爪白癬治療薬「イトリゾール(イトラコナゾール)」

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イトリゾールの概要

商品名 イトリゾール(先発品)、イトラコナゾール(後発品)
一般名 イトラコナゾール
剤型 先発品はカプセル・内用液、後発品は錠剤・カプセル・内用液
適応菌種 皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、
カンジダ属、マラセチア属、アスペルギルス属、クリプトコックス属、スポロトリックス属、ホンセカエア属
保険適用 (1)内臓真菌症(深在性真菌症)
真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
(2)深在性皮膚真菌症
スポロトリコーシス、クロモミコーシス
(3)表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)※難治性あるいは汎発性の病型の場合のみ
白癬(体部白癬、股部白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡)
カンジダ症(口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎、カンジダ性毛瘡、慢性皮膚粘膜カンジダ症)
癜風、マラセチア毛包炎
(4)爪白癬

イトリゾールの働き

イトリゾール︎はラミシール︎よりもさらに幅広く色々な真菌に保険が適用されています。内臓や髄液など、体の深部まで真菌が入り込んでしまうような場合にも有効です。

逆に皮膚表面の真菌症に用いるには制限があり、塗り薬で治りにくい場合や、症状が体の広い範囲にみられる場合のみで認められています。爪水虫に対しては病型に関わらず使用できますが、パルス療法という少し特殊な投与方法です。

イトリゾールの用法用量

真菌が体の深部まで入り込むことはまれなケースなので、ここでは皮膚表面の白癬や爪白癬に対する内服方法をご説明します。

まず皮膚表面の白癬の治療に用いる場合は、イトリゾール50〜100mgを1日1回食直後に連日内服します。治療期間に明確な基準はありません。

次に爪白癬に対しては、パルス療法という変則的な方法で治療します。イトリゾール200mgを1日2回(1日400mg)食直後に1週間内服し、その後3週間は休薬します。この1ヶ月を1サイクルとし、3サイクル繰り返すことで治療が終了します。つまり治療期間は合計で3ヶ月です。他の抗真菌薬と同様に、投与が終了した後も爪の中に有効成分がとどまります。

イトリゾールの有効性

爪白癬に対するイトリゾールの有用性を調べるための大規模研究2)では、3,440名の爪白癬患者さまに対してイトリゾール連日投与もしくはパルス療法を行って調査しています。

結果をみてみると、治療を受けた人の臨床的治癒率(見た目が綺麗になった人の割合)は30.5%で、未治療の人の臨床的治癒率は13.9%でした。また菌学的治癒率(糸状菌がみられなくなった人の割合)は治療を受けた人では34.8%なのに対し、未治療では7.4%でした。

ラミシールより少し劣っているようにも見えますが、ラミシールとイトリゾールの効果を直接比較した研究3)によると、2剤の効果には大きな差がないことも判明しています。

2)Odom BB, Aly R, Scher RK, et al: A multicenter, placebo-controlled, double-blind study of intermittent therapy with itraconazole for the treatment of onychomycosis of the fingernail, J Am Aced Dermatol,1997; 36: 231―235.

3)渡辺晋一,川島眞,原田昭太郎:爪白癬に対する経口抗真菌薬の治療効果および患者満足度イトラコナゾールパルス療法とテルビナフィン連続療法の多施設共同群間比較試験,臨皮,2007;61:858―867.

イトリゾールの副作用

イトリゾールには重大な副作用として以下のようなものが報告されています。

  • うっ血性心不全・肺水腫
  • 肝障害
  • 薬剤アレルギー
  • ショック、アナフィラキシー
  • 間質性肺炎
  • 消化器症状(腹痛・下痢)など

他の薬剤と同様、イトリゾールの内服中も定期的に(月1回程度)血液検査を行うことが推奨されています。万が一、治療開始後に体調に変化がある場合は早めにご相談ください。

イトリゾールの禁忌

  • 併用禁忌薬を内服中の患者さま
  • 肝臓または腎臓に障害があり、かつコルヒチンを内服している患者さま
  • 本剤の成分に対してアレルギーの既往がある患者さま
  • 重篤な肝疾患をお持ちの患者さま

