メンタックスとは？

メンタックス（一般名：ブテナフィン塩酸塩）は、非イミダゾール系抗真菌薬の一種であるベンジルアミン系抗真菌薬です。真菌細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害して、抗真菌作用を示します。
「メンタックス」という名称は、白癬の原因菌として頻度の高いTrichophyton mentagrophytesに由来します。

メンタックスの特徴

メンタックスは、皮膚糸状菌および癜風菌に対してすぐれた抗真菌活性を示し、その作用は殺菌的であることが確認されています。
また、皮膚への貯留性が高く、1日1回の使用で十分な効果が得られるのも特徴です。

メンタックスの使い方

効能効果・用法用量

メンタックスには、クリーム・外用液・スプレーの3つの剤型がありますが、いずれも白癬（足部白癬、股部白癬、体部白癬）と癜風に適応があります。
使用回数は1日1回で、塗布および噴霧のタイミングは特に決まっていません。しかし、入浴後は皮膚がやわらかくなっており、かつ清潔な状態なので、入浴後の使用がおすすめです。

メンタックスを足白癬に塗るときのコツ

白癬菌は、症状のない部分にも付着していることがあります。したがって、足白癬の場合は、症状のある部分はもちろんのこと、各足指の間や足底全体、アキレス腱のまわり、外側面などにも薬を塗り広げてください。
なお、クリームの場合、人差し指の第一関節より少し多めの量（約0.5g）が片足分になりますので、これを目安にくまなく塗布するようにしましょう。

メンタックスを外用する上での注意点

メンタックスを塗ってはいけない例

メンタックスの成分に過敏症の既往歴がある方は、メンタックスを使用できません。
また、著しいびらん面にも使用できません。特に、外用液やスプレーはクリームに比べて皮膚への刺激が強いため、亀裂のある部分やびらん面への使用には注意が必要です。
なお、メンタックススプレーを頭部や顔面に使用する際は、スプレー液を吸入しないようご注意ください。

メンタックスの副作用について

メンタックスの使用にともなう重篤な副作用は、特に報告されていません。
比較的報告数の多い副作用としては、接触皮膚炎、局所の発赤や紅斑、刺激感、そう痒、水疱などがあります。
これらの症状があらわれた場合は、メンタックスの使用中止や他の薬剤への変更が必要になることもあるため、気になる症状がある場合は早めに受診してください。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、メンタックスとの併用が禁忌とされている薬はありません。
ただし、メンタックスを使用している部位に、自己判断でステロイド外用薬を塗るのは避けてください。水虫をはじめとした真菌感染症に対してステロイド外用薬を使用すると、症状が悪化するおそれがあります。
症状によっては使い分けが必要な外用薬もありますので、併用したい薬がある場合は診察時にご相談ください。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中の方への使用に関して

メンタックスは、動物を対象とした試験で胎児への移行性がごくわずかですが認められています（ただし、皮下投与において）。したがって、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみメンタックスの使用を考慮します。

お子さまへの使用に関して

メンタックスは、低出生体重児や新生児を対象とした有効性・安全性に関する臨床試験を実施していません。一方で、乳児や3歳以下の幼児では、刺激感、発赤などの副作用があらわれやすいことがわかっています。
そのため、メンタックスの使用にあたっては、症状の変化や副作用の発現などに注意しながら慎重に治療を進めていきます。

授乳中の方、ご高齢の方への使用に関して

メンタックスを適切に使う限りにおいては、特に問題はないと考えられます。ただし、副作用である接触皮膚炎、発赤や紅斑、刺激感、そう痒などの症状があらわれる可能性は否定できません。
したがって、メンタックスの使用にともないこれらの症状があらわれた場合は、速やかに受診して適切な処置を受けてください。

メンタックスの患者負担・薬価について

メンタックスクリーム1%の薬価は26.5円/g、メンタックス外用液1％の薬価は26.5円/mL、メンタックススプレー1%の薬価は51.6円/mLです。各剤型・規格の薬剤費は以下のとおりになります。

もっとも、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額です。例えば、3割負担の患者さまがメンタックスクリーム1%を10g/1本処方された場合、ご負担金額は79.5円になります（薬剤費のみの計算です）。
クリームと外用液についてはジェネリック薬もありますので、ご希望の場合はかかりつけ薬局にご相談ください。

よくあるご質問

メンタックスと同じ成分の市販薬はありますか？

メンタックスと同じ成分の市販薬は、ドラッグストアなどで販売されています。また、メンタックスの有効成分であるブテナフィン塩酸塩配合に加えて、かゆみ止めなどの成分を配合した市販薬も多数販売されています。
しかし、市販薬は適応疾患が限定されています。そのため、メンタックスとまったく同じように使用することはできません。
なお、白癬菌に感染しているかどうかは、医師による診察を受けなければ判断が難しいものです。市販薬を使っても症状が改善しない場合、あるいはかえって症状が悪化する場合などは水虫でない可能性もあるため、早めに受診して適切な治療を受けてください。

足の指の間を乾燥させるためには5本指ソックスがいいと聞きました。でも、5本指ソックスを持っていません。普通の靴下で何とかなりませんか？

通気性の良い5本指ソックスは、たしかに水虫の症状改善に効果が期待できます。しかし5本指ソックスがない場合は、無理に用意する必要はありません。靴下をはく前にガーゼを指の間に挟み、そのあと靴下をはくだけでもかなり通気性は良くなります。すべての足指の間にガーゼを挟むのが難しい場合は、症状のある部分だけでも大丈夫です。

衣類についた水虫菌は、どうすれば退治できますか？

白癬菌は45度で死滅するとされています。そのため、洗濯したあとの衣類を乾燥機で乾燥させたり、天気の良い日に天日干しをしたりすれば大丈夫です。熱に強い衣類であれば、アイロンをかけるのも有効です。
なお、床やたたみ、じゅうたんなどにつく白癬菌が気になる場合は、こまめに掃除をしてください。

メンタックスを塗り続けていたら、だいぶ肌がきれいになってきました。そろそろ塗るのをやめてもいいですか？

見た目の症状が良くなっても、原因菌が皮膚に残っている可能性は否定できません。治療終了の指示があるまで、メンタックスの塗布は継続してください。
実際、足白癬の場合、症状が改善しても2ヵ月は塗り続けないと完治は難しいといわれています。その他の部位でも、治療には月単位の時間がかかります。治療を中断すると再発のリスクが高くなるため、根気よく塗り続けてください。

メンタックスクリームは、1本でどれくらい塗れますか？

メンタックスクリームの1本あたりの容量は10gです。そして左右の足底に塗るためには約1.0gのクリームが必要です。したがって、1日1回、左右の足底に塗る場合、メンタックスクリームは1本（10g）で10日間ほど使用できます。
なお、絞り出したクリームは、一度に塗り広げようとするとうまくいきません。片足分0.5gのうち、1/3はすべての指の間に、1/3は足の裏の上半分（土踏まずから指先にかけて）とすべての足指に、残りの1/3はかかとと足の縁側に塗るようにすると、むらなく上手に塗り広げられます。

メンタックスを塗り忘れた場合は、どうすればいいですか？

塗り忘れに気が付いたら、できるだけ早く1回分を塗ってください。ただし、次の塗布時間が近い場合は1回分を飛ばし、次の塗布時間に1回分を塗ってください。その際、塗り忘れ分をあわせて2回分塗ってはいけません。