- ラミシール錠は市販されていますか?市販のラミシールクリームなどは、爪水虫に効きますか?
- 医療用のラミシールクリームやラミシール外用液、ラミシール外用スプレーは、爪水虫に使えますか?
- ラミシール錠を飲み切っても爪がきれいになりません。効いていないのでしょうか?
- ラミシール錠はカンジダにも効果がありますか?
- ラミシール錠が食後服用になっている理由を教えてください。
- ラミシール錠の服用期間はどうして6ヵ月なんですか?
- ラミシール錠で副作用が出る確率はどれくらいですか?
目次
ラミシール(一般名:テルビナフィン)は、アリルアミン系の経口抗真菌薬です。
有効成分であるテルビナフィンは、腸から吸収されたあとに爪や皮膚角質へ移行します。そして、真菌細胞内の酵素を選択的に阻害し、細胞膜の構造を破壊したり発育を部分的に阻害したりすることで抗真菌作用を発揮します。
ラミシールは、強い抗真菌活性を持ち、さまざまな真菌に幅広く作用するのが特徴です。皮膚真菌症の原因となる白癬菌やカンジダの発育を抑えるため、外用薬では治癒が難しい深在性皮膚真菌症や爪白癬、頭部白癬、角質増殖型の白癬などに効果が期待できます。
ちなみに、治療効果があらわれるまでの期間は、爪真菌症で24週間、角質増殖型手・足白癬では8週間とされています。
なお、臨床試験における改善率は以下のようになっています。
手・足白癬:79.4%
体部・股部白癬:91.9%
皮膚カンジダ症:75.0%
爪白癬:88.1%
爪カンジダ症:71.0%
頭部白癬:100%
深在性白癬:100%
白癬性肉芽腫:100%
カンジダ性肉芽腫:50.0%
スポロトリコーシス:66.7%
クロモミコーシス:66.7%
ラミシールは、皮膚糸状菌、カンジダ属、スポロトリックス属、ホンセカエア属による深在性皮膚真菌症(白癬性肉芽腫、スポロトリコーシス、クロモミコーシス)、表在性皮膚真菌症(白癬:爪白癬、手・足白癬、生毛部白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡、生毛部急性深在性白癬、硬毛部急性深在性白癬)およびカンジダ症(爪カンジダ症)に適応があります。
ただし、使用できるのは外用抗真菌薬での治療が困難な場合に限られます。
通常、成人には1日1回125mgを食後に投与しますが、年齢、症状により適宜増減します。なお、爪白癬に用いる場合、服用期間は24週間(6ヵ月)です。
以下に該当する場合は、ラミシールの服用が禁忌とされています。
その他、腎機能障害がある場合、重篤ではないものの肝機能障害がある場合なども、ラミシールの服用には注意が必要です(参照:特定の患者さまへの使用に関して)。
ラミシールのおもな副作用として、発疹や蕁麻疹、かゆみ、貧血、胃部不快感、腹痛、悪心、下痢、めまい、ふらつき、頭痛、眠気、味覚異常、倦怠感などが報告されています。
また、重大な副作用として、肝炎をはじめとした重篤な肝障害、血液障害、中毒性表皮壊死融解症、ショックやアナフィラキシーなどが報告されています。ラミシールの服用にともない、下記のような症状があらわれた場合は重大な副作用の初期症状である可能性が否定できないため、すみやかに受診してください。
重篤な肝障害 (肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸など) |
吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感、 白目や皮膚の黄変、判断力の低下、 手のふるえ、意識の低下 |
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汎血球減少、無顆粒球症、 血小板減少 |
めまい、息切れ、動悸、 耳鳴り、歯ぐきの出血、鼻血、 皮下出血、発熱、のどの痛み |
中毒性表皮壊死融解症(TEN)、 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、 急性全身性発疹性膿疱症、 紅皮症(剥脱性皮膚炎) |
倦怠感、関節痛、水疱、発熱、 食欲不振、陰部の痛み、口内炎、 唇や口内のただれ、まぶたや眼の充血、 白目のただれ、全身の発赤、 皮膚が剥がれ落ちる |
横紋筋融解症 | 筋肉の痛み、手足のこわばり、 手足のしびれ、脱力感、赤褐色の尿 |
ショック、アナフィラキシー | めまい、頭痛、立ちくらみ、 蕁麻疹、眼や口唇まわりの腫れ、 声がれ、呼吸困難、動悸、 ほてり、判断力の低下、意識の低下 |
薬剤性過敏症症候群 | 悪寒、ふらつき、発汗、 発熱、意識の低下、呼吸困難、 かゆみ、発疹、しびれ |
亜急性皮膚エリテマトーデス | 環状の赤い発疹、 角質をともなう赤い発疹、 関節痛、倦怠感、発熱 |
添付文書上、ラミシールとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、ラミシールは一部の肝代謝酵素を阻害することから、併用に注意が必要な薬剤はいくつかあります。下記のような薬剤を服用している場合は、診察時にご相談ください。
ラミシールはおもに肝臓から排泄されますが、腎機能が低下している方に投与すると排泄が遅延して高い血中濃度が持続するおそれがあります。
そのため、腎機能障害がある方へラミシールを投与する際は、腎機能の程度や副作用の発現状況に細心の注意を払い、慎重に治療を進めていきます。
重篤な肝障害がある方にラミシールを投与すると肝障害が増悪するおそれがあるため、投与は禁忌とされています。
また、慢性もしくは活動性などの肝疾患がある場合は、頻回に検査を行うなどして肝機能の変化を十分に観察し、肝障害が増悪しないよう努めます。
ラミシールは、器官形成期の動物を対象とした大量投与試験で、母獣の摂餌量の減少、体重増加の抑制が観察されています。
そのため、妊娠中の方や妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
ラミシールは、動物を対象とした試験で乳汁中へ移行することが報告されています。
したがって、ラミシール服用中は授乳しないことが望ましいとされています。
ラミシールは、小児などを対象とした臨床試験を実施していません。
ご家庭ではお子さまの誤服用を防ぐため、保管場所などにご注意ください。
高齢の方では、一般的に肝機能・腎機能をはじめとした生理機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続する可能性が否定できません。
そのため、高齢の方へラミシールを使用する場合は副作用の発現に留意し、状態を観察しながら慎重に投与を行います。
ラミシール錠125mgの薬価は95.20円/錠です。
ただし、患者さまにご負担いただく薬剤費は保険割合によって変わります。
例えば、3割負担の患者さまがラミシール錠125mgを1日1回30日分処方された場合、ご負担金額は856.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用すれば、さらに薬剤費をおさえられます。