乾癬治療薬「オキサロール(マキサカルシトール)」

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オキサロールとは?

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オキサロール(一般名:マキサカルシトール)は、活性型ビタミンD3誘導体製剤です。表皮の過剰な増殖をおさえ、異常な分化を正常化して表皮の肥厚を改善する作用があります。
「オキサロール」という名称は、有効成分であるマキサカルシトールの慣用名「22-オキサカルシトリオール(oxacalcitriol)」に由来します。

オキサロールの特徴

乾癬の治療に用いられる外用薬には、ステロイド、ビタミンD3、ステロイドとビタミンD3の合剤の3種類がありますが、オキサロールはステロイドを含まずビタミンD3のみを主成分とする外用薬です。
効果があらわれるまでに少し時間はかかりますが、皮膚の良好な状態を長く維持できるため、ある程度状態が落ち着いている皮膚の治療に向いています。なお、皮膚の炎症が強い場合は、ステロイド外用薬と併用して症状改善を目指します。

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オキサロールの使い方

オキサロールの剤型による使い分け

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オキサロールには、軟膏とローションの2つの剤型があります。軟膏は基本的にどこの部位にも塗布できますが、べたつきがあるため被毛部には使いにくいという欠点があります。一方、ローションは乳液状で伸びがよく、べたつきも少ないため、乾癬の好発部位である被毛部にも容易に塗布できます。
なお、乾癬の爪症状にはいずれの剤型も使用できます。

オキサロールの塗り方

薬を塗る際に皮膚を強くこすると、刺激で症状が悪化したり鱗屑がはがれたりすることがあります。皮疹にオキサロールを塗るときは、症状のある部分のみにやさしく塗り広げるようにしましょう。
爪に塗布するときは、爪の根元・爪と皮膚の境目・爪の先にも入れ込むように塗ってください。
いずれの場合も、薬を塗布したあとは手をよく洗い、正常な皮膚に薬が残らないようにしましょう。

適応疾患と使用回数

オキサロールは乾癬治療薬としてよく使われますが、魚鱗癬群、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症などにも適応があります。
使用回数は通常1日2回ですが、症状によって使用回数を減らすこともあります。ただし、過量投与を防ぐために使用回数を2回より多くすることはほとんどありません。

オキサロールを外用する上の注意点

オキサロールを塗ってはいけない例・使用に注意が必要な例

オキサロール軟膏・ローションの成分に対して過敏症の既往歴がある方は、オキサロールを使用できません。
また、以下のケースではオキサロールの使用に注意が必要な場合もあります。副作用の発現を防ぐために、該当する事項がある場合はあらかじめご相談ください。

  • 他の医療機関にかかっている場合、または皮膚科以外の診療科にも通っている場合。
  • 現在、使用している薬(処方薬・市販薬ともに)がある場合。
  • 健康補助食品を摂っている場合。
  • 腎臓の病気がある、あるいは腎機能の低下を指摘されている場合。

オキサロールの重大な副作用と使用量の制限について

オキサロールの有効成分であるマキサカルシトール(活性型ビタミンD3誘導体)には、血中カルシウム値を上昇させる作用があります。これに関連して、オキサロールを使用すると重大な副作用である高カルシウム血症や急性腎障害の発生リスクが高まることが明らかになっています。このような重篤な副作用の発生を防ぐために、オキサロールは1日の使用量の上限が10gとされています。

使用例
良い例:軟膏5g+ローション5g=10g
悪い例:軟膏8g+ローション4g=12g

しかし、1日の使用量が10gを下回る場合でもこれらの副作用が生じる可能性は否定できません。オキサロール使用中に、異常な口の渇きや倦怠感・脱力感があらわれたり、尿量の減少やむくみなどがあらわれたりした場合は、すみやかに診察を受けてください。
なお、使用量の目安は、軟膏の場合は人差し指の先から第一関節まで出した量が約0.5g、ローションの場合は1円玉大の量が約0.5gです。塗布する前に一度手に取り、量を確認してから塗るようにしましょう。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

ビタミンDおよびその誘導体(アルファカルシドール、カルシトリオール、カルシポトリオールなど)、PTH製剤(テリパラチド)、カルシウム製剤(乳酸カルシウム水和物、炭酸カルシウムなど)を使用している場合は、副作用である高カルシウム血症があらわれやすくなります。使用している場合は、診察時に必ずご相談ください。

特定の患者さまの使用に関して

妊娠中または授乳中の方への使用に関して

オキサロールは、動物実験で胎児への移行が認められているほか、乳汁への移行も示唆されています。
そのため、妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性に使用するのは望ましくありません。また、授乳中の方への使用は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。

お子さま、ご高齢の方への使用に関して

オキサロールは小児を対象とした臨床試験を実施していないため、お子さまに使用した場合の有効性・安全性は明らかになっていません。高齢の方への使用は基本的に問題ありませんが、一般的に生理機能が低下しているため、使用が過度になると副作用の発生リスクが高まります。指示された用法用量を守り、塗りすぎることがないようにご注意ください。

オキサロールの患者負担・薬価について

オキサロール軟膏・ローションの薬価は、いずれも77.4円/gです。軟膏・ローションともに1本10gなので、薬価は774円/本になります。ジェネリック薬を使用した場合は、これよりさらに安価に治療することが可能です。
なお、患者さまのご負担割合に応じたオキサロール軟膏・ローションの薬剤費は、以下のとおりです。

オキサロール
自己負担費用早見表
10g/本
(軟膏・ローション)
3割負担 232円
2割負担 155円/kg
1割負担 77円

※上記記載額は薬代です。診察代など、その他諸費用は含まれておりません。
※小数点は四捨五入しています。

よくあるご質問

オキサロールと同じ成分の市販薬はありますか?

オキサロールと同成分の市販薬はありません。ほかの乾癬治療薬もドラッグストアなどでは手に入りません。現在のところ、市販の外用薬で乾癬に効果が期待できるものはありませんので、薬が足りなくなる前に受診して症状に応じた薬を処方してもらってください。
なお、角化症の薬としてはヘパリン類似物質油性クリームや尿素が配合されたクリームが市販されていますが、難治性の角化性病変の治療には向きません。

塗り始めて効果が出るまでにどれくらいかかりますか。

オキサロールをはじめとしたビタミンD3製剤は、効果があらわれるまでに少し時間がかかります。そして皮疹にオキサロールを使う場合、通常は使用開始から6週間までに効果が認められます。爪の場合は、生え変わるのに時間がかかるため、十分な効果があらわれるまでに4~6カ月ほどかかることもあります。
このように、オキサロールの効果があらわれるまでの時間はけっして短いとはいえませんが、ひとたび皮膚の症状が良くなればその状態を長く維持できます。

オキサロール軟膏は、いつ塗ってもいいのですか?おすすめのタイミングはありますか?

オキサロール軟膏は、毎日規則正しく塗るようにしてください。洗顔後や歯磨き後、入浴後など毎日の習慣に合わせて塗るタイミングを決めておくと、規則正しく塗れるようになりますし塗り忘れも少なくなります。
特におすすめの塗布タイミングは入浴後です。入浴後にオキサロールを塗ると薬がよく浸透するため、1日のうち1回は入浴後に塗るようにしましょう。

 

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記事制作者

小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)

「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。