ベセルナクリームとは?
ベセルナクリーム(一般名:イミキモド)は尖圭(せんけい)コンジローマの治療薬として開発されました。尖圭コンジローマとはウイルス性の感染症で、カリフラワーのような形の小さな丘疹が多数みられる疾患です。
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①尖圭コンジローマに対して開発時点で最適(Best)な治療であったこと、②患者自身で塗布可能(Self-administered)な薬であること、③局所の免疫力を活性化し、自己治癒力(Natural healing)を高める作用があると考えられたことから「Be_sel_na(ベセルナ)」と名付けられています。
その後、高齢者に好発する皮膚腫瘍である日光角化症(別名:光線角化症)にも治療効果があると証明されました。現在では尖圭コンジローマ(外性器または肛門周囲の病変のみ)と日光角化症(顔面・頭部の病変のみ)に対する治療薬として使用されています。
ベセルナクリームの特徴
ベセルナクリームは尖圭コンジローマと日光角化症に対して保険のきく唯一の塗り薬です。その他の治療方法としては液体窒素療法や外科的切除が検討されます。塗り薬による治療は体へのダメージが少ないので、まず行う治療として重宝されています。ただし、盛り上がりが強い病変やサイズが大きい病変を治すのには向いていません。
ベセルナクリームの使い方
通常皮膚科で処方される塗り薬はチューブやカップ状の容器に数回〜数十回分がまとめて入っています。しかしベセルナクリームは、小さな袋に1回分ずつ入っており(納豆のパックに入っているタレの小袋のようなイメージです)、治療に必要な回数分を処方されます。治療回数やスケジュールは疾患によって異なり、それぞれ以下の通りです。
尖圭コンジローマの場合
週に3回外用する。ただし連日外用は避け、例えば月水金や火木土などのスケジュールで使用する。外用したら6〜10時間後を目安に洗い流す。原則として16週間まで使用可能(最大で合計48回)。
日光角化症の場合
週に3回外用する。ただし連日外用は避け、例えば月水金や火木土などのスケジュールで使用する。外用したら8時間後を目安に洗い流す。4週間使用したら4週間休薬するのを1クールとし、合計2クールまで使用可能(最大で合計24回)。
いずれの場合も使用するたびに1つ、袋を開けて適切な量を患部に塗ります。もし薬が余ってしまっても残りは捨ててください。次回に使い回すことはしないでください。
ベセルナクリームを外用する上の注意点
ベセルナクリームを塗布した部位やその周囲に強い赤みが出たり、表面の皮膚が剥がれて傷ができる場合があります。この症状は塗布部位を絆創膏やテープ等で密封した時に特に起きやすいので、医師から特別な指示がない場合はテープなどで覆わないでください。
日光角化症の場合は、ベセルナクリームの外用を始めることによって、隠れていた病変が新たに見つかることがあります。薬の副作用による赤みか、新たに見つかった病変による赤みか、判断に迷う場合は担当の医師までご相談ください。
また、塗布部位は日焼けに対して弱くなるため、ベセルナクリームを用いて治療している間は休薬期間も含めて日焼けを避けましょう。
日常生活における注意点
ベセルナクリームを使用する部位には、他の塗り薬を併用しないようにしましょう。病変部位以外にもベセルナクリームが付着してしまう可能性がありますし、他剤と混ざった場合の安全性が担保されていません。
また外用する予定の日に塗り忘れてしまった場合は、以後の計画を全て1日ずらしましょう。もしくは1回とばして次の予定日から再開しても大丈夫です。1度に2回分の外用薬を塗ることはしないでください。
最後に、ベセルナクリームがセックスパートナーの方へ付着すると皮膚に障害が生じる可能性があります。そのためベセルナクリームを塗布した状態での性行為は必ず避けてください。
ベセルナクリームの患者負担・薬価について
ベセルナクリームの薬価は2021年12月の時点で1172.9円/包です。週に3回、1ヶ月使用した場合は合計で12包使用しますのでその合計額は14074.8円になります。三割負担の患者さまの場合、1ヶ月に4222.4円の薬剤費がかかります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問
- 処方を受ける以外にも、個人で購入できると聞きました。処方薬とでは何か違いがありますか?
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有効成分が同一濃度(イミキモド5%)含まれる製品も、個人(輸入)で購入すること自体は可能です。個人購入の場合は診察代や検査代などの通院費用がかからないため費用負担が軽減されるかもしれません。ただしそもそも、ご自身での診断が誤っている可能性があることを忘れてはいけません。また副作用への対応をどうするか、どの時点で治療を終了したら良いかなど、判断に迷うことも多いと思います。以上の理由から、医師の診察を受けていただくことをおすすめいたします。
- 妊娠していても使えますか?
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ベセルナクリームの添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。 妊娠中の使用に関する安全性は確立していない。」と記載されています。禁忌ではありませんが、他の方法で治療できないか検討する必要があると思います。個別の症状にもよるので、まずご相談ください。