乾癬治療薬「ドボベット」フォーム・ゲル・軟膏

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ドボベットとは?

ドボベットの写真

ドボベットはステロイドのベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP)とビタミンD3のカルシポトリオール(ドボネックス)が混合された合剤で、尋常性乾癬に保険適用があります。

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前述の通り、この薬は患者さまが外用薬を塗布する手間を軽減する目的に開発されており、1日1回の外用で高い治療効果が得られ、急性期の症状から慢性期まで幅広く使用可能です。
ただ顔面の皮疹には使えないため、顔に皮疹がある患者さまには顔にも使える他の外用薬を併用していただく必要があります。
名称の由来は、ビタミン(VitaminD)のDとV、またベタメタゾン(betamethasone)のbetをかけ合わせてドボベット(Dovobet)と命名されました。

ドボベットの副作用

ドボベットを使用する際には、ステロイドとビタミンD3の両方の副作用があらわれる可能性があり、注意が必要です。

ビタミンD3の重篤な副作用(腎不全や高Ca血症)を防ぐために、使用できる量には上限が定められています。ドボベットの場合、1週間に使用できるのは合計で90gまでです(ただ実際のところ、上限量を超える外用薬が必要な患者さまには他の治療法を組み合わせることがほとんどです。患者さまご自身が上限量を気にする必要性はあまりありません)。

ビタミンD3外用薬を使用する時と同様、定期的に血液検査でチェックしながら治療を継続する必要があります。具体的には治療開始後2〜4週間後に1回、以後必要に応じて適宜血液検査を行うことが推奨されています。

ドボベットの剤型

ドボベットには3種類の剤型(軟膏・ゲル・フォーム)があります。

ドボベット軟膏

帯黄白色~黄色で一番べとつきが強く、伸びはよくありません。ただその分、薬がたれてしまうことも少ないです。体や手足の病変に対して用いられることが多いです。

ドボベットゲル

無色~わずかに帯黄白色の、ほとんど透明な親油性のゲルです。軟膏よりもべとつきが少なく、広い範囲でなければ有毛部の病変にも使いやすい剤型です。もちろん体の病変にも使用可能です。

ドボベットフォーム

噴出する際に、白色~帯黄白色の泡状になって出てきます。一番べとつかず、広範囲の有毛部病変にも使いやすいタイプです。フォームは2021年6月に発売が開始となった、最も新しい剤型です。これまでの軟膏に比べて皮膚浸透が良いので、効果が期待できます。

ドボベットはこの3種類の中から、お好みの使いごこちに合わせて剤型を選択することが可能です。併用することもできますが、1週間で使用できる量はすべての剤形を合わせて90gまでです。

選択の例)
  • 「頭の皮疹には、のびやすいゲルを使いたい」
  • 「普段、体の病変に対してドボベット軟膏を塗っているが、夏はフォームの方がさっぱりとして良い」

 

効果や副作用に関して、剤型による大きな違いはありません。どの剤型が適しているかは患者さまそれぞれの皮疹の程度や発症部位、さらに季節などによっても異なりますので、診察時に医師にご相談ください。

ドボベットの容量・患者負担

軟膏とゲルには1本15gと30gの製剤が、フォームには1本60gの製剤があります。
3種類のドボベットはすべて、尋常性乾癬に保険適用があります。
どの剤型でも薬価は同じで、1gあたり188.0円です。

ドボベット
自己負担費用早見表
15g
(軟膏・ゲル)
30g
(軟膏・ゲル)
60g
(フォーム)
3割負担 846円 1692円 3384円
2割負担 564円 1128円 2256円
1割負担 282円 564円 1128円

※上記記載額は薬代です。診察代など、その他諸費用は含まれておりません。
※小数点は四捨五入しています。

特定の背景を持つ患者さまへの使用について

小児への投与

お子様(16歳未満)の患者さまへの使用は推奨されていません。

妊婦・授乳婦への投与

妊娠中・授乳中の患者さまへの使用は推奨されていません。
上記に当てはまる患者さまは診察時にお申し出ください。その際には他の治療方法を提案させていただく場合がありますので、ご了承ください。

よくあるご質問

ドボベットに含まれているステロイドの強さはどれくらいですか?

ステロイド外用薬は強さにより5段階に分類されますが、ドボベットに配合されているステロイド「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル」の強さは上から2番目のベリーストロングクラスです。
同じ強さのステロイド外用薬としては、フルメタ(モメタゾンフランカルボン酸エステル)、アンテベート(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)、マイザー(ジフルプレドナート)、ネリゾナやテクスメテン(いずれもジフルコルトロン吉草酸エステル)などがあります。

ドボベットゲルやドボベットフォームの頭皮への塗り方を教えてください。

ドボベットゲルやドボベットフォームを頭皮へ塗る際は、薬を出す前に皮疹の部分をよく広げておいてください。そして、指先に薬剤を適量取り、皮疹部分に乗せるようにやさしく丁寧に塗ってください。
なお、容器から直接患部に薬を塗ろうとすると、適切な量が塗布できないことがあります。特にフォームは頭皮に近づけすぎると噴霧の際に薬剤が飛び散ることがあるため、ご注意ください。

ドボベット軟膏は市販されていますか?通販で買えますか?尋常性乾癬の塗り薬は市販されていますか?

ドボベット軟膏・ゲル・フォームはドラッグストアなどで購入することはできません。通販で購入することもできません。また、尋常性乾癬に効果が期待できる市販薬もありません。
皮膚科では、尋常性乾癬の症状に応じて塗り薬や飲み薬、注射薬による治療が選択できる場合もありますので、気になる症状がある場合は受診をおすすめします。

ドボベットはどれくらい効くのですか?効かない場合はどうすればいいですか?

ドボベットは、ビタミンD3製剤単剤、あるいはステロイド外用剤単剤での治療に比べて尋常性乾癬の症状改善に高い効果が期待できる薬剤ですが、4週間におよぶ臨床試験後に症状が「なし(消失)」「ほとんどなし(ほぼ消失)」と診断された方は約4割程度です。そのため、治療しても症状が完全になくならない人もいると考えられます。
外用薬による治療で十分な効果が得られないケースでは、内服薬や注射剤による治療が選択肢となる場合もありますので、診察時にご相談ください。

他の容器に移してもよいでしょうか?

元の容器から移して使用する場合、薬剤の安定性は保証されていません。そのため小さなチューブから大きな容器に移して処方することはできかねます。ご自身でも他の容器に移さずに使用してください。

他の薬と混ぜて使えますか?

元々安定性の低い薬剤ということもあり、他の軟膏やクリームと配合することは認められていません。

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。