ルコナックとは?
ルコナック(一般名:ルリコナゾール)は、イミダゾール系抗真菌薬です。真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの合成を阻害する作用を持ち、特に爪白癬の原因菌である皮膚糸状菌に対して優れた抗真菌活性を有します。
ちなみに、「ルコナック(Luconac)」という名称は、一般名であるルリコナゾール(Luliconazole)に由来するとのことです。
なお、ルリコナゾールを主成分とする医療用医薬品としては、ほかにルリコンがあります。ルリコンは爪白癬に適応がなく、配合されているルリコナゾールの濃度はルコナックの1/5です。
プレドニン眼軟膏の特徴
プレドニン眼軟膏は、主成分の粒子が非常に細かく、基剤である白色ワセリン・流動パラフィンへの分散がとても良好なことから、組織との接触面が広いのが特徴です。
特にまぶたの皮膚は薄く、炎症を起こしている部位ではステロイドの吸収が良いため、プレドニン眼軟膏は作用の弱いウィーククラス相当とされるものの十分な効果が期待できます。
ルコナックの特徴
ルコナックは、爪白癬の治療に特化した薬剤です。
抗真菌活性の高いルリコナゾールを高濃度で配合し、爪に対する透過性および貯留性を高める製剤設計となっていることから、塗布すると爪表面から爪深部までの爪全層に分布します。
しかも、爪深部においても皮膚糸状菌に対して十分な効果が期待できる薬物濃度が維持されることから、爪白癬の治療に非常に有用な薬剤といえます。
また効果持続期間も長く、投与1週後から高い薬物濃度を示し、投与終了4週後においても十分な薬物濃度が維持されます。
臨床試験では、ルコナックを48週間塗り続けることで、爪の濁った部分の減少率・健康な爪面積の変化量・直接検鏡陰性化率(爪を直接調べて白癬菌の有無を確認する検査)がプラセボ群に比べて有意に改善することが示されています。
ルコナックの効能効果・用法用量および使い方
効能効果・用法用量
ルコナックは、皮膚糸状菌(トリコフィトン属)による爪白癬に適応があります。
使用回数は1日1回で、罹患爪全体に塗布します。
塗布タイミングに制限はありませんが、患部が清潔になっている入浴後がおすすめです。
ルコナックの使い方
初回使用(開封)時の操作
ルコナックの容器は、塗りやすく耐久性の高いマーカー型になっています。
ただし、初回使用(開封)時は、先端のフェルト部分に薬液がしみ込んでいません。
したがって、初めて使う際はキャップをした状態で容器の底部分を机などで軽く「トントン」とたたき、容器を下向きにして5~10回ほど振って薬液をフェルト部分にしみ込ませてください。
なお、2回目以降はこの操作は不要です。
爪に塗布する方法
ルコナックは、1日1回爪全体に塗布します。
マーカーで爪にラインを引いて塗りつぶしていくようなイメージで使うと、爪全体にうまく塗ることができます。爪と指の間にも薬液が行き渡るように、くまなく塗布しましょう。
爪のまわりの皮膚に薬液がついた場合は、ティッシュや綿棒などで拭き取ります。
爪全体に塗り終わったら、容器のまわりをティッシュペーパーなどできれいに拭き取り、キャップを閉め、立てた状態で保管してください。
ルコナックを外用する上での注意点
ルコナックを塗ってはいけない例・使用に注意が必要な例
ルコナックの成分に対して過敏症の既往歴がある方は、ルコナックを使用できません。
また、眼科用ではないため、角膜、結膜には使用できません。万が一目に入った場合は、すぐに水で洗い流してください。
ルコナックの副作用について
おもな副作用として報告されているのは、皮膚の乾燥や接触皮膚炎、湿疹、皮膚炎、皮膚への刺激感、爪囲炎などです。
副作用の症状によっては薬の変更や中止などが必要になる場合もありますので、ルコナックの使用にともないこのような症状があらわれた場合は早めにご相談ください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
水虫以外の病気の治療で飲み薬などを服用している場合でも、ルコナックは使用できます。
ただし、ルコナックを使用している部位に、自己判断でステロイド外用薬を塗るのは避けてください。真菌感染症に対してステロイド外用薬を使用すると、症状が悪化するおそれがあります。
その他の外用剤についても使い分けが必要な場合がありますので、併用したい薬がある場合は診察時にご相談ください。
保管法などその他の注意点
ルコナックは薬液中にアルコール成分を含んでいるため、直射日光や火気を避け、涼しい場所で保管してください。塗布する際も火気を避けてください。
また、ルコナックに含まれている成分で、合成樹脂が軟化したり塗料の塗布面が変色したりすることがあります。マニキュアなども溶解するおそれがあるため、治療中の爪にマニキュアなどの化粧品を使用するのは避けてください。
その他、ルコナックは衣類に付着すると着色することがあります。薬を塗ったあとの爪は、寝具や衣服(特に靴下)にふれる前に乾かしてください。
なお、爪白癬の感染拡大を防ぐため、家族を含めほかの人とルコナックを共用するのは避けてください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中の方への使用に関して
ルコナックは、妊娠中の方を対象とした臨床試験を実施していません。
妊娠中の方、あるいは妊娠している可能性がある方については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方を考慮します。
