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目次
ラミシールの概要
商品名 | ラミシール(先発品)、テルビナフィン(後発品) |
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一般名 | テルビナフィン塩酸塩(以下、テルビナフィン) |
剤型 | 錠剤 |
適応菌種 | 皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、 カンジダ属、スポロトリックス属、ホンセカエア属 |
保険適用 | (1) 深在性皮膚真菌症:白癬性肉芽腫、スポロトリコーシス、クロモミコーシス (2) 表在性皮膚真菌症:白癬(爪白癬、手・足白癬、生毛部白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡、生毛部急性深在性白癬、硬毛部急性深在性白癬)、カンジダ症・爪カンジダ症 |
ラミシールの働き
ラミシール︎も抗真菌薬ですが、ホスラブコナゾールよりも幅広く様々な真菌に保険が適用されています。深在性皮膚真菌症(真菌が皮膚の下まで侵入)・表在性皮膚真菌症(真菌が皮膚表面に侵入)の両方に有効です。
ただし一般的な水虫が含まれる表在性皮膚真菌症の場合は、外用薬による治療が基本です。足白癬に対してラミシールを内服する際には、①皮膚のガサつきが強くなるタイプ、②趾の間の皮剥けやジクジクが強いタイプ、このどちらかに当てはまる必要があります。爪白癬の場合は特に制限はありません。
ラミシールの用法用量
1錠(125mg)を1日1回、食後に内服します。内服する期間は24週間(6ヶ月間)です。ラミシールも内服終了後に有効成分が爪の中に蓄積して治療効果をもつため、内服終了後も数ヶ月間は治療効果が持続します。
ラミシールに併用禁忌薬はありませんが、注意して併用しなければならない薬はいくつかあります。具体的には、シメチジン・フルコナゾール・リファンピシン・三環系抗うつ剤(イミプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン)・マプロチリン・デキストロメトルファン・黄体卵胞ホルモン混合製剤(ピルなどの経口避妊薬)・シクロスポリンなどが併用注意薬に該当するため、上記の薬を内服している場合には主治医に確認が必要です。
ラミシールの有効性
ラミシールの効果を検討した大規模な研究1)では、爪白癬の患者さま1,006名に対してラミシール250mgを1日1回12週間投与し、その治療効果を判定しています。結果として、治療を受けた人の臨床的治癒率(見た目が綺麗になった人の割合)は48%で、未治療の人の臨床的治癒率は6%でした。また菌学的治癒率(糸状菌がみられなくなった人の割合)は治療を受けた人では58.5%なのに対し、未治療の人では16.7%でした。
いずれの結果をみても、爪白癬に対してラミシールを内服することによって多くの患者さまに治療効果が得られることがわかりました。
1)Kreijkamp-Kaspers S, Hawke K, Guo L, et al: Oral antifungal medication for toenail onychomycosis, Cochrane Database Syst Rev, 2017; 7: CD010031.
ラミシールの副作用
ラミシールは比較的副作用の種類が多いお薬です。
- 重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
- 重症薬疹
- 横紋筋融解症
- ショック、アナフィラキシー
- 亜急性皮膚エリテマトーデス
etc.
これらの副作用は、早期に発見することが重要です。特に肝機能障害は内服開始後2ヶ月以内に発症することが多いとわかっていますので、はじめの2ヶ月間は月に1回の血液検査を行うように推奨されています。もちろん時期にこだわらず、体調に異変を感じたら必ず受診をしてください。
ラミシールの禁忌
- 重篤な肝障害のある患者さま
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少等の血液障害のある患者さま
- 本剤の成分に対してアレルギーをお持ちの患者さま
上記3つのいずれか、もしくは全てに当てはまる場合はラミシールを使用できません。
他の治療方法をご提案させていただきますのでご了承ください。
ラミシールの使用上の注意
もともと肝機能障害をお持ちの患者さま
副作用の項目でも説明しましたが、ラミシールは肝臓で代謝されるため、肝臓に障害をきたすことがあるお薬です。
もともと肝機能障害がある場合には慎重に様子を見ながら治療に当たる必要があります。肝機能障害があるとわかっている場合には、治療開始前に必ずお申し出ください。なお血液検査の結果があれば、参考にさせていただきますので診察時にお見せください。
もともと腎機能障害をお持ちの患者さま
肝臓で代謝されたラミシールは、腎臓から排泄されます。腎機能に障害があると体内にテルビナフィンの成分がたまってしまう恐れがあります。腎機能障害がある場合には、薬の量を減らして治療に当たります。こちらも血液検査の結果があれば診察時にお見せください。
妊産婦・授乳婦・お子さまへの投与
妊娠中の患者さまへの投与に関する安全性は確立していないものの、明らかな危険があるとわかっているわけではないため禁忌にはされていません。
治療によるメリットが大きい場合には投与可能ですが、適応は慎重に判断いたします。またラミシール︎は母乳に移行するため、内服中は授乳を中止しましょう。小児(16歳未満)への投与に関しても、現時点では安全性を証明するデータがありません。
その他の特徴
ラミシールは治療期間が長いことや副作用の心配が多いことがネックです。ただ値段は先発品のラミシール®︎錠が150円/錠、後発品のテルビナフィン錠が45.9円もしくは76.5円(販売会社による)とお手頃ですし、爪白癬以外の真菌症治療にも使用できる点は強みです。