角化症治療薬「サリチル酸ワセリン」

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サリチル酸ワセリンとは?

サリチル酸ワセリンの写真

サリチル酸ワセリンは、白色ワセリンにサリチル酸を配合した外用薬です。
サリチル酸は、白癬菌類などの微生物に対する抗菌性と角質軟化作用を併せ持つ成分です。そのため、サリチル酸ワセリンは乾癬角化症ざ瘡水虫など幅広い皮膚疾患の治療に用いられます。
 

サリチル酸ワセリンの特徴

効能効果・用法用量

サリチル酸ワセリンは、乾癬、白癬(頭部浅在性白癬、小水疱性斑状白癬、汗疱状白癬、頑癬)、癜風、角化症、角化をともなう湿疹、口囲皮膚炎、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、腋臭症、多汗症などに適応があります。
通常、成人には1日1〜2回塗布します。

作用機序

サリチル酸は角質を剥離する作用が強い成分です。そのため、塗布すると角質が剥離してきますが、その際に角質層に存在する微生物(白癬菌など)も一緒に脱落させることで抗菌作用を示すと考えられています。

皮膚分布の特徴

サリチル酸ワセリンに含まれるサリチル酸は、塗布後に表皮および真皮の全層に分布します。特に角質層に多く分布するのが特徴で、塗布から5時間程度で濃度が最大となります。

サリチル酸ワセリンを外用する上での注意点

サリチル酸ワセリンを使用できない方・使用に注意が必要な方

サリチル酸ワセリンの成分に対して過敏症の既往歴がある場合は、サリチル酸ワセリンを使用できません。誤って使用すると、重篤なアレルギー症状があらわれるおそれがあります。
また、患部が化膿しているなど湿潤やびらんが著しい場合には、使用前に適切な処置が必要です。したがって、自己判断で使用部位を広げるのは避けてください。

サリチル酸ワセリンの副作用

サリチル酸ワセリンの副作用として、過敏症状や発赤・紅斑などが報告されています。また、長期間にわたり大量に使用すると、サリチル酸を全身投与した場合と同様の副作用(食欲不振、吐き気、消化管出血など)があらわれるおそれがあります。
なお、副作用と思われる症状があらわれた場合は、すみやかに受診してください。薬剤の変更なども含めて今後の治療方針を検討します。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、サリチル酸ワセリンとの併用が禁忌とされている薬剤はありません。
ただし、他の外用薬を使用している場合は、重ね塗りや使い分けが必要なこともあります。
そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中の方への使用

妊娠中の方または妊娠している可能性がある方については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみサリチル酸ワセリンの使用を検討します。
有効成分であるサリチル酸と同系統の薬剤(経口薬または坐剤)を妊娠中の方に使用したケースで、胎児の腎機能障害や尿量減少、それにともなう羊水過少症が生じたとの報告があります。また、動物にサリチル酸を経口投与した試験で催奇形性が報告されています。

お子さまへの使用

幼児や小児は成人に比べて皮膚が薄く、サリチル酸ワセリンの副作用が発現しやすい傾向があります。
そのため、お子さんに使用する場合は症状や副作用の発現状態などに注意しながら、慎重に治療を進めていきます。

ご高齢の方への使用

高齢の方では、生理機能が低下している場合も少なくありません。
したがって、患部の症状や副作用の有無などを確認しながら慎重に治療方針を決定します。

保管に関する注意

サリチル酸ワセリンは、室温(1~30度)で保管してください。冷蔵庫などで保管する場合は、凍結を避けてください。そして、夏場は直射日光の当たる場所や自動車内など、高温になる場所に放置しないようにしましょう。
なお、サリチル酸ワセリンを高温下に長時間放置すると、成分の一部が分離することがあります。分離がみられたサリチル酸ワセリンは冷却しても使用できないため、ご注意ください。

サリチル酸ワセリンの患者負担・薬価について

サリチル酸ワセリンには、サリチル酸濃度が5%のものと10%のものがあります。各規格の薬価は以下のとおりです。

サリチル酸ワセリン5% 4.2円/g
サリチル酸ワセリン10% 4.31円/g

なお、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがサリチル酸ワセリン10%を100g処方された場合、ご負担金額は129.3円です(薬剤費のみの計算です)。

よくあるご質問

サリチル酸ワセリンと同じ成分の市販薬はありますか?

医療用のサリチル酸ワセリンとまったく同成分の市販薬はありません。
ただし、サリチル酸を主成分とする塗り薬や貼り薬は市販されています。
もっとも、市販薬と医療用のサリチル酸ワセリンでは適応が異なります。また、サリチル酸の濃度も異なる場合があります。
そのため、市販薬をサリチル酸ワセリンの代わりに使用することはできません。

以前、魚の目でスピール膏を処方してもらったことがあります。スピール膏の有効成分はサリチル酸なので、サリチル酸ワセリンを塗って上から絆創膏を貼り付ければ、同じような効果が期待できますか?

たしかにスピール膏にはサリチル酸が含まれていますが、スピール膏のサリチル酸濃度は50%なのでサリチル酸ワセリンを代替薬として使うことはできません。たとえ塗布量を多くしても同等の効果は期待できないため、魚の目に使うのはおすすめできません。
そもそも、サリチル酸ワセリンは魚の目(鶏眼)に適応がありません。医薬品は、成分が同じでも濃度により効果が変わるケースが少なくないため、自己判断で使用するのは避けてください。

サリチル酸ワセリンが1日2回で処方されていますが、どのタイミングで塗ればいいですか?

サリチル酸ワセリンの塗布タイミングに特に決まりはありません。ライフスタイルに合わせて、塗り忘れの少ない時間帯を「塗る時間」とすれば大丈夫です。
なお、2回のうち1回は入浴後に塗るのがおすすめです。入浴後は肌が柔らかくなっているため、薬剤がよく浸透します。塗布後のべたつきが気になる場合は靴下や手袋を使用してかまいませんので、毎日忘れずに塗るようにしましょう。

以前処方されたサリチル酸ワセリンが余っています。ワセリンは肌の保湿に良いと聞いたので、スキンケアにサリチル酸ワセリンを使ってもいいですか?

たしかに、ワセリンには皮膚からの水分の蒸発を防いだり皮膚を保護したりする作用があります。しかし、それは他の医療用成分が添加されていない場合に限ります。
サリチル酸ワセリンにはサリチル酸が配合されているため、ワセリンと同じように使うことはできません。また、正常な皮膚にサリチル酸ワセリンを使うと、赤みやかゆみが出たり皮がむけてきたりする可能性が否定できません。
場合によっては、かえって肌あれをまねくことにもなりかねませんので、サリチル酸ワセリンを通常のスキンケアに使うのはやめてください。

サリチル酸ワセリンを眼軟膏として目の感染症に使うことはできますか?

サリチル酸ワセリンは眼科用の薬剤ではないため、目に使うことはできません。
万が一、目に入ってしまった場合はすぐに水で洗い流してください。コンタクトレンズを装用している場合は、レンズを外したあとしばらく水で洗い流してください。
また、念のため眼科医の診察を受けてください。

サリチル酸ワセリンを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?

サリチル酸ワセリンを塗り忘れた場合は、気が付いたときに適量を塗布してください。ただし、次の塗る時間が近い場合は1回飛ばし、次のタイミングで1回分を塗布してください。

 

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