることがあるため、一度分離したものは再固化しても使用せず、廃棄してください。
スプレーについては、40度以上になる場所に置かないでください。高温下で放置すると破裂のおそれがあるため、大変危険です。

フルコートの患者負担・薬価について

フルコートの薬価は、軟膏・クリームが17.5円/g、外用液が18.5円/mL、スプレーが9.3円/gです。各剤型・規格の薬剤費は以下のとおりになります。

フルコート軟膏0.025% 5g/本:87.5円 10g/本:175円
フルコートクリーム0.025% 5g/本:87.5円 10g/本:175円
フルコート外用液0.01% 10mL/本:185円
フルコートスプレー0.007% 20g/本:186円 57g/本:530.1円

ただし、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがフルコート軟膏10g/1本を処方された場合、ご負担金額は52.5円です(薬剤費のみの計算です)。
なお、フルコートにはジェネリック品がありません。薬局で希望しても変更できませんので、ご承知ください。

よくあるご質問

フルコートと同じ成分の市販薬はありますか?

医療用のフルコートとまったく同じ成分の市販薬はありません。
ドラッグストアなどでは、「フルコート」の名称を持つ製品が販売されていますが、ステロイド以外の成分が配合されています。また、適応も異なります。そのため、市販薬をフルコートの代わりに使うことはできません。
もっとも、フルコートと同じストロングクラスのステロイドを含む市販薬は、多数販売されています。ただし、ステロイド外用薬の使用には注意が必要です。市販薬を5~6日ほど使用しても症状が良くならない場合、あるいはかえって症状が悪化する場合は使用をやめ、すみやかに診察を受けてください。

フルコートとフルコートFは何が違うのですか?

フルコートの有効成分はステロイド(フルオシノロンアセトニド)のみですが、フルコートFにはステロイドのほか、抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)が配合されています。そのため、フルコートFは皮膚感染をともなう湿疹や皮膚炎にも使用できます。
ただし、相互に代用することは基本的にできません。
フルコートFの適応となる症状(皮膚感染をともなう症状)にフルコートを使用すると、感染症が悪化するおそれがあります。逆に、フルコートの適応となる症状(皮膚感染をともなわない症状)にフルコートFを使用すると、薬剤耐性菌が発現するリスクが高くなります。いずれも自己判断で使用するのはおすすめできませんので、ご注意ください。

フルコートを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?

フルコートを塗り忘れた場合は、気が付いたタイミングで塗布してください。ただし、次の塗る時間が近い場合は1回分を飛ばし、次に塗る時間になってから塗ってください。なお、塗る量は1回分のみです。2回分を塗る必要はありません。

 

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