ディフェリンゲルとは?
ディフェリン(一般名:アダパレン)は、レチノイド(ビタミンA誘導体)様作用を有する外用薬です。
ディフェリンゲルは皮膚の角化(皮膚表面をつくる細胞が生まれてから角質になるまでの過程)を調節し、毛穴のつまりを改善します。くり返すニキビの原因となる毛穴のつまりを取り除くことによって、白ニキビと赤ニキビに効果を示します。特に白ニキビへの効果が高く、赤ニキビに対しては緩やかに減少させていきます。
なお、ディフェリンという名称は、細胞分化(differentiation、ディファレンシエーション)に由来するとのことです。
ディフェリンゲルの対象患者さまについて
ディフェリンゲルはニキビでお困りの患者さまにお役立ていただけます。特にベピオゲル(過酸化ベンゾイル)でかぶれた経験のある方にはディフェリンゲルが第一選択となります。当院でも人前に出るお仕事などで絶対に顔がかぶれては困る方や、かぶれてもすぐにご来院いただけない方にはディフェリンゲルをベピオゲルよりも先に外用していただいています。
ディフェリンゲルの使い方
1日1回、洗顔後患部に塗布します。目の周りや口唇、粘膜、傷口を避け、こすらずやさしく塗ってください。塗り終わったら手を洗い、他の場所へ薬が付かないようにします。
なお、化粧水などで保湿する場合は、洗顔→保湿剤→ディフェリンゲルの順に使ってください。化粧水は、ノンコメドジェニックテスト済みのものがおすすめです。
ディフェリンゲルの臨床上の効果
ニキビの方を対象とした国内臨床試験では、1日1回12週間の塗布で総皮疹(非炎症性皮疹および炎症性皮疹)数が63.2%減少しました。
また、最長12ヵ月間の塗布を実施した場合では、総皮疹数の減少率は77.8%でした。
ディフェリンゲルを外用する上での注意点
ディフェリンゲルを塗ってはいけない例
ディフェリンゲルの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は使用できません。誤って塗布すると、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。
また、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方についても、ディフェリンゲルは禁忌とされています(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。
ディフェリンゲルの副作用について
ディフェリンゲルは使い始めから2週間以内に、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることが多いです。ただし、刺激は一時的なもので徐々に軽減されていきます。刺激感が強く使い続けるのが難しい場合などは、早めにご相談ください。
なお、ディフェリンゲルの使用にともなう重篤な副作用の発現は報告されていません。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
病気の治療で内服薬を飲んでいる場合でも、ディフェリンゲルは使用できます。ただし、外用薬については併用が好ましくない場合もあります。
そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中の方への使用に関して
ディフェリンゲルは、動物を対象とした試験において経皮投与では催奇形性は認められていませんが、過剰肋骨の発生頻度増加が報告されています。また、経口投与で催奇形性が報告されています。
したがって、妊娠している方、妊娠している可能性のある方は使用しないでください。また、ディフェリンゲル使用中に妊娠した場合あるいは妊娠が予想される場合には、すぐにご連絡ください。
授乳中の方への使用に関して
ディフェリンゲルは、動物を対象とした試験で経口または静脈内投与で乳汁中へ移行することが報告されています。一方で、皮膚外用時のヒトの母乳中への移行については明らかになっていません。
そのため、授乳中は使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は授乳しないようにしてください。
お子さまへの使用に関して
ディフェリンゲルは、12歳未満の小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまが誤使用しないよう保管場所にご注意ください。
医師の指導のもと、少量を短期間使う場合であれば特に問題はないとされています。しかし、副作用の発生リスクをゼロにすることはできません。
特に、大量または長期にわたる広範囲への使用などでは、ステロイド薬を内服した場合と同様の副作用があらわれるおそれがあるため注意が必要です。使用の際は、自己判断で使用量や使用範囲を増やしたり、長期間使用したりすることがないようにしましょう。
その他の注意点
ディフェリンゲルは、室温(1~30℃)で保管してください。特に夏場は、高温になる自動車内などに置き忘れないよう気を付けてください。
また、ディフェリンゲル使用中に日光や日焼けランプなどによる過度の紫外線暴露を受けると、皮膚のバリア機能が損なわれて皮膚刺激感が増すおそれがあります。外出時には、日傘、帽子や日焼け止めなどを使用して、紫外線を避けるようにしましょう。
ディフェリンゲルの患者負担・薬価について
ディフェリンゲルの薬価は58.2円/gです。ディフェリンゲル1本は15gですので、1本当たりの薬価は873.0円です。
3割負担の患者さまの場合、ご負担金額は261.9円/本となります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費を抑えられます。
よくあるご質問
- ディフェリンゲルはどれくらいで効果が出ますか?
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効果があらわれるまでの期間は個人差があるため一概にはいえませんが、1~2ヵ月程度で効果を実感できる場合が多いです。
ただし、赤ニキビについては効果実感までに3ヵ月ほどかかることもあります。
いずれにせよ効果発現までにはしばらく時間がかかりますので、ご承知ください。
- ディフェリンゲルの副作用がつらいです。ヒリヒリ感や皮むけはいつまで続きますか?
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ディフェリンゲルによる皮膚のヒリヒリ感や皮向けなどの症状は、一般的に2~4週間程度で落ち着いてきます。紫外線対策や保湿をすると皮膚の刺激感を抑えやすいため、実践してみてください。
- もともと肌が弱いので、ディフェリンゲルのヒリヒリ感や赤みが心配です。どうすればいいですか?
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ディフェリンゲルをいきなり顔全体に塗るのではなく、少ない量・狭い範囲から使い始め、数日かけて少しずつ量と塗る範囲を増やしていってください。
刺激感がつらい場合は、塗布後15分ほどしたら洗い流して構いません。肌を徐々に慣らしていき、使用時間を増やしていきましょう。
- ディフェリンゲルにはレチノール様作用があるんですよね。では、使えば美肌になりますか?
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ディフェリンゲルを正しく使用してニキビができにくくなれば、確かに肌の状態は良くなります。しかし、ディフェリンゲルに色素沈着やニキビ跡を改善する効果は期待できません。
いわゆる「美肌」効果を期待して使用する薬ではありませんので、コスメ感覚で使用するのは避けてください。
- ディフェリンゲルとアダパレンゲルは、同じものですか?
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アダパレンゲルは、ディフェリンゲルのジェネリック品です。いずれも有効成分量は同じですが、添加物は製品によって異なる可能性があります。
なお、医薬品の流通状況や薬局の在庫によってご用意できる薬のメーカーが変わることもあります。申し訳ありませんが、ご承知ください。
- ディフェリンゲルはどこで買えますか?通販で手に入りますか?ジェネリック品なら通販で買えますか?
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ディフェリンゲルは処方箋医薬品なので、通販などでは購入できません。ジェネリック品も処方箋がなければ入手できません。必要な場合は必ず受診して、医師の処方を受けてください。
なお、当院ではオンライン診療に対応しております。
ご来院いただかなくとも診療ができ、薬剤をお送りすることも可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご活用ください。