上記のいずれか、もしくは全てに当てはまる場合はイトリゾールを使用できません。

イトリゾールの使用上の注意

イトリゾールには多すぎてここには書ききれないほどの併用禁忌薬や併用注意薬があります。安心して治療を受けていただくためにも、必ず常用薬を医師に申告してください。診察時にはお薬手帳も持参していただくようお願いします。

妊産婦・授乳婦・お子さまへの投与

胎児に奇形を催(もよお)す危険性があり、妊婦さん又は妊娠している可能性のある女性には投与できません。また母乳にも成分が移行するため、治療中は授乳も避けましょう。

休薬中の3週間に関しては添付文書に記載がないためはっきりとしたことはわかりませんが、不安な方は休薬中の授乳も避けてください。お子さまへの治療にも、通常イトリゾールは使用しません。重症な真菌感染を起こした時のみ慎重に使用を検討します。

その他の特徴

イトリゾールには併用禁忌薬・注意薬が非常に多いため、気軽には使いにくいお薬です。ですがその反面、実際に薬を内服する期間が短いというメリットがあるのも事実です。常用薬を飲まれていない患者さまにとっては、比較的選びやすい選択肢になるのかもしれません。

白癬の治療に用いるカプセルや錠剤の薬価としては、

  • イトリゾール®︎:50mgあたり233.8円
  • イトラコナゾール:50mg錠/カプセルで101.7円、100mg錠で198.2円、200mg錠で473.3円

です。

1錠あたりの値段はラミシールよりは少し高めですが、治療期間が短い分、合計でかかる費用は3つの内服薬の中で最も安く抑えられます。

よくあるご質問

イトリゾールの塗り薬はありますか?

イトリゾールの塗り薬はありません。また、有効成分であるイトラコナゾールの塗り薬もありません。
クリニックで処方できるイトリゾールの剤型は、カプセルと内用液のみです。なお、ジェネリック品には錠剤タイプもあります。

イトリゾールは市販されていますか?

イトリゾールは市販されていません。有効成分であるイトラコナゾールを含む市販薬もありません。
イトリゾールは、医師の処方がなければ入手できない処方箋医薬品ですので、ご了承ください。

イトリゾールの効果があらわれるまでの期間はどれくらいですか?

イトリゾールは、いったん変色・変形した爪をきれいにする薬ではなく、新しく生えてくる爪を真菌の存在しないきれいな状態にする薬です。
そのため、パルス療法が終了しても効果を実感しにくいかもしれません。
しかし、だからといって効いていないわけではなく、治療終了後もイトリゾールは爪の中に長くとどまっています。少しずつきれいな爪が生えてきますので、生え変わるまで(半年~1年程度)状態を見守ってください。

イトリゾールを飲んでいるときに飲酒しても大丈夫ですか?

添付文書上、イトリゾールとアルコール類の併用は禁忌とされていません。
しかし、アルコール摂取により肝機能が障害されると、副作用である肝障害や胆汁うっ滞、黄疸などがあらわれやすくなるおそれがあります。
したがって、イトリゾールで治療をしている間はできるだけ飲酒をひかえてください。

イトリゾールはニキビにも効果がありますか?

イトリゾールはニキビ(ざ瘡)には適応がありません。しかし、ニキビとよく似た症状を示すマラセチア毛包炎には適応があります。
ただし、ニキビとマラセチア毛包炎の判別は簡単ではありません。気になる症状がある場合は、診察時にご相談ください。

イトリゾールとイトラコナゾールの違いは何ですか?

イトラコナゾールは、イトリゾールの有効成分名です。「イトラコナゾール」という成分名は、ジェネリック品の商品名としても使われています。
例: イトラコナゾールカプセル50mg「●●(メーカー名)」など

イトリゾールカプセルと内用液の違いを教えてください。

イトリゾールカプセルとイトリゾール内用液の有効成分は、いずれもイトラコナゾールです。しかし、カプセルと内用液では異なる点が多数あります。
例えば、イトリゾールカプセルは内臓真菌症や皮膚の真菌症、爪白癬の治療に使用されますが、イトリゾール内用液は皮膚の真菌症や爪白癬の治療には使われません。
また、1回の投与量や服用タイミング、吸収率なども異なります。
そのため、イトリゾール内用液からカプセルへの切り替えなどは、原則として行いません。

 

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