トランサミンとは?
トランサミン(一般名:トラネキサム酸)は人口的に合成されたアミノ酸の一種で、止血作用・抗アレルギー作用・抗炎症作用などを有しています。そのため皮膚科領域では血管炎などの出血性疾患、蕁麻疹などのアレルギー性疾患、湿疹などの炎症性疾患の治療薬として長らく用いられてきました。さらに近年では美白効果のあるシミ治療の飲み薬としても用いられるようになり、多くの化粧品にも含まれています。
トランサミンの効果・特徴
トランサミンの効果や特徴を理解するにはまず、「プラスミン」という物質の働きを知ることが重要です。
プラスミンの代表的な働きとしては
- 血液が固まるのを防ぐ
- 炎症反応やアレルギー反応に関与する
- シミの原因になるメラノサイトを活性化する
などが挙げられます。これに対しトランサミンはプラスミンの働きを抑制する効果があるため、結果として
- 止血作用
- 抗炎症作用
- 抗アレルギー作用
- シミを予防する作用
などの効果が期待できます。いずれもそこまで強い作用ではないので、他の治療と併用されることが多いです。また副作用は比較的少なく、安心して飲みやすい薬の一つです。
トランサミンの使い方
内服薬の場合、トランサミンは通常1日750~2000mgを3~4 回に分けて内服し、患者さまの症状や年齢によって投与量・回数を調整します。医療の現場では、出血傾向 ・異常出血 ・湿疹・蕁麻疹・薬疹・中毒疹 ・扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎・口内炎などに対する保険治療薬の他、シミに対する自費治療薬として処方されています。また、美容液や化粧品などにもトラネキサム酸を含むものがあり、これらは市販で購入することができます。
トランサミンを服用する上の注意点
下記のような条件に当てはまっている患者さまの場合はトランサミンを服用できない場合があります。
- 脳梗塞、心筋梗塞の既往がある方
- 血液凝固障害のある方
- 静脈瘤がある方
- 腎不全をわずらっている方
- ピルを服用している方
- 妊娠中の方、または妊娠している可能性がある方
トランサミンは止血作用があるため、血液が固まりやすくなることによって生じる脳梗塞や心筋梗塞の患者さまには使用できません。すでに治療を開始されているとしても、その治療は血液が固まりにくくする薬を用いていることが多く、トランサミンの作用と相反してしまいます。また低用量ピルには、血が固まって血管がつまるリスクがやや高まるという報告があります。トランサミンとの併用が禁止されているわけではありませんが、念のため併用しないように指示している病院が多いです。このほかにも風邪薬や歯科で出される止血剤にはトラネキサム酸の成分を含むものがあります。これらの薬と併用してしまうとトラネキサム酸の過量投与になる可能性もあり、危険です。いずれにせよ、普段内服しているお薬は必ず申し出るようにしてください。
オンライン診療対応可能
当院では初診からオンライン診療に対応しておりご来院いただかなくとも診療が可能です。自宅でのケアがメインとなるため、来院せずに治療ができるとご評価いただいています。当院と同じビル内にあるアスト薬局では、ご自宅までのお薬の無料配送に対応しております。ご希望の方は下記リンクよりお申し込みください。
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トランサミンの患者さま負担・薬価について
保険診療の場合
はトランサミン錠250mgを1日3回、30日間内服したとすると、三割負担の患者さまで272.7円の薬剤費となります(薬剤費のみの計算です)。
自費診療の場合
シミの治療などの自費診療の場合、当院でのご提供価格は以下の通りです(薬剤費のみ)。
よくあるご質問
- トランサミンは、すでにできてしまったシミにも有効ですか?
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どちらかというと、これからできるシミを予防する効果の方が期待できます。そもそもの作用機序として、トランサミンはシミの原因となるメラノサイトの働きを抑制する目的で投与します。すでにできてしまったシミを治療するには、ビタミンCを併用すると良いとされています。
- トランサミンは、肝斑(かんぱん)の治療にも使用できますか?
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はい。使用できます。トランサミンは肝斑の治療薬として、もっとも歴史がある薬ともいわれています。ただし、トランサミンを内服すれば全ての肝斑が消失するわけでもありません。紫外線やこすりすぎを避けることなども治療として重要です。
- シミの治療には、どれくらいの期間飲み続けたら良いですか?
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個人差はありますが、約3ヶ月間内服すると効果が出始めるといわれています。そのためまずは3ヶ月、効果が実感できたらさらに数ヶ月内服していただくことをオススメします。内服療法の効果を確認するためには、シミの写真を月に1回程度撮影して見比べると良いかもしれません。また、長期間内服するのが不安な場合は量を減らして内服していただいてもかまいません。
記事制作者
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
「巣鴨千石皮ふ科」院長。日本皮膚科学会認定専門医。2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。
2児の母でもあり、「お肌のトラブルは何でも相談できるホームドクター」を目指しています。