ゼビアックスとは?
ゼビアックス(一般名:オゼノキサシン)はキノロン系の抗菌薬で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、アクネ菌などに対して殺菌的な抗菌作用を示します。
通常、皮膚の浅い部分の感染症や化膿しているニキビの治療に用います。
ゼビアックスの特徴
ゼビアックスの有効成分であるオゼノキサシンは、細菌のDNA複製を阻害することにより抗菌作用を発揮します。
耐性菌発現率が低く、ゼビアックスに対する黄色ブドウ球菌およびアクネ菌の自然耐性菌出現頻度は10-8未満と大変低率です。
なお、ゼビアックスにはローションと油性クリームの2種類の剤型があります。ローションは適度な粘性があるため垂れにくく、指先に取って患部に塗りやすくなっています。油性クリームはしっとりとした使用感で、乾燥が気になる部位にも使いやすいのが特徴です。
ゼビアックスの効能効果・用法用量
ゼビアックスの適応菌種は、オゼノキサシンに感性のブドウ球菌属、アクネ菌です。
適応症は、表在性皮膚感染症および化膿性炎症をともなうざ瘡です。
通常、1日1回適量を患部に塗布します。ざ瘡に対しては、洗顔後に塗布することとされています。
ゼビアックスの臨床上の効果
13歳以上の表在性皮膚感染症(毛包炎、毛瘡)の方にゼビアックスローションを1日1回夜×7日間塗布した臨床試験において、有効率は70.0%でした。
また、1歳以上の伝染性膿痂疹(とびひ)の方にゼビアックス油性クリームを1日1回×7日間塗布した臨床試験において、有効率は97.6%でした。
13歳以上の尋常性ざ瘡の方を対象とした臨床試験では、ゼビアックスローションを1日1回夜×12週間塗布した場合とナジフロキサシンローション(アクアチムローション)を1日2回朝夜×12週間塗布した場合の炎症性皮疹数の減少率が同等であったことが示されています。
ゼビアックスを外用する上での注意点
ゼビアックスを塗ってはいけない例
ゼビアックスの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は、ゼビアックスを使用できません。誤って使用すると、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。
ゼビアックスの副作用について
ゼビアックスの使用にともなう重篤な副作用は報告されていません。
その他の副作用としては、皮膚の乾燥や刺激感、鱗屑・落屑、紅斑、そう痒、ほてりなどが報告されています。
なお、副作用が発生した場合、症状によってはゼビアックスの中止や他の薬剤への変更が必要になることもありますので、気になる症状がある場合は早めに受診してください。
ゼビアックスを漫然使用することのリスクについて
ゼビアックスは耐性菌が発現しにくい薬剤ですが、まったく耐性菌が発現しないわけではありません。したがって、使用は治療に必要な最小限の期間にとどめる必要があります。
塗布すべき期間がわからない場合は、お気軽にお問い合わせください。
なお、残薬があっても、自己判断でゼビアックスを使用するのは避けてください。安易な使用は、耐性菌の発現をまねくことになります。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
病気の治療で内服薬を服用している場合でも、ゼビアックスは使用できます。ただし、他の外用薬を使用している場合は使い分けが必要なこともあります。
そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。
なお、ゼビアックスを過酸化ベンゾイル製剤(エピデュオゲル、ベピオゲル、ベピオローション、デュアック配合ゲルなど)と重ねて塗布すると黄色に変色することがあります。併用する場合は、皮膚や衣服などへの着色に注意してください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中の方への使用に関して
ゼビアックスは、動物を対象とした試験において催奇形性は認められていませんが、妊娠中の方を対象とした臨床試験を実施していません。
そのため、妊娠中の方または妊娠している可能性のある方には使用しないことが望ましいとされています。
授乳中の方への使用に関して
動物を対象とした試験において、ゼビアックスは皮下投与で乳汁中へ移行することが報告されています。
したがって、授乳中の方にゼビアックスを使用する場合は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
お子さまへの使用に関して
ゼビアックスローションは、13歳未満の小児などを対象とした臨床試験を実施していません。また、ゼビアックス油性クリームは、低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭では幼いお子さまが誤使用しないよう保管場所にご注意ください。
ゼビアックスの患者負担・薬価について
ゼビアックスローション2%およびゼビアックス油性クリーム2%の薬価は、いずれも56.4円/gです。1本(10g)処方された場合の薬剤費は564円/本になります。
なお、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがゼビアックスローション2%を10g(1本)処方された場合、ご負担金額は169.2円です(薬剤費のみの計算です)。
なお、ゼビアックスにはジェネリック品がありません。薬局で希望しても変更できませんので、ご承知ください。
よくあるご質問
- ゼビアックスを塗り始めてどれくらいで効果が出てきますか?
