「ユベラ軟膏（トコフェロール・ビタミンA油）」

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ユベラ軟膏とは？

ユベラ軟膏（一般名：トコフェロール・ビタミンA油）は、皮膚の新陳代謝を高めるビタミンAと、血行促進作用を持つビタミンE（トコフェロール）を配合した外用薬です。通常は、しもやけや手荒れなどの改善に用いられます。
「ユベラ」の名称を持つ医療用医薬品は、他に「ユベラ錠」「ユベラNカプセル」「ユベラNソフトカプセル」がありますが、内服薬はいずれもビタミンAを含んでいません。また、適応疾患もユベラ軟膏とは異なりますので、ご承知ください。
なお、「ユベラ」という名称は、「若々しい」という意味のラテン語（Juvenil）に由来します。

ユベラ軟膏の特徴

ユベラ軟膏の主成分であるビタミンAとビタミンE（トコフェロール）は脂溶性で、脂質密度の高い皮膚組織によく浸透するのが特徴です。塗布後は経皮吸収されて、角質層・上皮組織・血管周辺などによく存在します。
成分の一つであるビタミンE（トコフェロール）は、皮膚の血管平滑筋に作用して血流を促進したり皮膚温を上昇させたりするほか、血管透過性を抑制します。
一方、ビタミンAは、皮膚の代謝機能を亢進して異常角化の進行を抑制します。
ユベラ軟膏は、この2種類のビタミンが協働することで、しもやけや手荒れなどの症状を改善します。

ユベラ軟膏の効能効果・用法用量および注意点

効能効果・用法用量

ユベラ軟膏は、凍瘡（しもやけ）や進行性指掌角皮症（手荒れ）、尋常性魚鱗癬、毛孔性苔癬、単純性粃糠疹、掌蹠角化症に適応があります。
通常は、1日1〜数回、適量を患部に塗布します。

ユベラ軟膏の禁忌・副作用など

ユベラ軟膏を外用してはいけない例

添付文書上、ユベラ軟膏の使用にあたり禁忌とされている疾患・症状はありません。
ただし、ユベラ軟膏に含まれる成分に過敏症の既往歴がある場合は、使用を避けるべきでしょう。

ユベラ軟膏の副作用について

ユベラ軟膏の使用にあたり、特に重篤な副作用は報告されていません。
ただ、まれに紅斑や掻痒などの過敏症があらわれることがあります。過敏症の症状があらわれた場合は、ユベラ軟膏の使用を中止しなければならないこともあるため、気になる症状がある場合は早めにご相談ください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、ユベラ軟膏との併用が禁忌とされている薬剤はありません。
ただし、他の外用薬を使用している場合は使い分けが必要なケースもあります。
そのため、併用薬がある場合は市販薬も含めてすべてお伝えください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中の方の使用に関して

ユベラ軟膏の主成分の一つであるビタミンAは、動物を対象とした試験で催奇形性が報告されています（ただし、大量投与した場合）。
そのため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。

授乳中の方、お子さま、ご高齢の方への使用に関して

ユベラ軟膏を適量使う限りにおいては、特に問題はないと考えられます。ただし、副作用である紅斑や掻痒などの過敏症の症状があらわれる可能性は否定できません。
したがって、使用にあたっては自己判断で使用範囲を広げたりせず、副作用が疑われる症状があらわれた場合は速やかに受診して適切な処置を受けるようにしてください。

保管に関する注意

ユベラ軟膏は空気や光の影響を受けやすく、経時変化で徐々に黄変します。そのため、使用後は容器のふたをしっかり閉め、光を避けて15度以下の冷所で保管してください。ただし、冷蔵庫などで保管する場合は、凍結させないようにご注意ください。
なお、開栓後であっても、遮光して15度以下の場所で適切に保管すれば6ヵ月は使用できます。この場合でも軟膏の黄変は多少進みますが、有効成分の含量は規格内ですのでご安心ください。