授乳中の方への使用に関して
動物を対象とした試験で、ルコナックは皮下投与により乳汁中へ移行することが報告されています。
そのため、授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
お子さまへの使用に関して
ルコナックは小児などを対象とした臨床試験を実施しておらず、安全性が確立されていません。
ただし、「安全性が確立していないこと」と「危険であること」は必ずしもイコールではありません。実際の治療では、有益性と危険性を比較しながら使用の可否を判断します。
ルコナックの患者負担・薬価について
ルコナック爪外用液5%の薬価は、764.0円/gです。1本あたりの容量は3.5g(4mL)なので、2674円/本になります。
ただし、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがルコナック爪外用液5%を1本処方された場合、ご負担金額は802.2円です(薬剤費のみの計算です)。
なお、ルコナックにはジェネリック品がありません。薬局で希望しても変更できませんので、ご承知ください。
よくあるご質問
- ルコナックと同じ成分の市販薬はありますか?通販で購入できますか?
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ルコナックと同じ成分の市販薬はありません。通販でも購入できません。
なお、ルコナックと同じイミダゾール系の抗真菌薬はドラッグストアなどでも購入できますが、いずれも爪白癬には適応がありません。
爪白癬の治療は医療用医薬品でなければできないため、気になる症状がある場合は早めに受診してください。
- ルコナックを塗ると爪や爪のまわりが白くなるのですが……。大丈夫でしょうか?
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ルコナックを塗布すると、爪や爪のまわりが白くなることがあります。
添付文書の副作用の項でも、その他の副作用として「爪変色およびその周囲の皮膚変色」が報告されています。この副作用の発生頻度は明らかになっていませんが、皮膚については付着した薬液をきれいに拭き取ることで軽減される可能性がありますので、塗布後にティッシュや綿棒などで拭き取るようにしてください。
- ルコナックを塗る前に、爪を薄く削るほうがいいですか?
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たしかに爪が厚いと薬液の浸透が悪くなるため、爪をある程度削ったほうがよい場合もあります。しかし、ご家庭で爪を上手に削るのはなかなか難しいものです。失敗すると、爪や皮膚に傷がつくおそれもあります。
したがって、自己判断で爪を大きく削るのはおすすめできません。爪の厚さが気になる場合は、受診時にご相談ください。
- ルコナックで爪水虫が治った人はどれくらいいますか?
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爪白癬にルコナックを48週間使用した臨床試験では、爪の濁りが完全に消失して、かつ顕微鏡で白癬菌が確認されなかった方の割合は約15%(プラセボ群は約5%)でした。
治癒率が低いように思われますが、ルコナックはいったん変色・変形した爪をきれいにする薬ではありません。新しく伸びてくる爪を白癬菌のいないきれいな爪にする薬であるため、見た目が完全に良くなるまでには相当の期間(爪が完全に生え変わるまでの期間)が必要です。
実際、この臨床試験では混濁した爪が中等度以上改善した方の割合は50%を超えています。また、爪の白癬菌が検出されなかった方は45%以上となっています。
爪が完全にきれいになるまでには時間がかかりますので、あせらず状態を見守ってください。
- ルコナックは1本で何日分ですか
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ルコナックを両足の爪10枚に1日1回毎日塗布した場合、約2週間使用できます。片足(爪5枚分)なら約4週間使用できます。
もっとも、爪の大きさには個人差があります。薬が足りなくなりそうな場合は早めに受診して、治療を継続するようにしてください。
- ルコナックに処方条件はありますか?
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ルコナックを処方するためには、顕微鏡検査などで爪白癬であることを確認する必要があります。そのため、検査に対応していないクリニックでは原則としてルコナックを処方できませんのでご承知ください。
なお、受診前に市販薬などで治療していると、白癬菌が確認できないことがあります。このような場合はルコナックが処方できないため、ご注意ください。
- ルコナックを塗ったあとの経過は、どのようになりますか?
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ルコナックを塗り続けると、爪の根元から少しずつ健康な爪が生えてきます。そして、治療を始めて、1年~1年半ほどたつと完全に爪が生え変わります。
なお、症状が落ち着いてきても白癬菌が残っている可能性は否定できません。自己判断で治療を中断せず、指示があるまで治療を続けるようにしてください。