- 口内炎ができています。ピドキサールを内服すれば治りますか?
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ビタミンB6の不足によって生じた口内炎であれば、ピドキサールを内服することによって改善が見込まれます。ただしビタミンが関与していない場合は効果が乏しいと予想されますし、ヘルペス性の口内炎・義歯や歯の被せ物による口内炎・扁平苔癬・舌癌など、実は他の病気が隠れている場合も考えられます。口内炎が長引く場合はご相談ください。
目次
ピドキサールとは?
ピドキサール(一般名:ピリドキサールリン酸エステル水和物)は、生体内で補酵素として働きタンパク質・脂質・炭水化物などの代謝に関与する物質であるビタミンB6を製剤化したものです。内服薬と点滴薬がありますが、ここでは主に内服薬に関して解説していきます。ピドキサールの名前の由来は一般名のピリドキサールを省略したものです。
ピドキサールの特徴
ビタミンB6は水溶性ビタミンの1つで、妊産婦や授乳中の方・胃腸障害がある方・消耗性疾患をお持ちの方・イソニアジドなど特定の薬を内服している方などにおいて不足しがちです。また、口角炎、口唇炎、舌炎、口内炎、急性湿疹、慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎、アトピー皮膚炎、尋常性ざ瘡などの皮膚疾患や、末梢神経炎、放射線障害などでもビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与していることがあるとされています。ピドキサールは、ビタミンB6が不足するこれらの状態に対してビタミンを補給する目的で使用する場合に保険が適用されています。上記のような皮膚症状があってもビタミンB6不足が関与していない場合には通常用いられません。その他、結核の治療薬の副作用予防や子供のてんかん治療に応用されることもあります。
ピドキサールの使い方
ピリドキサールリン酸エステル水和物として、成人には 1日10~60mgを1~3回に分けて経口投与します。投与量は年齢、症状により適宜増減します。 また極めてまれな疾患ですが、ビタミンB6依存症の場合にはより大量のピドキサールを用いる場合もあります。新生児や乳幼児のビタミンB6欠乏症へピドキサールを投与する場合には少量から開始して少しずつ増量し、症状に適した投与量を維持して継続します。
ピドキサールを服用する上の注意点
副作用に関して
ピドキサールの副作用として発疹や吐き気が出ることがありますが、成人の場合はあまり心配ありません。ビタミンB6は水溶性であり、すぐに体の外へ排泄されてしまうからです。もし副作用が出た場合は念のため薬を減量したり休薬して対応します。ただし新生児や乳幼児に対して大量のピドキサールを用いる場合は下痢や嘔吐、肝機能異常などの副作用や、横紋筋融解症や急性腎不全といった命に関わる副作用が報告されていますので注意が必要です。
日常生活における注意点
併用注意の薬に関して
ピドキサールは、レボドパ(パーキンソン病の治療薬)との飲み合わせがよくありません。同時に内服するとレボドパの作用を弱めてしまう可能性があるため、注意が必要です。内服中の方は診察時に申告して下さい。
ビタミン不足と食生活に関して
生来健康な人が普通の食生活を送っている場合、ビタミンが欠乏することはほとんどありません。胃腸の病気や消耗性の病気がある人の場合はビタミンが不足しやすいといわれています。また過剰なダイエットや偏食が続いている場合にもビタミンが不足することがあります。同様に妊娠中のつわりで食事が取れていないとビタミンが不足してくることもありますが、十分に食事がとれている場合はあまり気にする必要はありません。ビタミンが不足した場合はピドキサールなどの薬で補うこともできますが、薬以外にも肉類・バナナ・じゃがいも・胚を含む米などで補給できます。ビタミン剤は手軽で便利ですが、ビタミン剤を摂取していれば通常の食事を食べなくて良いわけではありませんのでご注意ください。
ピドキサールの患者さま負担・薬価について
ピドキサールの錠剤には10mg錠、20mg錠、30mg錠の3種類があり、薬価はそれぞれ5.7円、5.9円、7.7円に設定されています。3割負担の患者さまが保険診療でピドキサールの処方を受ける場合、仮に30mg錠を1日2回、30日間内服した場合は138.6円の薬剤費となります(薬剤費のみの計算です)。
よくあるご質問