アレロックとは?
アレロック(一般名:オロパタジン塩酸塩)は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とする薬剤で、各種アレルギー症状の改善に用いられます。
なお、「アレロック」という名称は、「アレルギー(Allergy)症状のブロック(Block)」に由来します。
アレロックの特徴
アレロックはヒスタミン受容体選択性が高く、抗コリン作用があらわれにくいため、従来の抗ヒスタミン薬に比べて口渇や排尿障害などの副作用が少ないのが特徴です。
また、ロイコトリエンやトロンボキサンなどのケミカルメディエーターの産生・遊離を抑制する作用や、神経伝達物質であるタキキニン(アレルギー性疾患の発症・増悪に関与する物質)の遊離を抑制する作用、血管内皮細胞における細胞接着分子の発現抑制作用なども併せ持つことから、多彩な薬理作用が期待できます。
アレロックの効能効果・用法用量・服用方法
アレロックの効能効果・用法用量
アレロックは、アレルギー性鼻炎やじん麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)にともなうそう痒に適応があります。成人については、痒疹や尋常性乾癬、多形滲出性紅斑にともなうそう痒にも使用できます。
小児にも使用できますが、2歳以上7歳未満の小児が服用できるのは顆粒のみです。一方、7歳以上の小児および成人はいずれの剤型も服用できます。
各剤型の用法用量は以下のとおりです(下表)。
アレロックの服用方法
アレロックには、普通錠・口腔内崩壊錠(OD錠)・顆粒の3つの剤型があります。
普通錠の服用方法
普通錠は、水や白湯で服用してください。口腔内で溶けるタイプの薬ではないため、口の中に長くとどめないようにしましょう。
口腔内崩壊錠(OD錠)の服用方法
口腔内崩壊錠(OD錠)は、普通錠とは異なり口腔内で速やかに溶けるため、水なしでも服用できます。また、普通錠と同じように水で服用することもできます。
ただし、水なしで飲む場合であっても、口の中で溶けた成分が口腔粘膜から吸収されるわけではありません。そのため、水なしで服用する場合は、唾液と一緒に飲み込んでください。
なお、OD錠は水に溶けやすいため、濡れた手でさわると溶けてしまいます。したがって、取り扱う際は水分にふれさせないようご注意ください。
顆粒の服用方法
顆粒は、できるだけ水や白湯で服用してください。ニオイも味もほとんどなく、幼いお子さまでも飲みやすくなっていますが、顆粒をうまく飲めない場合は水に溶かしてから服用させてください。ただし、水の量が多すぎると飲み切れなくなるおそれがあります。そのため、水の量はできるだけ少なくしてください。
水に溶かしても飲んでくれない場合は、アイスクリームやヨーグルト、乳酸菌飲料、オレンジジュースやスポーツドリンクなどに混ぜても構いません。
アレロックの禁忌・副作用など
アレロックを服用してはいけない例・服用に注意が必要な例
アレロックの成分に過敏症の既往歴がある方は、服用を避けなければなりません。
また、腎機能が低下している場合は、アレロックの血中濃度が高い状態のまま持続するおそれがあるため、注意が必要です。肝機能障害がある場合は肝機能がさらに悪化するおそれも指摘されています。
したがって、腎機能障害・肝機能障害がある場合は、使用の可否も含めて慎重に治療方針を検討します。
アレロックの眠気の副作用について
アレロックのおもな副作用として、眠気が報告されています。
臨床試験における眠気の発生頻度は、成人で7%程度、7歳以上の小児で4%程度、2歳以上7歳未満の小児では0.7%程度でした。
眠気は軽度であることが多いですが、体調・体質によっては強い眠気が出ることもあります。そのため、アレロックを服用中は自動車の運転など危険をともなう機械の操作は避けてください。
アレロックの眠気以外の副作用について
アレロックの重篤な副作用として、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸が報告されています。いずれも発生頻度は不明ですが、全身の倦怠感や食欲不振、吐き気、皮膚や白目の黄変など副作用が疑われる症状があらわれた場合は、速やかに受診して適切な治療を受けてください。
日常生活における注意点
他の治療薬との併用に関して
添付文書上、アレロックとの併用が禁忌となっている薬剤はありません。
しかし、医療用医薬品および市販薬のなかにはアレロックと同様の作用を持つものもあります。一緒に使用すると眠気の副作用がより強くなる組み合わせもありますので、併用している薬がある場合は診察時にご相談ください。
特定の患者さまへの使用に関して
妊娠中の方への使用
アレロックは、動物を対象とした試験で催奇形性は認められていませんが、妊娠中の方を対象とした臨床試験は実施していません。
そのため、妊娠中の方または妊娠している可能性のある方に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討します。
授乳中の方への使用
アレロックは、動物を対象とした試験で乳汁中への移行が確認されており、ヒトにおいても乳汁中へ移行する可能性が指摘されています。
したがって、授乳中の方に対しては、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
お子さまへの使用
アレロックは、低出生体重児、新生児、乳児または幼児を対象とした有効性および安全性を指標とした臨床試験を実施していません。
使用対象となっているのは2歳以上の小児となっているため、自己判断で2歳未満のお子さまに投与するのは避けてください。
ご高齢の方への使用
高齢の方は一般的に肝臓や腎臓などの生理機能が低下しているため、副作用の発現リスクが高くなっています。
そのため、低用量から投与を開始するなど、年齢や症状、合併症の有無などに応じて慎重に治療を進めていきます。
アレロックの患者さま負担・薬価について
アレロックの各剤型の薬価は以下のとおりです。
なお、患者さまにご負担いただくのは保険割合に応じた金額になります。例えば、3割負担の患者さまがアレロック錠5を1日2回30日分処方された場合、ご負担金額は514.8円になります(薬剤費のみの計算です)。
ジェネリック薬を使用する場合は、さらに薬剤費をおさえられます。
よくあるご質問
- アレロックと同じ成分の市販薬はありますか?
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アレロックと同じ成分の市販薬はありません。
もっとも、アレロックと同じようにヒスタミン受容体選択性が高く抗コリン作用があらわれにくい市販薬は、ドラッグストアなどでも購入できます
ただし、市販薬は適応年齢や効能効果が限定されています。したがって、市販薬をアレロックの代わりに使うことはできません。
市販薬を使用しても症状が改善しない場合・かえって症状が悪化する場合などは、早めに受診して適切な治療を受けてください。
- アレロック服用中に予防接種を受けても大丈夫ですか?
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一般的に、抗アレルギー薬は予防接種(ワクチン投与)の効果に影響はないとされています(ただし、ステロイドを除く)。
アレロックがワクチン投与に与える影響を直接検討した研究報告はありませんが、動物を対象とした試験では抗体産生に影響しないことが確認されています。
したがって、アレロックの投与は交代の産生や免疫の獲得に影響を与えないと考えられています。
- アレロックを飲み忘れてしまいました。「朝食後・寝る前」となっているので、次の服用時間まで待って飲むほうがいいですか?
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朝の分を飲み忘れて昼までに気が付いた場合は、1回分をすぐに服用してください。飲み忘れに気付いたのが昼以降の場合は、朝の分は服用せず、寝る前に1回分を服用してください。
夜の分の飲み忘れに翌朝気付いた場合は、朝に1回分を飲んでください。
なお、飲み忘れがあっても1度に2回分を飲んではいけません。また、1日に3回以上飲むのも避けてください。