※クリックで読みたい箇所へ移動します。
イルミアとは？
イルミア（一般名：チルドラキズマブ）は生物学的製剤のひとつで、IL（インターロイキン）-23p19という物質の働きを抑えるお薬として2020年に発売されました。同じIL-23p19阻害薬の中では最も新しいお薬で、尋常性乾癬の治療に用いられます。乾癬の発症にかかわる主なサイトカインは、IL-23、TNF-α、IL-17 であると考えられています。
» 乾癬の詳細はこちら
イルミアの特徴
IL-23はリンパ球を刺激してIL-17の産生を促しますが、イルミアは、乾癬の患者さんで異常に増えているIL-23のはたらきを抑える 生物学的製剤です。 リンパ球を介したIL-17の産生を減らすことで、皮膚等の症状を改善します。
イルミアは3か月に１回、注射１本の投与で治療が完了する製剤ですので、通院の手間や治療に関するストレスを抑えながらしっかりとした効果を感じることができる薬剤です。またイルミアは安全性が高いことでも知られており、副作用のリスクをできるだけ抑えたいという患者さんに適した薬剤です。治療効果が出るまでにIL-17阻害薬よりは多少時間がかかるという点は、他のIL-23阻害薬と同様です。
イルミアの対象患者について
これまでの治療（塗り薬、飲み薬や紫外線を用いた治療）では十分な効果が得られなかった、尋常性乾癬の方
治療開始前にお伝えいただきたいこと
- 感染症にかかっている
- 結核にかかったことがある、もしくは現在治療中である
- 妊娠している、妊娠している可能性がある
- 授乳中である
- イルミアの成分に対して、過敏症を起こしたことがある
イルミアの投与方法と投与スケジュール
イルミアは、院内で定期的に皮下へ注射する薬剤です。 効果のあらわれ方には個人差がありますが、通常は治療開始後16週間以内に治療反応を判断します。
治療1年目は年5回、2年目以降は年4回、1回1本注射をします。
使用上の注意
イルミアの副作用について
イルミアの治療により、必ずではありませんが副作用が起こる可能性があります。サイトカインは体を守る免疫のはたらきも持っているため、イルミアがそのはたらきを抑えることにより、治療中は細菌やウイルス等による感染症が起こりやすくなる可能性があります。
体調の変化にはよく気をつけてください。
主な副作用は発熱・さむけ・のどの痛み・頭痛・くしゃみ・鼻水などの感染症です。
また注射部位の反応としては、注射した部位が赤くなったり痛みが出ることがあります。
イルミアの治療中に注意すること
注射した当日について
注射した部位を刺激しないようにしましょう。ごくまれに重い過敏症（アナフィラキシー等）が起こる可能性があるので、 かゆみ、蕁麻疹、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、心拍数の増加等の症状があらわれたらすぐにご連絡ください。
日常生活について
感染症を予防するために、外出後は手洗い、うがいを行いましょう。
予防接種について
インフルエンザの予防のため、流行する前にインフルエンザワクチンを接種することが望ましいです。接種に関しては主治医にご相談ください。BCG、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそう等の生ワクチンの接種は避けましょう。接種が必要なときはご相談ください。
他の医療機関の受診、他のお薬の使用について
他の医療機関を受診するときや、薬局等でお薬を購入するときは、イルミアを使用していることをお伝えください。
妊娠、授乳中の方へ
妊娠、授乳を希望される方はご相談ください。
イルミアの患者負担・薬価について
イルミアの薬価は、注射１本あたり487,413円です。治療にかかる患者さんの負担額は、医療保険の自己負担割合等により異なります。
イルミアによる治療費も含めた医療機関や薬局の窓口での支払い額が一定金額を超えると、所得によって「高額療養費制度」が適用され、負担を軽減することができる可能性があります。
よくあるご質問
- イルミアの注射予定日に体調が悪くなった場合はどうしたらよいですか？
-
どのような症状があり、いつ頃からから起こっているのかをお伝えください。症状や程度によって治療が可能かどうか判断します。
- イルミアを注射した日に入浴してもよいですか？
-
注射当日の入浴は可能ですが、ナイロンタオル等でこするなどの皮膚への刺激は避けてください。
- イルミアの注射をすると副作用が必ずあらわれますか？
-
副作用は必ず起こるものではありません。イルミアによりかぜ等の感染症にかかりやすくなる可能性がありますが、日ごろから外出後の手洗い、うがい、体調管理を心がけることで予防が可能です。
- イルミアによる治療はいつまで続ける必要がありますか？
-
症状を見て相談しながら決めるようにしています。治療をやめることにより症状が再発することがありますので、自己判断で中止しないようにしてください。
- 普段使っている薬はイルミアの治療中も続けてよいでしょうか？
-
薬剤により可否が異なりますので事前にご相談ください。
- イルミアによる治療の費用はどのくらいかかりますか？
-
治療にかかる患者さまの自己負担額は、保険の自己負担率によって異なります。また高額療養費制度に該当すれば、制度を利用することで自己負担をおさえることができます。なお患者さまの所得によって異なりますので当院では治療を開始する前に確認しております。
