十全大補湯とは?
出典は和剤局方(わざいきょくほう)です。中国にて宋(そう)代に出版された漢方処方箋集のことです。処方名の由来は抗病力 が大いに低下している状態に対して、その抗病力を十全(完全)に大きく補うという働きを処方名としたものと考えられています。全身が弱って、漢方でいう「気」も「血(けつ)」※も著しく不足している人に向く漢方薬です。不足を補う「補剤」の代表的なひとつです。
疲労倦怠感、貧血傾向のある方の寝汗、手足の冷え、食欲不振などの不調があるときにお役立ていただけます。病後・手術後の体力低下をはじめ、産後の衰弱、貧血、冷え症の改善など、さまざまな目的で使われているような処方です。
※「気・血・水」は、不調の原因を探るためのものさしです。
「気(き)」:目には見えない生命エネルギーのこと。「元気」の気、「気力」の気、「気合い」の気。「自律神経(体の機能を調整する神経)」の働きに近いとされています。
「血(けつ)」:全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与えます。主に血液を指します。
オンライン診療対応可能
当院では、初診からオンライン診療にて漢方薬の処方を行っております。通院なしで薬剤をお送りすることが可能です(送料無料)。アプリのインストールは不要で、システム利用料も徴収しておりません。よろしければご利用ください。
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十全大補湯の特徴
十全大補湯は以下の生薬が含まれます。
- 黄耆(オウギ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 地黄(ジオウ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 川芎(センキュウ)
- 当帰(トウキ)
- 人参(ニンジン)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 甘草(カンゾウ)
十全大補湯の効果について
(効能効果)
病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、 手足の冷え、貧血
(使用目標)
病後、術後あるいは慢性疾患、高齢者の虚弱(フレイル)な どで、疲労衰弱している場合に用いる。
1)全身倦怠感、食欲不振、顔色不良、皮膚枯燥、貧血などを 伴うことが多い。
2)盗汗、口内乾燥感などを伴う場合。
十全大補湯の使い方
成人の場合、1日合計7.5gを2~3回に分割して食前もしくは食間に、水またはぬるま湯と一緒に内服します。なお用量は年齢・体重・症状により適宜増減します。また万が一飲み忘れてしまった場合は気がついた時点で内服して下さい。ただし次に飲む時間が近い場合は1回飛ばして次の分から再開しましょう。
十全大補湯を服用する上での注意点
副作用として偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸、過敏症、消化器症状が挙げられます。いつもと体調が違うと感じた際はご相談ください。
十全大補湯の患者さま負担・薬価について
医療用とされている十全大補湯としては「ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)」が有名です。1日薬価は138.0円で1包(2.5g)あたり46円です。1日3包で30日分処方された場合、3割負担の患者さまでは1242円の薬剤費となります。(薬剤費のみの計算です)
よくあるご質問
- 十全大補湯はドラッグストアで売っていますか?
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ツムラからは販売されていませんが、クラシエからは販売されておりドラッグストアでも購入できます。ただし医療用医薬品と一般用医薬品では用法用量が異なります。これは安全性をより高めるために服用量を調整しているためです。各販売店舗にご確認ください。
- 十全大補湯はどんな症状に効果がありますか?
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病後で体力が低下した場合の回復促進や貧血に効果がある漢方薬です。また、寝あせにも効能効果があります。
- 十全大補湯はどれぐらいで効果がありますか?
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病状や状態により異なりますが、漢方薬の効果判定は服用開始後1~2週間の状態をひとつの目安としています。ただし慢性的な病気などでは、効果が出るまでに1か月以上時間を要することもあるため、3カ月は服用するようおすすめしています。
- 十全大補湯にはどんな副作用がありますか?
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詳しくはこちらを参照ください。
症状に気づいた場合は、使用をやめ、処方元の医師や薬剤師にご相談ください。