イブグリースの最新の話題
- 2024年5月 イブグリースが発売されました。
- 2024年4月 薬価基準収載されました。1本あたり61,520円です。
イブグリース(レブリキズマブ)とは?
イブグリース皮下注250mg(有効成分:レブリキズマブ)は既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の患者様を対象に、2024年1月17日に承認され2024年5月31日に発売された生物学的製剤です。
製造販売元は日本イーライリリー株式会社で、剤形はオートインジェクター(自動注射器)とシリンジ(注射器)があります。薬液が自動で注入されるか、手動で注入するかという点が異なります。
※当院でイブグリースによる治療をご検討の方は、下記のボタンよりご相談いただきますようお願いします。
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イブグリース名前の由来
イブグリース(Ebglyss)の名前の由来は、一般名レブリキズマブ (lebrikizumab)のlebからイブ、幸福を意味するブレスと潤滑油を意味するグリースで人生の歯車を回し幸福をもたらしたいという願いを込めて命名されました。
ロゴマークは、神話から引用しておりオーロラとキツネのしっぽをモチーフにしているそうです。
シモーネ・トムセン社長の表敬訪問を受けました
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イーライリリーのシモーネ・トムセン社長にお越しいただきました。笑顔が素敵でした。
イブグリースの治験における効果をお伝えし、アトピー性皮膚炎治療について情報交換を行いました。
今後より一層アトピー性皮膚炎の治療に注力し、患者さまに貢献していけるよう精進したいと思います。
イブグリースの特徴
- アトピー性皮膚炎の病態形成に中心的な役割を果たすIL-13に結合し、IL-13受容体複合体を介してシグナル伝達を阻害する生物学的製剤です。
- 導入期は初回・2週後に1回500mg、4週以降は1回250mgを2週間隔で投与します。4週(3回目)以降は患者さまの状態に応じて1回250mgを4週間隔で投与する事ができます。
イブグリースの働き
アトピー性皮膚炎は遺伝や環境・免疫学的因子を要因とする複雑な疾患です。アトピー性皮膚炎の発症にはIL-4、IL-5、IL-13が関連していることがわかっています。
中でもIL-13は2型炎症を誘導することで、皮膚バリア機能障害、掻痒、皮膚肥厚、易感染性を引き起こすといわれています。アトピー性皮膚炎の様々な徴候を引き起こす複数の病態生理学的因子を誘導することから、IL-13はアトピー性皮膚炎に関与するメディエーター(伝達物質)と考えられています
イブグリースは、IL-13に高親和性で結合するヒト化抗ヒトIL-13モノクローナル抗体です。
IL-13受容体複合体の形成とその後のシグナル伝達を阻害し、IL-13を介したアトピー性皮膚炎の病態形成を抑制します。
イブグリースの有効性について
イブグリースは病態の中心であるIL-13を選択的に阻害する事でアトピー性皮膚炎の症状を改善します。投与開始16週時点で、主要評価項目である(EASI75達成)の達成率は58.8%、ほぼ症状の無い状態(EASI90達成)の達成率は38.3%でした。
イブグリースは消失半減期が約21日と長い事から、投与開始4週以降は状態に応じて4週間隔での投与が認められています。投与開始52週時点における、2週間隔投与群(Q2W)/4週間隔投与群(Q4W)の結果を併せてご紹介いたします。
投与開始52週時点で、EASI75の達成を維持した割合はQ2Wで78.4%、Q4Wで81.7%でした。EASI90のの達成を維持した割合はQ2Wで64.0%、Q4Wで66.4%でした。2週間隔で投与するよりも4週間隔の方が指標の達成率が良いという結果でした。
投与回数を減らせることは、患者さまにとってメリットであると考えています。
国際共同第Ⅲ相試験:ADvocate1及びADvocate2試験より作成
イブグリースの安全性について
主な副作用(発現頻度1%以上)として、結膜炎、アレルギー性結膜炎、注射部 位反応(紅斑、疼痛、そう痒感、腫脹など)、好酸球増加症が報告されています。
イブグリースの対象患者さまについて
- (成人)アトピー性皮膚炎の患者さま
- (小児)12歳以上かつ体重40kg以上のアトピー性皮膚炎の患者さま
- 従来の治療(※)では十分な効果が得られないアトピー性皮膚炎患者さま
※ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤による治療
効能・効果に関連する注意
原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤や保湿外用剤を併用することとされております。
イブグリースの投与方法と投与スケジュール
レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与します。
患者さまの状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することが出来ます。
現時点では自己注射ができないため、医療機関での投与となります。冷蔵した薬剤を45分以上かけて常温に戻す必要があります。
注射する箇所は、お腹(へその周辺5cm以外)、太もも(大腿部)の前面、二の腕(上腕部の外側)で毎回変更します。
皮膚が敏感な部位、傷や打撲がある部位、赤くなっている部位、硬くなっている部位、アトピー性皮膚炎やその他の皮膚病の炎症がある部位には注射できません。
イブグリースの薬価(薬剤の価格)や治療費について
薬剤の価格はイブグリース®皮下注250mgオートインジェクター、イブグリース®皮下注250mgシリンジとも1本あたり61520円です。
3割負担の方の自己負担額は、初回・2回目(2本)とも36,912円、3回目以降(1本)18,456円となります。なお3回目以降は状態に応じて2週間隔から4週間隔に変更可能です。
当院はイブグリースの治験に参加していました。当院でイブグリースによる治療をご検討の方は、アトピー専用フォームよりご相談いただきますようお願いします。
よくあるご質問
- 他の生物学的製剤との違いは?
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投与スケジュールが異なります。イブグリースは患者さんの状態に応じて3回目(4週目)以降に4週間に1回の間隔で投与する事が添付文書で認められているので治療負担の軽減が期待出来ます。
- どの程度で効果が現れるのでしょうか?
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早い方で投与2週目から偽薬(プラセボ)との有意差が確認されています。
- 4週間に1回の間隔で投与した後、2週間に1回の投与間隔へ変更する事は可能ですか?
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可能です。添付文書において、規定はありません。
- 自己注射は可能ですか?
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現時点では認められおりません。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。