ユベラ軟膏の患者負担・薬価について

ユベラ軟膏の薬価は2.7円/gです。
もっとも、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがユベラ軟膏を50g処方された場合、ご負担金額は40.5円です（薬剤費のみの計算です）。
なお、ユベラ軟膏にはジェネリック品がありません。薬局で希望しても変更できませんので、ご承知ください。

よくあるご質問

ユベラ軟膏と同じ成分の市販薬はありますか？

医療用のユベラ軟膏とまったく同じ成分の市販薬はありません。
もっとも、ビタミンA・ビタミンEが配合されている市販薬は多数販売されています。ただし、市販薬は添加物などが異なりますし、その他の医療用成分が配合されている場合も少なくありません。また、適応もユベラ軟膏とは異なります。
そのため、市販のビタミンA・ビタミンE配合外用薬をユベラ軟膏と同じように使用することはできません。

飲み薬のユベラは、美肌に良いと聞きました。ユベラ軟膏も美肌に良い効果があるのならば、処方してもらいたいのですが……。

たしかに、ユベラ錠やユベラNカプセル、ユベラNソフトカプセルには抗酸化作用を有するビタミンEが含まれているため、シミやそばかすの改善などの美容効果があるともいわれています。しかし、内服薬のユベラに美肌の適応はありません。
また、ユベラ軟膏にはシミなどの改善作用は認められていません。
したがって、美肌目的でユベラ軟膏を処方することはできません。たとえ残薬があっても、美肌目的で使用することはおすすめできません。

ユベラ軟膏には血行を促進する作用があるんですよね。では、血行不良が原因でできる目の下のクマにも効果があるんですか？

ユベラ軟膏は、目の下のクマにも適応がありません。そもそも、ユベラ軟膏は眼科用剤ではないため、目の周りに使用するのはおすすめできません。
なお、誤って目に入ってしまった場合は、速やかに水やぬるま湯などで洗い流してください。洗い流したあとに目に違和感などが残る場合は、眼科を受診して適切な治療を受けてください。

ユベラ軟膏と他の軟膏を混ぜたものが処方されました。保管は常温でもいいですか？

ユベラ軟膏と他の軟膏が混合されたものが処方された場合でも、保管は直射日光の当たらない冷所でお願いします。常温保存すると、薬剤の黄変が進んだり性状が不安定になったりするおそれがあります。

ユベラ軟膏は、時間が経つとどうして黄色くなってくるんですか？

ユベラ軟膏に含まれるビタミンE（トコフェロール）は、空気や光によって酸化されて暗赤色になる性質があります。また、ビタミンA油は空気や光によって分解される性質があります。これらが相まって、時間の経過とともに黄色く変化していきます。

ユベラ軟膏が処方されると、毎回小分けの容器に入った状態で薬局から渡されます。チューブタイプを処方してもらうことはできませんか？

ユベラ軟膏は、500g包装と56gのチューブ品がありますが、56gで処方しても薬局に500g包装しかない場合は軟膏容器に56gを小分けして入れることになります。
そのため、ご希望に添えないこともあるかと思いますので、ご承知ください。

ユベラ軟膏を高温になる自動車内に数時間置き忘れてしまいました。今から冷やせば、使えるようになりますか？

高温下に放置したユベラ軟膏は、再度冷やしても使用することはできません。見た目に変化がなくても、有効成分や添加物の劣化が進んで副作用などが発生するリスクが否定できないためです。誤使用を避けるために、高温下に放置したユベラ軟膏は速やかに廃棄してください。

ユベラ軟膏を塗り忘れた場合はどうすればいいですか？

ユベラ軟膏を塗り忘れた場合は、気が付いたときに1回分を塗布してください。ただし、次の塗布時間が近い場合は、忘れた分を飛ばして次の塗布時間に1回分を塗ってください。その際、塗り忘れ分をあわせて2回分の量を塗らないようにしてください。