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ゼビアックスをニキビ以外の表在性皮膚感染症に使用する場合、効果は数日であらわれてきます。1週間使用しても効果がない場合は、使用をやめて受診してください。
ニキビに使用する場合は、1週間から10日ほどで少しずつ効果があらわれてくるのが一般的です。4週間使用しても効果が見られない場合は、使用をやめて受診してください。
- ゼビアックスの詳しい使い方(塗り方)を教えてください。
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ゼビアックスは1日1回、症状のあるところのみに塗布します。
ニキビに使用する場合は、洗顔→基礎化粧品や保湿剤→ゼビアックスの順になります。
他の治療薬が処方されている場合は、洗顔→基礎化粧品や保湿剤→他の治療薬→ゼビアックスの順です。
なお、ゼビアックスのほかに1日1回タイプの塗り薬が出ている場合は、使用タイミングをずらすことをおすすめします。
例
朝:洗顔→基礎化粧品や保湿剤→他の治療薬
夜:洗顔→基礎化粧品や保湿剤→ゼビアックス
のような感じです。
- ゼビアックスは、朝・夜どちらに使うとよいですか?
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ゼビアックスの使用タイミングは、朝・夜いずれでも構いません。
ただ、経口のキノロン系抗菌薬では光線過敏症が報告されています。ゼビアックスについては、ローション・油性クリームともに光過敏反応を示さないことが確認されていますが、気になる場合は夜に塗るほうが良いでしょう。
- ゼビアックスは赤ニキビにしか使えないのですか?白ニキビやニキビ跡には効かないのですか?
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ゼビアックスは、炎症を起こしている「赤ニキビ」や膿んでいる「黄ニキビ」には効果が期待できますが、いわゆる「白ニキビ」や「黒ニキビ」には効果が期待できません。また、ニキビ跡の改善にも効果が期待できません。
耐性菌の発現を防ぐためにも、指示された部分以外に塗布するのは避けてください。
- ゼビアックスにステロイドは入っていますか?
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ゼビアックスの有効成分であるオゼノキサシンは、キノロン系の抗菌薬です。ステロイド成分は一切入っていませんので、ご安心ください。
- ゼビアックス油性クリームでニキビが増えることはありますか?「油性」となっているので心配です。
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ゼビアックスのおもな副作用は乾燥や刺激感、かゆみやほてりなどで、ニキビが増えるという副作用は報告されていません。
油性クリームは使用感が良く、乾燥しやすい箇所にも使いやすいですが、使用に不安があるようでしたらお気軽にご相談ください。
- ゼビアックスと同じ成分の市販薬はありますか?
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ゼビアックスと同じ成分の市販薬はありません。もっとも、ゼビアックスと同じように抗菌作用が期待できる外用薬はドラッグストアなどでも購入できます。
ただし、市販の外用抗菌薬とゼビアックスでは適応が異なることがあります。対象となる菌種も同じとは限りません。また、市販薬でも誤った使い方をすると耐性菌が発現することがあります。
したがって、市販薬をゼビアックスの代わりに使用するのはおすすめできません。
- ゼビアックスは強い薬ですか?
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ゼビアックスは外用抗菌薬なので、ステロイド外用薬のようなランク分けはされていません。そのため、「強い」「弱い」という概念は当てはまりません。
ただ、1日1回で十分な効果が期待できるという点では「強い」薬といえるかもしれません。
もっとも、作用の強さと皮膚への刺激の強さ、副作用の発現率などは必ずしも相関しません。実際、ゼビアックスの使用にともなう重篤な副作用は報告されていません。使用にあたり、気になる症状がある場合は早めに受診して、使用継続の可否を相談してください。
- ゼビアックスはヘルペスに効きますか?
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ゼビアックスは、ヘルペスの原因であるウイルスには効果が期待できません。
ヘルペスの治療には抗ウイルス作用のある塗り薬や飲み薬が有効ですので、受診して処方を受けてください。
- ゼビアックスを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?
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塗り忘れた場合は、気が付いたときに1回分を塗布してください。たとえ塗り忘れが何回かあっても、1回あたりの塗布量は増やさないでください。