アレルギー性疾患治療薬およびケロイド・肥厚性瘢痕治療薬「リザベン(トラニラスト)」

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リザベンとは?

トラゼンタの写真

リザベン(一般名:トラニラスト)は、ヒスタミンやロイコトリエンなどケミカルメディエーターの遊離を抑制し、抗アレルギー作用を発揮する薬剤です。
また、サイトカインや活性酸素の産生・遊離を抑制し、ケロイドや肥厚性瘢痕に由来する線維芽細胞のコラーゲン合成を抑制する作用も併せ持っているため、やけどや外傷、手術痕の改善などに用いられることもあります。

リザベンの特徴

リザベンの抗アレルギー作用は、抗ヒスタミン作用によるものではなくケミカルメディエーター遊離抑制作用によるものです。そのため、リザベンによる治療は対症療法というよりアレルギー性疾患の原因療法に近いものと考えられています。
また、リザベンはアレルギー性の炎症を抑制して気道や鼻粘膜などの過敏性を改善する作用を有するため、アトピー性皮膚炎だけではなく、気管支喘息やアレルギー性鼻炎に対しても優れた臨床効果を発揮します。
なお、リザベンは日本において唯一の経口ケロイド・肥厚性瘢痕治療薬です。

リザベンの効能効果・用法用量・服用方法

リザベンの効能効果・用法用量

リザベンは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、ケロイド・肥厚性瘢痕に適応があります。
小児にも投与できますが、小児が服用できるのは細粒とドライシロップのみです。一方、成人が服用できるのはカプセルと細粒のみです。
各剤型の用法用量は以下のとおりです(下表)。

剤型 用法用量
リザベンカプセル100mg 成人
1回1カプセルを1日3回投与。
年齢、症状により適宜増減する。
リザベン細粒10% 成人
1回1gを1日3回投与。
年齢、症状により適宜増減する。
小児
1日量0.05g/kgを3回に分けて投与。
年齢、症状により適宜増減する。
リザベンドライシロップ5% 小児
1日量0.1g/kgを3回に分け、用時懸濁して投与。
年齢、症状により適宜増減する。

リザベンの服用方法

リザベンには、カプセル・細粒・ドライシロップの3つの剤型があります。
カプセルおよび細粒は、そのまま水あるいは白湯で服用してください。細粒はわずかに甘く、ニオイはほとんどありません。
ドライシロップは、1回量を服用直前に水に溶かし、全量を飲み切るようにしてください。ドライシロップの2倍量の水を加えて振り混ぜると、うまく均一に懸濁できます。なお、ドライシロップは甘みがあり、ニオイはほとんどありません。

リザベンの禁忌・副作用など

リザベンを服用してはいけない例・服用に注意が必要な例

リザベンの成分に過敏症の既往歴がある方は、服用を避けなければなりません。また、妊娠中(特に約3ヵ月以内)の方や妊娠している可能性のある女性の服用は、禁忌とされています。これは、動物を対象とした試験で、骨格異常例の増加が認められているためです(大量投与時の結果)。
なお、腎機能障害またはその既往歴がある方・肝機能障害またはその既往歴がある方については、腎機能または肝機能の悪化をまねくおそれがあるため、慎重に投与の可否を検討します。

リザベンの副作用について

リザベンのおもな副作用として報告されているのは、発疹、食欲不振、腹痛、下痢、貧血、頭痛、眠気、めまいなどです。
その他、ごくまれに以下のような重篤な副作用が発生することもあります。

副作用 初期症状
膀胱炎様症状 頻尿、排尿痛、血尿、残尿感など
肝機能障害、黄疸 全身のだるさ、食欲不振、
皮膚や白目が黄色くなるなど
腎機能障害 尿の量や回数が少なくなる、
手足のひどいむくみなど
白血球減少、血小板減少 発熱、鼻血、歯ぐきからの出血、など

これらの副作用は、服用した場合に必ず起きるものではありません。ただし、症状によっては投与を中止するなど適切な処置が必要になることもあります。したがって、リザベンの服用にともない体調に変化が生じた場合は、早めにご相談ください。

