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単純ヘルペスとは
単純ヘルペスの症状
単純ヘルペスウイルスに感染すると、皮膚や粘膜などにブツブツや水ぶくれが出来ます。体の至るところに感染するのですが、特に口腔内、口唇、眼の角膜、性器、手指などに見られます。初めて感染したときは、このウイルスに対する免疫が出来ていないため、重い全身症状を伴うこともあります。
単純ヘルペスウイルスは一度感染すると神経に潜伏し、そのウイルスを追い出す薬は現在のところありません。そのため、口唇ヘルペスや性器ヘルペスの治療によって症状が一旦治まったとしても、免疫力が低下したとき、ストレスが溜まったときなどに再び発症することがあります。
ブツブツや水ぶくれが出来る前に口唇や性器の周りなどで感じるピリピリ、ムズムズといった違和感はウイルスが再び活動を始めているサインです(初期症状)
単純疱疹は皮膚症状や違和感、痛みなどの不快感に加え、いつ発症するのかが不安といった点でも患者さまのQOL(生活の質)の低下を招く疾患です。
治療について
単純疱疹の治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬や塗り薬を使います。
主な飲み薬
- バルトレックス(バラシクロビル塩酸塩)
- ファムビル(ファムシクロビル)
など
主な塗り薬
- ゾビラックス軟膏(アシクロビル軟膏)
など
ファムビルとは
ファムビルは、単純疱疹や帯状疱疹に対して効果のある抗ヘルペスウイルス薬です。日本国内において、単純疱疹には発症後に処方された同薬剤を1回1錠(250㎎)、1日に3回、これを原則5日間服用する治療が一般的であり、これによって症状の改善を目指します。
ファムビルの新しい使い方(PIT)による短期投与
再発性の単純疱疹の治療では、上述の通り、日本では発症後に5日間服用してきたのですが、海外においては発症初期に服用する治療(PIT*)が標準となっています。
*PITとはPatient Initiated Therapyの頭文字で患者判断で服用する治療法という意味です。
こうした実態を踏まえ、日本でもファムビルの用法・用量の一部追加が認められました。抗ヘルペスウイルス薬は、発症から出来るだけ早く服用するほど治療効果が期待できます。ヘルペスは繰り返すことが多いため患者さまがお薬を携帯し、ピリピリするなどの初期症状を感じたらすぐに服用するこの方式はメリットが大きいと言えるでしょう。なお、具体的な手順は下記のとおりです。
- 必要な検査・診断を受けます
- 再発性の単純疱疹を有し、その他条件に適すると判断された成人の方は、ファムビル短期投与の適用となります
- 対象とされた患者さまに対し、ファムビル錠250㎎を原則として8錠処方いたします
※錠剤を処方しますが、これをすぐに服用する訳ではありません。単純疱疹の症状が出るまでは、直射日光を避け、初期症状に備え常に携帯して下さい。
- 患部の違和感、灼熱感、痛み、痒みなど初期症状が発現したら、すぐ(6時間以内)にファムビル錠250㎎を4錠、まとめて服用します
※服用が遅れたときは、かかりつけ薬剤師までご相談ください
- 1回目の服用から12時間後に、もう一度、ファムビル錠250㎎を4錠、まとめて服用します
- これにより、口腔内や口唇、性器などに出来た疱疹を改善する効果が期待できます
※服用中、服用後に気になる症状が現われたときは、放置せず、すぐに医師・薬剤師に相談して下さい。
- 服用後は、次回の再発に備え早めに受診して下さい。
ファムビルのPITによる短期投与の特徴
- 症状が出ていないときでも受診できます
- あらかじめお薬を処方できます
- 違和感が出たら(初期症状)すぐに服用できます
- 症状が軽快するまでの日数の短縮が期待できます
- QOL(生活の質)の向上につながります
など
ファムビルの注意点・副作用
- ごく僅かですが、腹痛や軟便、頭痛、めまいなどが見られることもあります
- 腎機能障害のある方は投与の際に十分注意します
- 高齢者の方についても、その他の疾患状況などを慎重に見極めてから投与します
- 妊娠、または妊娠している可能性がある場合は、服用しません
- 既にできてしまったブツブツや水ぶくれは、治るまでに数日かかることがあります
など
ファムビルの飲み合わせについて
ファムビルは下記の薬剤と併用すると、薬の作用を強める可能性があります。
・ベネシッド(プロベネシド)
尿酸を減らすため、痛風の治療、ペニシリンやパラアミノサリチル酸の血中濃度を持続させるために通常処方される錠剤です。腎尿細管における尿酸の再吸収を抑え、血液中の尿酸を尿へ排泄させることを促進します。ファムビルは腎機能障害のある方の服用には十分注意が必要となります。
上記のお薬を服用中の方はお申し出ください。