単純ヘルペス(口唇、陰部)

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単純ヘルペスとは?

単純ヘルペスウイルス感染症は、HSV-1型またはHSV-2型の2種類のウイルスが皮膚や粘膜に感染して起きる急性炎症性皮膚疾患です。皮膚や粘膜に感染して、発熱・痛み・痒みなどを伴う水疱やただれを起こすもので、初めて感染したときは免疫がまだできていないため、全身症状が出たり重症化しやすかったりします。

HSV-1型は主に口唇や口腔、目などの顔面・上半身で発症し、口唇ヘルペスやヘルペス角膜炎、歯肉口内炎などを引き起こします。

HSV-2型は主に陰部・下半身で発症し、性器ヘルペスを起こします。
症状の特徴は、ピリピリ・ちくちくとした不快な痛みやむず痒さが最初に起こり(初期症状)、次に赤い小さな水疱が患部に集まって出現してきます。水疱の大きさは0.5~1.5センチくらいあり、互いに融合してびらん、潰瘍ができることがあります。

画像提供:大正製薬「ヘルペスの原因

初感染の時、潜伏期間が2~10日間ほどあります。初感染の単純ヘルペスウイルス感染症が治癒した後も、ウイルスそのものは神経節細胞の中で遺伝子として残留しています。神経節細胞に潜伏しているウイルスを完全になくす治療法は現時点で確立されていません。風邪をひいたり、栄養失調や生理、ストレスが多かったりするタイミングで再発を繰り返すことがよくあります。

HIV感染症患者は単純ヘルペスウイルス感染症が重度になって食道炎、肺炎、脳炎、骨髄炎などを引き起こす可能性があり、注意が必要です。

単純ヘルペスの原因

感染の原因は、ウイルスを保持・排出している人との接触または飛沫を受けることが大半です。

最初の感染では、皮膚についた外傷や口・目・性器などの粘膜からウイルスが侵入し、知覚神経軸索から他の神経節にも伝わります。このときは無症状という人もいて、再発の際に初めて症状が確認されるということもあります。ただし、乳幼児や免疫力が弱っている人は強い初期感染症状が出現することがあります。ウイルスの遺伝子が神経節細胞に残っており、その後も再発を繰り返すことがあります。

 

画像提供:大正製薬「ヘルペスの原因

単純ヘルペスウイルスは強い感染力を持ち、直接接触するほか、食器やタオルにウイルスが付着していたため家族や同居人に感染することがしばしばあります。さらに、自分自身でも、口唇ヘルペスに触った手で目をこすったため、ヘルペス角膜炎まで広げてしまうということもあります。

また、くしゃみ、せき、会話などによってウイルスが飛沫に乗って飛び、近くにいる人が皮膚や粘膜などに浴びることでも感染します。

HSV-2は主に性行為によって感染し、コンドームを使用しない場合などに罹患することが多くあります。

また、再発性を持つ感染症です。知覚神経節細胞にHSVウイルスが潜伏していて、心身の過労やストレス、免疫力低下、重度の日焼けや刺激、発熱する疾患にかかったタイミングなどでしばしば再発します。通常、再発したときは初回の症状よりも軽度で済み、時間が経つと頻度も少なくなっていきます。

画像提供:大正製薬「ヘルペスの原因

単純ヘルペスの診断

単純ヘルペスウイルス感染症の診断は、病変部の視診・問診などの臨床所見が中心になります。ウイルス抗原の検出やツァンクテスト、血液検査などもあり、特に新生児・乳幼児、妊婦、感染防御機能に障害があって感染リスクが高い、重度の疾患がある場合などに用います。

感染した角化細胞内ではウイルスがDNAの複製を頻繁に行っているので、球状変性や網状変性が生じます。そのため、水疱内の塗抹染色標本に巨大な変性角化細胞を観察する方法が有効です(ツァンクテスト)。培養やPCR、抗原検出、血清型の抗体陽転などによる確定診断もあります。

再発が頻繁に繰り返される、再発時に症状が軽くなっていない、といった場合はHIV感染症の疑いもあります。また、単純ヘルペスウイルス感染症は、水ぼうそうと同じウイルスに感染する帯状疱疹と鑑別することが大事です。

単純ヘルペスの治療

発症が確認された場合は、一般的に、ウイルスのDNA複製を阻害するような抗ヘルペスウイルス薬の内服薬・外用薬によって治療します。

アシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)、ファムシクロビル(ファムビル)の処方が中心となります。また、塗り薬としてビダラビン(アラセナ-A軟膏)、角膜炎の場合にはアシクロビルの眼軟膏(ゾビラックス眼軟膏)を使用することもあります。重症化している場合は、抗ウイルス薬の注射薬で、より早い治療効果が期待されます。

HSV-2による性器ヘルペスでは、抗ウイルス薬を毎日継続投与するという再発抑制療法が保険適用になりました。詳しくは次章で説明します。

その他の治療

単純ヘルペスウイルス感染症の治療法として、患者自身の判断で薬の服用を始められるPIT(Patient Initiated Therapy)が日本で初めて保険適用となりました。

ファムビルという抗ヘルペスウイルス薬の錠剤をあらかじめ処方しておき、再発する直前(初期症状が出てすぐ)に服用することで、短期間で治療できるというものです。ファムビルを常に携帯しておけば違和感があるときすぐ服用でき、症状が出てからも軽快までの期間を短縮できるというメリットがあります。

再発症状を自力で正確に判断でき、かつ再発症状が比較的軽度の人に向いています。ただし、「再発初期症状の発現後、6時間以内に服薬を開始できる」といった複数の条件を満たす場合でなければ適応されません。PITを希望する場合は、その旨をお伝えください。

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このほか、前章で触れた、再発抑制療法が性器ヘルペスに有効なケースがあります。再発を繰り返す場合、バルトレックスを毎日服用、最大1年間継続することで、ウイルスの増殖を抑制して体内のウイルス量を減らすと同時に、ウイルスの活性そのものも抑え込みます。

再発の頻度を大幅に軽減できるメリットがある一方、再発症状がない日でも毎日服用を継続しなくてはいけない点を負担に思う人もいます。長期にわたる治療は医師が継続的にサポートしますので、ご相談ください。

単純ヘルペスの予防や注意事項

単純ヘルペスウイルス感染症は、ウイルスが体内に潜伏していても症状として発現しないことがあるほか、軽度であれば自然と治る疾患でもあります。早期に軽快へ向かえるよう、なるべく安静にして栄養と睡眠をよくとるようにしてください。ストレスや感冒によって重症化しやすくなります。

患部にはできるだけ触らず、手洗いを十分に行って清潔を保つようにしましょう。

また、家族や恋人など、同居している人がいる場合は、感染のリスクを避けるために、同じタオルや食器を使わないようにしてください。

治療には抗ヘルペスウイルス性の内服薬・外用薬を用います。PITや再発抑制療法を保険適用で受けることができるようになりましたので、ご希望の方はご相談ください。