リザベンを服用する上での注意点

リザベンは、気管支拡張薬や抗ヒスタミン薬、ステロイドなどとは異なり、すでに起こっている発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではありません。発作時や症状悪化時には他の薬剤の追加が必要になる場合も少なくないため、ご承知ください。
なお、リザベンを季節性アレルギーの治療に用いる場合は、症状があらわれる直前から投与を開始し、アレルギーシーズンの終了時まで服用を続けることで症状の軽減が期待できます。
したがって、毎年決まった時期にアレルギー症状に悩まされている場合は、症状が始まる前に受診して早めに治療をスタートすることをおすすめします。

日常生活における注意点

他の治療薬との併用に関して

添付文書上、リザベンとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。しかし、併用に注意しなければならない薬剤はあります。他の医療機関で以下の薬剤を処方されている場合は、診察時にご相談ください。

  • ワルファリンカリウム(抗血栓薬):併用(または併用中止)により、ワルファリンカリウムの作用が増強(または減弱)したとの報告があります。

特定の患者さまへの使用に関して

妊娠中の方への使用

リザベンを妊娠中の動物に大量投与した試験において、骨格異常例の増加が認められています。
そのため、妊娠中の方や妊娠の可能性のある方、特に妊娠3ヵ月以内の方にリザベンを投与するのは禁忌とされています。

授乳中の方への使用

リザベンは、動物を対象とした試験で乳汁中に移行することが報告されています。
したがって、授乳中の方については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討します。

ご高齢の方への使用

高齢の方は一般的に肝臓や腎臓などの生理機能が低下しています。
そのため、年齢や症状、合併症の有無なども考慮して、使用の可否や投与量などを決定していきます。

リザベンの患者さま負担・薬価について

リザベンの各剤型の薬価は以下のとおりです。

リザベンカプセル100mg 10.6円/カプセル
リザベン細粒10% 11円/g
リザベンドライシロップ5% 11.2円/g

ただし、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがリザベンカプセル100mgを1日3回30日分処方された場合、ご負担金額は286.2円になります(薬剤費のみの計算です)。
リザベンカプセル100mgとリザベンドライシロップ5%にはジェネリック品があるため、薬剤費をおさえたい場合はかかりつけ薬局にご相談ください。

よくあるご質問

リザベンと同じ成分の市販薬はありますか?

リザベンと同じ成分の市販薬はありません。
アレルギー症状をおさえる薬としては抗アレルギー薬などが市販されていますし、傷跡を改善する薬剤もドラッグストアなどで購入できますが、いずれもリザベンとは作用機序が異なります。
そのため、市販薬をリザベンの代わりに使用することはおすすめできません。

喘息の治療のためにリザベンを飲み始めました。今まで飲んでいたステロイドは、もう飲まなくても大丈夫ですか?

リザベンを飲み始めても、中止の指示がない限りステロイドは併用してください。自己判断でステロイドを中止したり、減量したりするのは絶対に避けてください。急にステロイドの服用量が減ると、症状の悪化や発作をまねくおそれがあります。
ステロイドの減量は、症状を観察しながら慎重に行っていきますので、不安などがある場合は診察時にご相談ください。

リザベンのケロイドに対する効果はどれくらいですか?

ケロイドや肥厚性瘢痕の方を対象として、自覚症状(そう痒、圧痛、自発痛)や他覚所見(潮紅(赤み)、腫脹(しわ)、硬結(かたさ)、増大傾向)の程度を5段階(①症状なし、②軽微、③軽度、④中等度、⑤強度)で評価した臨床試験では、そう痒においては8週後に39%、12週後で56%の人が「2段階以上改善した」と評価しています。また、その他の症状では、8週後に5~31%、12週後で30~42%が「2段階以上改善した」という結果となっています。

リザベンを飲み忘れてしまいました。用法が「食後」となっているので、次の食事のあとに飲むほうがいいですか?

リザベンを飲み忘れたら、気が付いたときにすぐに1回分を服用してください。食事の時間を気にする必要はありません。
ただし、次の服用時間が近い場合は飲み忘れた分を服用せず、次の服用タイミングで1回分を服用してください。

 

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